貸金業務取扱主任者 過去問
令和6年度(2024年)
問40 (貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問13)

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 令和6年度(2024年) 問40(貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、Bに対して有する貸金返還請求権を被担保債権として、Bが所有する甲建物に抵当権の設定を受けその登記を経た。この場合に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選びなさい。
  • Bが、月額賃料を10万円として甲建物を第三者Cに賃貸している場合において、返済期限を過ぎても借入金をAに返済しないときは、Aは、物上代位に基づいて、CがBに対して賃料を払い渡す前にBがCに対して有する賃料請求権を差し押さえ、当該賃料から貸金を回収することができる。
  • Aが貸金返還請求権を第三者Dに譲渡した場合であっても、AとBとの間の抵当権設定契約において、被担保債権の移転に伴い抵当権も移転する旨の特約がない限り、Dに抵当権は移転しない。
  • 貸金返還請求権についての保証人であるEは、Bとの間で締結した売買契約に基づき甲建物を譲り受けた。この場合、Eは、Aに対して、民法第383条(抵当権消滅請求の手続)に基づき抵当権消滅請求をすることはできない。
  • 抵当権が実行された場合において、Aは、満期の到来した3年分の利息及び1年分の遅延損害金を請求する権利を有していた。Aのほかに後順位抵当権者がいる場合、Aは、元本のほか、利息及び遅延損害金を通算して2年分についてのみその抵当権を行使することができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

Aは、Bにお金を貸した際に、担保としてBが所有する甲建物に抵当権を設定し、登記を完了させました。
抵当権とは、借金が返済されなかったときに、担保となる不動産を売却してお金を回収するための権利です。

選択肢1. Bが、月額賃料を10万円として甲建物を第三者Cに賃貸している場合において、返済期限を過ぎても借入金をAに返済しないときは、Aは、物上代位に基づいて、CがBに対して賃料を払い渡す前にBがCに対して有する賃料請求権を差し押さえ、当該賃料から貸金を回収することができる。

適切です。
抵当権が設定された建物(甲建物)が他の第三者(C)に賃貸されている場合、抵当権者(A)は物上代位(民法304条)に基づき、BがCから受け取る賃料を差し押さえることができます。
ただし、差し押さえる前にBがCから賃料を受け取ってしまうと、Aはその賃料を回収できません。

選択肢2. Aが貸金返還請求権を第三者Dに譲渡した場合であっても、AとBとの間の抵当権設定契約において、被担保債権の移転に伴い抵当権も移転する旨の特約がない限り、Dに抵当権は移転しない。

不適切です。
抵当権は被担保債権に従たる権利であり、被担保債権(この場合は貸金返還請求権)が譲渡されると、それに伴って抵当権も当然に移転します(民法第467条1項)。

つまり、抵当権が移転するために特約は不要であり、債権の移転と同時に抵当権も移転するのが原則です。
したがって、「特約がない限りDに抵当権は移転しない」という記述は誤りです。

選択肢3. 貸金返還請求権についての保証人であるEは、Bとの間で締結した売買契約に基づき甲建物を譲り受けた。この場合、Eは、Aに対して、民法第383条(抵当権消滅請求の手続)に基づき抵当権消滅請求をすることはできない。

適切です。
抵当権消滅請求(民法383条)とは、抵当権が設定されている不動産を新しく取得した第三者が、抵当権者に一定の金額を支払うことで抵当権を消滅させることができる制度です。
しかし、この制度を利用できるのは、「抵当不動産の第三取得者(抵当権が付いたまま建物を取得した人)」に限られます。
保証人Eは、債務者Bから甲建物を取得したものの、もともと貸金返還義務を負っている保証人であるため、純粋な第三取得者とは言えません。
したがって、Eは抵当権消滅請求をすることができません。

選択肢4. 抵当権が実行された場合において、Aは、満期の到来した3年分の利息及び1年分の遅延損害金を請求する権利を有していた。Aのほかに後順位抵当権者がいる場合、Aは、元本のほか、利息及び遅延損害金を通算して2年分についてのみその抵当権を行使することができる。

適切です。
民法375条では、後順位の抵当権者がいる場合、先順位の抵当権者が請求できる利息や遅延損害金の範囲について制限があるとされています。
具体的には、「満期が到来した最後の2年分の利息と遅延損害金までしか回収できない」というルールがあります。
この選択肢では、Aが「3年分の利息と1年分の遅延損害金を請求できるが、後順位抵当権者がいる場合、合計2年分しか請求できない」と書かれており、法律の規定と合致しています。

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