貸金業務取扱主任者 過去問
令和6年度(2024年)
問44 (資金需要者等の保護に関すること 問2)

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問題

貸金業務取扱主任者試験 令和6年度(2024年) 問44(資金需要者等の保護に関すること 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

消費者契約法に関する次の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • 消費者契約法の適用がある取引については、消費者には、契約の申込み又は契約の締結後一定の期間内であれば、無条件に当該契約の申込みを撤回し又は当該契約を解除することができる権利(クーリング・オフを行使する権利)が認められている。
  • 事業者に対し、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約(消費者が事業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされているものを除く。)の条項は、無効である。
  • 事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して重要事項について事実と異なることを告げる行為をしたことにより、当該消費者が当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、それによって消費者契約が締結された場合、当該消費者契約は無効である。
  • 消費者契約の条項のうち、当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える条項は、無効である。

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この過去問の解説 (2件)

01

消費者契約法とは、事業者と消費者間の取引において消費者の利益を保護するための法律です。不当な勧誘による契約の取消しや、不当な契約条項の無効などについて定めています。

 

選択肢1. 消費者契約法の適用がある取引については、消費者には、契約の申込み又は契約の締結後一定の期間内であれば、無条件に当該契約の申込みを撤回し又は当該契約を解除することができる権利(クーリング・オフを行使する権利)が認められている。

消費者契約法の適用がある取引については、消費者には、契約の申込み又は契約の締結後一定の期間内であれば、無条件に当該契約の申込みを撤回し又は当該契約を解除することができる権利(クーリング・オフを行使する権利)が認められている。

 

不適切な選択肢です。

太字部分が誤りです。

まず、クーリング・オフについて定めているのは、消費者契約法ではなく、特定商取引法です。

次に、クーリング・オフは無条件で認められるものではなく、訪問販売や電話勧誘販売で指定されている商品、エステ・学習塾など、対象・商品が限定されています。そして、行使期間にも制限があり、通常は契約書面を受け取ってから8日以内(内職商法・マルチ商法は20日以内)とされています。

選択肢2. 事業者に対し、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約(消費者が事業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされているものを除く。)の条項は、無効である。

適切な選択肢です。

後見・補佐・補助開始の審判を受けた場合であっても、そのことのみを理由をとして、直ちに事業者に対し契約の解除権を認めるという条項は無効です。これは、当該審判を受けたことによって事業者から契約を解除された制限行為能力者は、その契約によって得ていた便益を受けることができなくなるおそれがあり、かえって消費者に不利益を生じさせるおそれをもたらす点において、当該審判を受けた者の権利の擁護を目的とする成年後見制度の趣旨に抵触するおそれがあるからとされています。

 

もっとも、事業者はこの場合に解除ができないというものではありません。問題点は、後見・補佐・補助開始の審判を受けたことのみを理由をとして解除をする場合ですので、例えば、顧客が後見開始の審判等を受けたことを認識した事業者が、顧客にとってリスクの高い取引に係る適合性の有無の確認等を行い、その結果、取引の継続が困難であると判断したような場合に当該事業者が契約を解除できるといった契約条項は無効とはならないものと考えられます。

 

選択肢3. 事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して重要事項について事実と異なることを告げる行為をしたことにより、当該消費者が当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、それによって消費者契約が締結された場合、当該消費者契約は無効である。

事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して重要事項について事実と異なることを告げる行為をしたことにより、当該消費者が当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、それによって消費者契約が締結された場合、当該消費者契約は無効である。

 

不適切な選択肢です。

太字部分が誤りです。消費者契約法4条は、「事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して重要事項について事実と異なることを告げる行為をしたことにより、当該消費者が当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、それによって消費者契約が締結された場合」には、契約を取り消すことができる、と定めています。

 

なお、契約の「無効」と「取消し」には、以下のような違いがあります。

 

・「無効」:そもそも契約が有効に成立していないことをいいます。

・「取消し」:契約は一度有効に成立したが、取り消しがされた場合に、過去に遡って契約が無効になることをいいます。

選択肢4. 消費者契約の条項のうち、当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える条項は、無効である。

消費者契約の条項のうち、当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える条項は、無効である。

 

不適切な選択肢です。

太字部分が誤りです。「平均的な損害の額を超える」場合には、その損害賠償額の予定や違約金条項は不合理なものと言えます。もっとも、条項全体が無効になるのではなく、限度を超える部分が無効になります。

参考になった数2

02

消費者契約法は、消費者が事業者との契約において不利な立場にならないようにするための法律です。
事業者の不当な勧誘や契約条項による不利益を防ぐため、一定の場合には契約を取り消したり、契約条項を無効とする規定が設けられています。

選択肢1. 消費者契約法の適用がある取引については、消費者には、契約の申込み又は契約の締結後一定の期間内であれば、無条件に当該契約の申込みを撤回し又は当該契約を解除することができる権利(クーリング・オフを行使する権利)が認められている。

誤りです。
クーリング・オフは、特定商取引法によって規定されており、訪問販売や電話勧誘販売などの一部の契約に適用されます。
消費者契約法にはクーリング・オフの規定はないため、消費者契約法の適用がある取引であっても、無条件で契約を撤回・解除できるわけではありません。
この選択肢は、消費者契約法にクーリング・オフ制度があるかのように記述しているため、誤りです。

選択肢2. 事業者に対し、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約(消費者が事業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされているものを除く。)の条項は、無効である。

正しいです。
消費者契約法第8条3項では、消費者が後見開始、保佐開始、補助開始の審判を受けたことのみを理由として、事業者が契約を解除できる条項は無効であると定められています。
これは、判断能力の低下を理由に一方的に契約を解除されることを防ぐための規定です。
ただし、消費者が事業者に対して商品やサービスを提供する契約については、この規定の適用が除外されます。

選択肢3. 事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して重要事項について事実と異なることを告げる行為をしたことにより、当該消費者が当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、それによって消費者契約が締結された場合、当該消費者契約は無効である。

誤りです。
消費者契約法第4条では、事業者が重要事項について嘘をついて消費者に誤認させた場合、その契約は取り消すことができると規定されています。


「無効」と「取消し」は異なります。

無効:最初から契約がなかったことになる(誰でも主張できる)。

取消し:取消しを主張した時点で契約がなかったことになる(消費者が主張しない限り契約は有効)。

 

この選択肢では、「契約は無効である」としていますが、法律では「取り消すことができる」とされているため、誤りです。

選択肢4. 消費者契約の条項のうち、当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える条項は、無効である。

誤りです。

損害賠償額や違約金の条項そのものがすべて無効になるのではなく、「平均的な損害の額を超える部分だけが無効」になるという点が重要です。

この選択肢では「損害賠償の額や違約金が平均的な損害額を超えた場合、その条項全体が無効になる」という点が誤りです。

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