貸金業務取扱主任者の過去問
平成29年度(2017年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問36

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成29年度(2017年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問36 (訂正依頼・報告はこちら)

犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、本問において「犯罪収益移転防止法」という。)についての次の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • 貸金業者が、顧客である法人(外国に本店又は主たる事務所を有する法人ではないものとする。)の取引時確認として確認しなければならない事項である事業の内容の確認方法の1つとして、当該法人に係る「法令の規定により当該法人が作成することとされている書類で、当該法人の事業の内容の記載があるもの」を確認する方法がある。
  • 貸金業者が、顧客である株式会社の取引時確認を行うに際して本人特定事項の確認を行わなければならない当該株式会社の実質的支配者とは、当該株式会社の議決権の総数の5分の1を超える議決権を有する者をいう。
  • 厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引等として犯罪収益移転防止法施行令第12条第1項に規定する取引には、「その取引の相手方が特定取引に該当することとなる契約の締結に際して行われた取引時確認に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引」は該当するが、「取引時確認が行われた際に当該取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との間で行う取引」は該当しない。
  • 貸金業者は、取引時確認を行った場合には、遅滞なく、当該取引時確認に係る事項、当該取引時確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下、本問において「確認記録」という。)を作成しなければならない。また、貸金業者は、確認記録を、当該取引時確認を行った日から、10年間保存しなければならない。

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この過去問の解説 (1件)

01

犯罪収益移転防止法の基本的事項について理解しましょう。

選択肢1. 貸金業者が、顧客である法人(外国に本店又は主たる事務所を有する法人ではないものとする。)の取引時確認として確認しなければならない事項である事業の内容の確認方法の1つとして、当該法人に係る「法令の規定により当該法人が作成することとされている書類で、当該法人の事業の内容の記載があるもの」を確認する方法がある。

適切です。

 

事業内容の確認方法としては、以下のいずれかの書類またはその写しを用いることが挙げられます。

・定款

・法令に基づき法人が作成することとされている、事業内容が記載された書類

・法人の設立登記に関連する登記事項証明書(作成日から6か月以内のもの)

(犯罪収益移転防止法施行規則10条1項2号ロ)。

選択肢2. 貸金業者が、顧客である株式会社の取引時確認を行うに際して本人特定事項の確認を行わなければならない当該株式会社の実質的支配者とは、当該株式会社の議決権の総数の5分の1を超える議決権を有する者をいう。

適切ではありません。

 

株式会社の実質的支配者とは、その株式会社の議決権の総数の 4分の1 を超える議決権を有する者を指します。ただし、他の者がその法人の議決権の総数の 2分の1 を超える議決権を有している場合には、この基準は適用されません。(犯罪収益移転防止法施行規則11条2項1号)。

選択肢3. 厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引等として犯罪収益移転防止法施行令第12条第1項に規定する取引には、「その取引の相手方が特定取引に該当することとなる契約の締結に際して行われた取引時確認に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引」は該当するが、「取引時確認が行われた際に当該取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との間で行う取引」は該当しない。

適切ではありません。

 

厳格な顧客管理が特に重要とされる取引には、以下のような場合が該当します。

・顧客等または代表者等になりすましている疑いがある場合の取引
・取引時確認事項を偽っていた疑いがある顧客等との間で行う取引
これらに該当する場合、不正な取引を防ぐために注意深い対応が求められます。

(犯罪収益移転防止法施行令12条1項1号、2号)。

選択肢4. 貸金業者は、取引時確認を行った場合には、遅滞なく、当該取引時確認に係る事項、当該取引時確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下、本問において「確認記録」という。)を作成しなければならない。また、貸金業者は、確認記録を、当該取引時確認を行った日から、10年間保存しなければならない。

適切ではありません。

 

貸金業者は、取引時確認を実施した際に、直ちに以下の事項に関する記録を作成しなければなりません。

・取引時確認に係る事項
・取引時確認のためにとった措置
・その他、主務省令で定められた事項
これらの記録は、特定取引等に係る契約が終了した日またはその他主務省令で定められた日から 7年間保存する必要があります(犯罪収益移転防止法7条3項)。

まとめ

犯罪収益移転防止法は、金融機関だけでなく、貸金業者など様々な事業者に適用される法律です。

取引時確認は、犯罪収益の流用を防止するために重要な手続きであり、各事業者は法令を遵守する必要があります。

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