貸金業務取扱主任者 過去問
令和6年度(2024年)
問28 (貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問1)

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問題

貸金業務取扱主任者試験 令和6年度(2024年) 問28(貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

行為能力に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • 成年被後見人の法律行為は、その成年後見人の同意を得て行われたときは、取り消すことができない。
  • 被保佐人は、相続の承認又は放棄をするには、その保佐人の同意を得る必要はない。
  • 被補助人は、家庭裁判所の審判により補助人の同意を得なければならないとされた行為以外の法律行為は、単独で有効に行うことができる。
  • 一種又は数種の営業を許された未成年者は、これにより成年に達したものとみなされ、すべての法律行為について、成年者と同一の行為能力を有する。

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この過去問の解説 (2件)

01

民法では、未成年者や判断能力が低下している人(成年被後見人、被保佐人、被補助人)について、法律行為の有効性や保護のための制度が定められています。

これらの人々が行う法律行為は、原則として制限され、場合によっては取り消すことができるものもあります。

選択肢1. 成年被後見人の法律行為は、その成年後見人の同意を得て行われたときは、取り消すことができない。

成年被後見人は、判断能力がまったくないと認められた人です。

そのため、成年被後見人が行ったすべての法律行為は、原則として取り消し可能です。

たとえ成年後見人の同意があったとしても、取り消すことができるため、この記述は誤りです。

選択肢2. 被保佐人は、相続の承認又は放棄をするには、その保佐人の同意を得る必要はない。

被保佐人は、判断能力が著しく不十分な人で、一定の重要な法律行為には保佐人の同意が必要です。

「相続の承認や放棄」も、被保佐人が単独で行うことはできず、保佐人の同意が必要です(民法第13条1項2号)。

この記述は誤りです。

選択肢3. 被補助人は、家庭裁判所の審判により補助人の同意を得なければならないとされた行為以外の法律行為は、単独で有効に行うことができる。

被補助人は、判断能力が不十分な人で、家庭裁判所の審判によって特定の行為に補助人の同意が必要とされます。

ただし、それ以外の法律行為は単独で行うことができるため、この記述は正しいです。

選択肢4. 一種又は数種の営業を許された未成年者は、これにより成年に達したものとみなされ、すべての法律行為について、成年者と同一の行為能力を有する。

営業の許可を受けた未成年者は、許可を受けた営業に関する法律行為については、成年者と同様に扱われます(民法第6条)。

しかし、この効力は営業に関する行為に限られ、すべての法律行為について成年と同じ能力を持つわけではありません

「すべての法律行為について成年者と同一の行為能力を有する」とする点が誤りです。

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02

契約を有効に締結するためには、①意思能力(自分の行為の結果を認識できる能力)と②行為能力(1人で有効に契約を締結できる能力)がどちらも必要です。そして民法では、1人で有効に契約を締結できる能力を欠く、又は不十分な者たちを制限行為能力者と定め、これを保護するための制度を設けています。

 

制限行為能力者に該当するのは、以下のような方たちです。制限行為能力者には、その効力を監督する者が付き、契約の締結をサポートします。

 

制限行為能力者意義後見人
未成年者18歳未満の者親権者/未成年後見人
成年被後見人事理弁識能力(判断能力)を欠く者で、家庭裁判所の審判により後見が開始された者成年後見人
被保佐人事理弁識能力が著しく不十分な者で、家庭裁判所の審判により保佐が開始された者保佐人
被補助人事理弁識能力が不十分な者で、家庭裁判所の審判により補助が開始された者補助人

選択肢1. 成年被後見人の法律行為は、その成年後見人の同意を得て行われたときは、取り消すことができない。

成年被後見人の法律行為は、その成年後見人の同意を得て行われたときは、取り消すことができない。

 

適切でない選択肢です。太字部分が誤りです。

成年被後見人は事理弁識能力(判断能力)を欠く者ですから、事前に同意があったとしても、そのとおりに法律行為をしない可能性があります。そのため、同意があれば取り消せないとすることは、成年被後見人の保護の観点から妥当ではありません。

よって、同意を得て行われたときでも、法律行為を取り消すことができるとされます。
 

なお、成年被後見人の法律行為は、成年後見人が代理をして行うか、成年被後見人が行った法律行為を成年後見人が追認した場合により有効になります。
 

選択肢2. 被保佐人は、相続の承認又は放棄をするには、その保佐人の同意を得る必要はない。

被保佐人は、相続の承認又は放棄をするには、その保佐人の同意を得る必要はない。

 

適切でない選択肢です。太字部分が誤りです。

相続の承認又は放棄は、相続財産を得たり、相続によって債務を承継したり、又は相続財産を失うなどの重要な法律行為です。

したがって、保佐人の同意を得る必要があります(民法13条1項6号)。

 

選択肢3. 被補助人は、家庭裁判所の審判により補助人の同意を得なければならないとされた行為以外の法律行為は、単独で有効に行うことができる。

適切な選択肢です。

被補助人は、事理弁識能力が不十分な者で、家庭裁判所の審判により補助が開始された者であり、成年被後見人の中ではもっとも制限の程度が軽くなります。したがって、同意が必要な法律行為以外は単独で行うことができ、有効な法律行為になります。

選択肢4. 一種又は数種の営業を許された未成年者は、これにより成年に達したものとみなされ、すべての法律行為について、成年者と同一の行為能力を有する。

一種又は数種の営業を許された未成年者は、これにより成年に達したものとみなされ、すべての法律行為について、成年者と同一の行為能力を有する。

 

 

適切でない選択肢です。太字部分が誤りです。

未成年者であっても、一種又は数種の営業を許されている場合には、その営業について代表権を有する必要がありますので、行為能力が付与されています。しかし、それはあくまでその営業についてのみであり、それ以外の法律行為すべてについて行為能力を有するわけではありません。
 

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