貸金業務取扱主任者 過去問
令和6年度(2024年)
問39 (貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問12)

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問題

貸金業務取扱主任者試験 令和6年度(2024年) 問39(貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、Bとの間で、11月1日に、借入金の返済期限を翌年11月1日と定めて金銭消費貸借契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結しBに金銭を貸し付けた。本件契約では、契約締結日の翌月以降毎月1日に発生済みの利息を支払う約定がなされている。この場合に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選びなさい。
  • Aは、本件契約に基づきBがAに対して負担する一切の債務を被担保債権として、Bとの間で、Bが所有する甲建物に抵当権の設定を受けた。この場合において、Bが甲建物を滅失させたときは、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。
  • Bは、返済期限が到来する前に、破産手続開始の決定を受けた。この場合、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。
  • Bは、毎月の利息の支払を1回遅滞した。この場合、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。
  • Bは、返済期限到来前であっても、期限の利益を放棄し、借入金及び利息をAに弁済することができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

「期限の利益」に関する問題です。期限の利益とは、返済期日が定められている場合においては、その期日まで返済を猶予できる(待ってもらえる)という利益をいい、民法136条1項に定められます。

 

つまり、本文においては済期限を翌年11月1日と定めているので、仮にAが5月5日に金銭の返還を請求した場合でも、Bは11月1日の未到来を主張して、返還義務を負わないと主張することができます。

 

なお、期限の利益に関する規定は任意規定ですので、債務者が当該利益を放棄したり、期限の利益の喪失事由を当事者間で任意に定めたりすることができます。

選択肢1. Aは、本件契約に基づきBがAに対して負担する一切の債務を被担保債権として、Bとの間で、Bが所有する甲建物に抵当権の設定を受けた。この場合において、Bが甲建物を滅失させたときは、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。

誤った選択肢です。

内容が適切です。

民法137条2号及び本文は、債権者を保護するため、債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき」においては、「債務者は、期限の利益を主張することができない」と定めています。

選択肢2. Bは、返済期限が到来する前に、破産手続開始の決定を受けた。この場合、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。

誤った選択肢です。

内容が適切です。

民法137条1号及び本文は、「債務者が破産手続開始の決定を受けたとき」においては、「債務者は、期限の利益を主張することができない」と定めています。

これは、破産の場合における迅速な債権回収を可能にする趣旨です。

選択肢3. Bは、毎月の利息の支払を1回遅滞した。この場合、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。

Bは、毎月の利息の支払を1回遅滞した。この場合、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。

 

正しい選択肢です。

内容が適切ではありません。太字部分が誤りです。

民法137条は、各号において期限の利益を失う場合を以下の通り規定しています。

① 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
② 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
③ 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

 

1回支払いが遅延した場合でも、当事者間で特段の特約などがない限り、期限の利益を喪失することはありません。

選択肢4. Bは、返済期限到来前であっても、期限の利益を放棄し、借入金及び利息をAに弁済することができる。

誤った選択肢です。

内容が適切です。

期限の利益は債務者保護のための利益ですので、債務者は任意にこれを放棄して、借入金及び利息を債権者に弁済することができます。

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02

「期限の利益」とは、借金の返済期限までの間、返済をしなくてもよい権利のことを指します。
例えば、1年間の借金契約があれば、その1年間は返済を請求されないという権利です。
しかし、特定の条件が発生した場合、この期限の利益を失い、本来の期限前に返済しなければならなくなることがあります(期限の利益の喪失)。
民法では、特定の状況において期限の利益を失うケースを定めています。

選択肢1. Aは、本件契約に基づきBがAに対して負担する一切の債務を被担保債権として、Bとの間で、Bが所有する甲建物に抵当権の設定を受けた。この場合において、Bが甲建物を滅失させたときは、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。

適切です。
民法137条1項では、「債務者が担保として提供した財産を滅失させた場合、期限の利益を主張できない」とされています。
これは、担保がなくなることで貸主(A)のリスクが高まるためです。
Bが担保として提供した建物(甲建物)を滅失させた場合、Aはすぐに借入金の返済を請求できます。

選択肢2. Bは、返済期限が到来する前に、破産手続開始の決定を受けた。この場合、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。

適切です。
民法137条1項では、債務者が破産手続開始の決定を受けた場合、期限の利益を主張できないとされています。
これは、破産した場合、債権者(A)が適切に債権回収できるようにするための規定です。
Bが破産すると、Aはすぐに借入金の返済を求めることができます。

選択肢3. Bは、毎月の利息の支払を1回遅滞した。この場合、Bは、返済期限到来前であっても、借入金の返済について期限の利益を主張することができない。

不適切です。
民法137条では、「期限の利益の喪失」は特定の場合に限定されています。
利息の支払いが1回遅れただけでは、期限の利益を当然に失うことにはなりません
契約で「利息の支払いを遅れた場合は期限の利益を失う」と明確に定めていれば別ですが、その記載がない場合は、1回の利息遅延だけで期限の利益を失うことはありません。

選択肢4. Bは、返済期限到来前であっても、期限の利益を放棄し、借入金及び利息をAに弁済することができる。

適切です。
民法136条では、「期限の利益は債務者のためにあるため、債務者はこれを放棄できる」とされています。
つまり、Bは「期限の利益を放棄する」と意思表示すれば、期限前でも借入金や利息を返済できます。

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