貸金業務取扱主任者の過去問
平成29年度(2017年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問35

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成29年度(2017年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問35 (訂正依頼・報告はこちら)

不当利得及び不法行為に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • Aは、法律上の原因なくBの財産又は労務によって利益を受け、そのためにBに損失を及ぼした場合、Aがそれらの事実を知らなかったときでも、その受けた利益に利息を付して返還する義務を負う。
  • Aに借入金債務を負うBは、当該債務の弁済期が到来していないにもかかわらずAに弁済したときは、その弁済金の返還を請求することができない。ただし、Bが錯誤によってAにその弁済をしたときは、Aは、これによって得た利益を返還しなければならない。
  • Aは、自宅の建て替えの仕事をBに注文し、Bは、これを請け負った。この場合において、Bがその仕事の遂行において誤って第三者に損害を加えたときは、その仕事の注文又は指図についてAに何らの過失がなかったとしても、Aは、当該損害を賠償する責任を負う。
  • Aが、Bに対し、不法行為に基づく損害賠償請求権を有する場合、A又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から1年間当該損害賠償請求権を行使しないときは、当該損害賠償請求権は時効によって消滅する。

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この過去問の解説 (1件)

01

不当利得及び不法行為について、具体的事例を元に理解しましょう。

選択肢1. Aは、法律上の原因なくBの財産又は労務によって利益を受け、そのためにBに損失を及ぼした場合、Aがそれらの事実を知らなかったときでも、その受けた利益に利息を付して返還する義務を負う。

適切ではありません。

 

法律上の原因がないまま他人の財産や労務から利益を得て、他人に損失を与えた者(以下「受益者」)は、その利益が存続している範囲で返還義務を負います(民法703条)。ただし、受益者が悪意でない場合、つまり利益を得た事実を知らなかった場合には、返還に利息を付する義務はありません。本件において、受益者Aは事実を知らなかったため、悪意の受益者に該当せず、利息を付けて返還する必要はありません(民法704条)。

選択肢2. Aに借入金債務を負うBは、当該債務の弁済期が到来していないにもかかわらずAに弁済したときは、その弁済金の返還を請求することができない。ただし、Bが錯誤によってAにその弁済をしたときは、Aは、これによって得た利益を返還しなければならない。

適切です。

 

債務者が弁済期に達していない債務について給付を行った場合、原則としてその給付物の返還を請求することはできません。ただし、その給付が錯誤によるものであった場合には、債権者はその給付によって得た利益を返還する義務を負います(民法706条)。

選択肢3. Aは、自宅の建て替えの仕事をBに注文し、Bは、これを請け負った。この場合において、Bがその仕事の遂行において誤って第三者に損害を加えたときは、その仕事の注文又は指図についてAに何らの過失がなかったとしても、Aは、当該損害を賠償する責任を負う。

適切ではありません。

 

注文者は、請負人が仕事に関連して第三者に与えた損害について、原則として賠償責任を負いません。ただし、その損害が注文や指示における注文者自身の過失によって生じた場合には、注文者にも賠償責任が生じます(民法716条)。

選択肢4. Aが、Bに対し、不法行為に基づく損害賠償請求権を有する場合、A又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から1年間当該損害賠償請求権を行使しないときは、当該損害賠償請求権は時効によって消滅する。

適切ではありません。

 

不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から 3年間(人の生命や身体に関する場合は 5年間)行使されない場合、時効によって消滅します。また、不法行為の時から 20年 が経過した場合も、請求権は消滅します(民法724条)。

まとめ

不当利得は、法律上の原因なくして他人の財産や労務によって利益を得た場合に発生します。

不法行為は、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した場合に発生します。

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