貸金業務取扱主任者 過去問
令和6年度(2024年)
問19 (法及び関係法令に関すること 問19)

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問題

貸金業務取扱主任者試験 令和6年度(2024年) 問19(法及び関係法令に関すること 問19) (訂正依頼・報告はこちら)

貸金業における金融ADR制度に関する次の記述のうち、その内容が適切でないものを1つだけ選びなさい。
  • 貸金業者は、指定紛争解決機関である日本貸金業協会に加入していない場合であっても、指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結する措置を講じなければならず、手続実施基本契約を締結する措置を講じたときは、当該手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければならない。
  • 貸金業者は、貸金業法第16条の2第1項に定める書面(契約締結前の書面)に、手続実施基本契約を締結した指定紛争解決機関の商号又は名称を表示する必要はないが、貸金業法第17条第1項に規定する書面(契約締結時の書面)に、当該指定紛争解決機関の商号又は名称を表示しなければならない。
  • 加入貸金業者(注)は、訴訟が係属している請求を目的とする紛争解決手続が開始された場合には、当該訴訟が係属している旨、当該訴訟における請求の理由及び当該訴訟の程度を指定紛争解決機関に報告しなければならない。
    (注)加入貸金業者とは、指定紛争解決機関と手続実施基本契約を締結した貸金業者をいう。
  • 指定紛争解決機関又は紛争解決委員は、苦情処理手続を開始し、又は加入貸金業者に係る資金需要者等からの申立てに基づき紛争解決手続を開始した場合において、加入貸金業者にこれらの手続に応じるよう求めることができ、当該加入貸金業者は、その求めがあったときは、正当な理由なくこれを拒んではならない。

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この過去問の解説 (2件)

01

貸金業における金融ADR制度について説明します。

ADRとは、裁判によらない紛争解決手段のことです。具体的には、指定紛争解決機関である日本貸金業協会の紛争解決委員(弁護士)が、中立公正の立場で貸金業者と契約者等との交渉を仲介し、和解による解決を図る制度です
 

選択肢1. 貸金業者は、指定紛争解決機関である日本貸金業協会に加入していない場合であっても、指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結する措置を講じなければならず、手続実施基本契約を締結する措置を講じたときは、当該手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければならない。

誤った選択肢です。

内容は適切です。紛争解決を目指すため、日本貸金業協会に加入していない場合であっても、指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結する措置を講じなければなりません。また、当該措置を講じた場合は、当該手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければなりません(貸金業法第12条の2の2第1項、第2項)。

選択肢2. 貸金業者は、貸金業法第16条の2第1項に定める書面(契約締結前の書面)に、手続実施基本契約を締結した指定紛争解決機関の商号又は名称を表示する必要はないが、貸金業法第17条第1項に規定する書面(契約締結時の書面)に、当該指定紛争解決機関の商号又は名称を表示しなければならない。

貸金業者は、貸金業法第16条の2第1項に定める書面(契約締結前の書面)に、手続実施基本契約を締結した指定紛争解決機関の商号又は名称を表示する必要はないが、貸金業法第17条第1項に規定する書面(契約締結時の書面)に、当該指定紛争解決機関の商号又は名称を表示しなければならない。

 

正しい選択肢です。

太字部分が誤りです。契約締結前の書面においても、「指定紛争解決機関の商号又は名称」を記載しなければなりません(施行規則12条の2第1項1号ヌ)。万が一紛争等が生じた場合の解決手段を明らかにしておく趣旨です。

選択肢3. 加入貸金業者(注)は、訴訟が係属している請求を目的とする紛争解決手続が開始された場合には、当該訴訟が係属している旨、当該訴訟における請求の理由及び当該訴訟の程度を指定紛争解決機関に報告しなければならない。
(注)加入貸金業者とは、指定紛争解決機関と手続実施基本契約を締結した貸金業者をいう。

誤った選択肢です。

内容は適切です。ADRとは、裁判によらない紛争解決手段のことで、和解が成立した場合、当事者は、当該和解を履行する義務を負います。

そのため、訴訟に代わる紛争解決手段です。したがって、訴訟が係属している場合には、その旨及び訴訟の程度(裁判の進み具合など)を指定紛争解決機関に報告しなければならないとされています(貸金業法第41条の44第2項第6号、第8号参照)。

選択肢4. 指定紛争解決機関又は紛争解決委員は、苦情処理手続を開始し、又は加入貸金業者に係る資金需要者等からの申立てに基づき紛争解決手続を開始した場合において、加入貸金業者にこれらの手続に応じるよう求めることができ、当該加入貸金業者は、その求めがあったときは、正当な理由なくこれを拒んではならない。

誤った選択肢です。

内容は適切です。貸金業法第41条の44第2項2号に定められています。

参考になった数2

02

この問題では、貸金業における金融ADR(裁判外紛争解決)制度についての理解が問われています。

貸金業者は、利用者とのトラブルを裁判以外の方法で解決するための手続きに適切に対応しなければなりません。

選択肢1. 貸金業者は、指定紛争解決機関である日本貸金業協会に加入していない場合であっても、指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結する措置を講じなければならず、手続実施基本契約を締結する措置を講じたときは、当該手続実施基本契約の相手方である指定紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければならない。

貸金業者は、日本貸金業協会に加入していなくても、指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結する義務があります(貸金業法第10条の18)。

また、その契約を締結した場合、その機関の名称を公表する義務があるため、この選択肢の内容は適切です。

選択肢2. 貸金業者は、貸金業法第16条の2第1項に定める書面(契約締結前の書面)に、手続実施基本契約を締結した指定紛争解決機関の商号又は名称を表示する必要はないが、貸金業法第17条第1項に規定する書面(契約締結時の書面)に、当該指定紛争解決機関の商号又は名称を表示しなければならない。

貸金業者は、貸金業法第16条の2(契約締結前の書面)にも、貸金業法第17条(契約締結時の書面)にも、手続実施基本契約を締結した指定紛争解決機関の名称を表示しなければなりません(貸金業法施行規則第13条の4第1項)。
この選択肢では「契約締結前の書面には表示しなくてもよい」としているため、誤りです。

選択肢3. 加入貸金業者(注)は、訴訟が係属している請求を目的とする紛争解決手続が開始された場合には、当該訴訟が係属している旨、当該訴訟における請求の理由及び当該訴訟の程度を指定紛争解決機関に報告しなければならない。
(注)加入貸金業者とは、指定紛争解決機関と手続実施基本契約を締結した貸金業者をいう。

加入貸金業者は、訴訟が係属している請求を目的とする紛争解決手続が開始された場合、その訴訟の状況について指定紛争解決機関に報告する義務があります(貸金業法施行規則第13条の7)。
この選択肢の内容は適切です。

選択肢4. 指定紛争解決機関又は紛争解決委員は、苦情処理手続を開始し、又は加入貸金業者に係る資金需要者等からの申立てに基づき紛争解決手続を開始した場合において、加入貸金業者にこれらの手続に応じるよう求めることができ、当該加入貸金業者は、その求めがあったときは、正当な理由なくこれを拒んではならない。

指定紛争解決機関は、苦情処理手続や紛争解決手続を開始した場合、加入貸金業者に対し、手続に応じるよう求めることができます(貸金業法第10条の18第2項)。

また、貸金業者は正当な理由なくこれを拒むことはできません。
この選択肢の内容は適切です。

参考になった数1