給水装置工事主任技術者 過去問
令和2年度(2020年)
問11 (給水装置工事法 問11)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

給水装置工事主任技術者試験 令和2年度(2020年) 問11(給水装置工事法 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

配水管からの給水管の取出し方法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
  • サドル付分水栓によるダクタイル鋳鉄管の分岐穿孔に使用するドリルは、モルタルライニング管の場合とエポキシ樹脂粉体塗装管の場合とで形状が異なる。
  • サドル付分水栓の穿孔作業に際し、サドル付分水栓の吐水部へ排水ホースを連結させ、ホース先端は下水溝などへ直接接続し確実に排水する。
  • ダクタイル鋳鉄管に装着する防食コアは非密着形と密着形があるが、挿入機は製造業者及び機種等により取扱いが異なるので、必ず取扱説明書をよく読んで器具を使用する。
  • 割T字管は、配水管の管軸水平部にその中心がくるように取付け、給水管の取出し方向及び割T字管が管水平方向から見て傾きがないか確認する。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

この問題は「不適当なもの」を選択する問題です。

選択肢1. サドル付分水栓によるダクタイル鋳鉄管の分岐穿孔に使用するドリルは、モルタルライニング管の場合とエポキシ樹脂粉体塗装管の場合とで形状が異なる。

結論からいいますと、この記述は正しいです。

モルタルライニング管で使用するようなドリルをエポキシ管に使ってしまうと、エポキシ管の塗膜がはがれてしまうので、絶対に使用してはいけません。一度でも間違ってエポキシ管用のドリルでモルタル管を穿孔してしまった場合は、以後そのドリルをエポキシ管に使用することは出来ません。色々な事故に繋がる恐れがあります。絶対に共用してはいけません。

二つのドリルの違いは、エポキシ管用ドリルの方が、先端が細くとがっており(先端角が小さい)、しかもねじれていますが(ねじれ角あり)、モルタルライニング管用はねじれていません(先端角が大きく、ねじれ角がない)。

選択肢2. サドル付分水栓の穿孔作業に際し、サドル付分水栓の吐水部へ排水ホースを連結させ、ホース先端は下水溝などへ直接接続し確実に排水する。

結論からいいますと、この記述は「不適当なもの」になります。

この文章の中でどこが不適当かというと、「下水溝」の部分で、排水は「バケツ等」に行いましょう。下水溝に直接排水しないようにしましょう。

選択肢3. ダクタイル鋳鉄管に装着する防食コアは非密着形と密着形があるが、挿入機は製造業者及び機種等により取扱いが異なるので、必ず取扱説明書をよく読んで器具を使用する。

結論から言いますと、この記述は正しいです。

防食コアとは、穿孔部分のサビを制御・防止するものです。このコア挿入機やコアは、製造業者や機種などによって取り扱いが異なるため、必ず取り扱い説明書をよく読んで器具を取り扱うよう注意書きされています。

非密着形コアは銅で出来た筒状のもので、密着形コアは銅で出来た筒状のものに、ゴムがかぶさった構造をしています。穿孔部分と分水栓の下部にゴムを密着させることで穿孔部付近のサビが発生することを防いでくれます。

選択肢4. 割T字管は、配水管の管軸水平部にその中心がくるように取付け、給水管の取出し方向及び割T字管が管水平方向から見て傾きがないか確認する。

結論から言いますと、この記述は正しいです。

割T字管とは、配水管から給水管へTの字のように分岐させるときに使う鋳鉄製の取り付け器具のことです。T字に分岐させるためのものなので、管軸の水平部分に分岐させる管の中心がくるように取り付けます。このときに、割T字管が水平方向から見て傾いてないか、というのもとても大事です。

まとめ

以下、専門用語について見ていきたいと思います。

サドル付分水栓とは:配水管から給水管を分岐するときに断水することなく(不断水で)作業できる工具です。

ダクタイル鋳鉄管の「ダクタイル」とは、「柔軟な、しなやかな」という意味のductileからきています。鋳鉄管(ちゅうてつかん)とは、材料として鋳鉄(鉄と炭素を2%以上含んだ合金のこと)を用いた管のことです。このダクタイル鋳鉄管は、含有するグラファイトが球体になっているため、よく滑り、耐摩耗性が高く、地震などにより、地盤が揺れたりズレたときに、柔軟に形を曲げることで、衝撃を吸収できる性質があり、これまで使用されていた鋳鉄管よりも耐久性が高く、現在の水道管の入力材料となっています。

分岐穿孔(ぶんきせんこう)とは、分岐するための穴を開けることです。

ライニングとは、鉄でできた管の内側の表面と水が直接接触するのを防ぐために施される、塗装のようなものです。現在水道用で使われているライニングは、「モルタルライニング」と、「エポキシ粉体ライニング」です。

エポキシ樹脂粉体塗装管は、エポキシ樹脂が主な成分になっている粉末状の塗料を使って塗装されています。エポキシ樹脂は密着性が高く、防食性や接着性にも優れています。

参考になった数34

02

不適当なものを選択する問題です。

選択肢1. サドル付分水栓によるダクタイル鋳鉄管の分岐穿孔に使用するドリルは、モルタルライニング管の場合とエポキシ樹脂粉体塗装管の場合とで形状が異なる。

適当です。

 

配水管の内部は水の品質保持や錆の発生を防ぐために、モルタルやエポキシ樹脂でコーティングされています。

モルタルは硬く脆いのに対し、エポキシ樹脂は比較的柔らかく粘り気があります。

そのため、穿孔する際には、これらの内面素材を傷つけず、円滑に削り取るために、それぞれに適した形状のドリルを使用する必要があります。

モルタル用ドリルは鋭利な刃先で削る形状をしており、エポキシ樹脂用ドリルはライニングを巻き込まずにきれいに穿孔できるような形状をしています。

選択肢2. サドル付分水栓の穿孔作業に際し、サドル付分水栓の吐水部へ排水ホースを連結させ、ホース先端は下水溝などへ直接接続し確実に排水する。

不適当です。

 

サドル付分水栓による穿孔作業では、内部の水を排水する必要があるため吐水部にホースを接続して水を排出します。

その際、下水溝ではなく、バケツへ排水を行わなければなりません。

下水溝に直接接続することは水道水を下水道に流すことになり、水道法や各自治体の条例に違反する可能性があるためです。

選択肢3. ダクタイル鋳鉄管に装着する防食コアは非密着形と密着形があるが、挿入機は製造業者及び機種等により取扱いが異なるので、必ず取扱説明書をよく読んで器具を使用する。

適当です。

 

ダクタイル鋳鉄管を穿孔すると穿孔部分の防食層が剥がれ、管が錆びやすくなります。

これを防ぐために、サドル付分水栓には「防食コア」という部品が組み込まれており、穿孔後にこのコアを管内に挿入して、防食層の欠損部を保護します。

挿入方法や使用する挿入機は、メーカーや機種によって異なるため、取扱説明書を熟読し、正しい手順で作業を行うことが重要です。

選択肢4. 割T字管は、配水管の管軸水平部にその中心がくるように取付け、給水管の取出し方向及び割T字管が管水平方向から見て傾きがないか確認する。

適当です。

 

割T字管は、既存の配水管を横から分岐させて給水管を取り出す際に使用する継手です。

これを配水管に取り付ける際は、給水管の取り出し方向が正確に水平になるよう、また、割T字管自体が傾かないように、配水管の管軸水平部にその中心がくるように取り付ける必要があります。

これにより、分岐後の給水管が適切な角度で接続され、配管の安全性と安定性が保たれます。不適切な取り付けは、漏水や配管の破損の原因となります。

参考になった数0