貸金業務取扱主任者の過去問
平成29年度(2017年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問34

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成29年度(2017年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

AはBに対して貸付金債権(以下、本問において「甲債権」という。)を有しており、BはAに対して売買代金債権(以下、本問において「乙債権」という。)を有している。この場合における相殺に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • A及びBは、甲債権と乙債権とを相殺しようとする場合、その相手方に対して相殺の意思表示をしなければならないが、その意思表示に条件を付すことができる。
  • 甲債権と乙債権の双方の債務の履行地が異なる場合、A及びBは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。
  • 甲債権が時効により消滅した場合、その消滅以前に甲債権と乙債権とが相殺に適するようになっていたときでも、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。
  • Aに対して貸付金債権を有するCの申立てに基づき甲債権が差し押さえられ、その差押命令がBに送達されていた場合において、Bが乙債権を取得したのが当該差押命令の送達後であったときは、Bは、甲債権と乙債権との相殺をもってCに対抗することができない。

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この過去問の解説 (1件)

01

民法上の相殺について、その条件を時系列に注意しながら学習しましょう。

選択肢1. A及びBは、甲債権と乙債権とを相殺しようとする場合、その相手方に対して相殺の意思表示をしなければならないが、その意思表示に条件を付すことができる。

適切ではありません。

 

相殺の意思表示には、条件や期限を設定することは認められていません(民法506条1項)。

選択肢2. 甲債権と乙債権の双方の債務の履行地が異なる場合、A及びBは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。

適切ではありません。

 

双方の債務の履行地が異なっていても、相殺は可能です(民法507条)。

選択肢3. 甲債権が時効により消滅した場合、その消滅以前に甲債権と乙債権とが相殺に適するようになっていたときでも、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。

適切ではありません。

 

時効で消滅した債権であっても、その消滅前に相殺可能な状態にあった場合は、その債権者は相殺を行うことができます(民法508条)。

選択肢4. Aに対して貸付金債権を有するCの申立てに基づき甲債権が差し押さえられ、その差押命令がBに送達されていた場合において、Bが乙債権を取得したのが当該差押命令の送達後であったときは、Bは、甲債権と乙債権との相殺をもってCに対抗することができない。

適切です。

 

差押えを受けた第三債務者は、差押え後に取得した債権を用いた相殺を差押債権者に対抗することはできません。つまり、受働債権が差押えを受けた後に取得された自働債権では相殺は認められないのです。しかし、改正後民法において、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することは可能です。Bが自働債権を取得したのは受働債権の差押え後であるため、Bは相殺を主張してCに対抗することはできません。

 

まとめ

相殺は、債務の消滅を図る有効な手段ですが、その行使にはいくつかの制限があります。特に、第三者の権利を侵害しないように注意する必要があります。

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