社会福祉士の過去問
第29回(平成28年度)
高齢者に対する支援と介護保険制度 問135

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問題

社会福祉士試験 第29回(平成28年度) 高齢者に対する支援と介護保険制度 問135 (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、高齢者虐待に関するL社会福祉士の対応として、適切なものを2つ選びなさい。

〔事例〕
L社会福祉士は、S町にある特定施設入居者生活介護事業所の管理者をしている。ある日、最近入居したMさんについて、複数の入居者から「昨夜、Mさんが廊下を歩き回ってうるさかった」との苦情を受けた。Mさんを担当したA介護職員に状況を聞くと、「夜勤時、Mさんが大声を出して歩き回っていたので、一晩部屋から出られないように鍵をかけておいた」との説明があった。
  • 速やかにS町へ通報をすることとした。
  • 閉じ込めたことは、やむを得ない対応と判断した。
  • Mさんの家族に電話で状況を説明し、了解を求めることとした。
  • Mさんの行動について、関係する職員とその要因を分析しつつ、対応方法を検討することとした。
  • 外部に情報が広がらないように、ボランティアの受入れを中止することとした。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1、4です。

1.「一晩部屋から出られないように鍵をかけておいた」という内容が虐待にあたる可能性が高いため、高齢者虐待防止法第21条に基づいて、速やかに市町村に通報しなければなりません。

2.「廊下を歩き回ってうるさかった」というだけで、拘束をしてもよいという理由にはあたりません。拘束には生命や身体が危険にさらされる場合などの要件があり、個人の判断ではなく施設全体での判断が必要となります。

3.やむを得ず、家族に電話で状況を説明し、了解を求める必要があったとしても、事前に行う必要があります。事例のように事後対応として電話で了解を求めることは適切な対応とはいえません。

4.Mさんの行動について、関係する職員とその要因を分析しつつ、対応方法を検討することは、今後の対策としても適切な対応といえます。

5.虐待の早期発見のために、外部のボランティア等と積極的に連携することが望ましいといえます。

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02

1○ 要介護施設従業者等は、従業者などによる高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかにこれを市町村に通報しなければなりません。
2× 自分の意思で開けられない居室への隔離などは、身体拘束にあたり禁止されています。
3× 高齢者本人の判断能力の程度によらず、本人・家族・成年後見人などの同意のみによる身体拘束は虐待に該当します。
4○ 要因を分析し、身体拘束以外に代替する介護方法を検討することは適切な支援です。
5× 虐待発生を理由にボランティア受け入れ中止を行うことは、組織の閉鎖性が高まり虐待再発のリスクが高まります。

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03

1、適切な内容です。
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下、高齢者虐待防止法)」第7条には、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した時には通報を行う義務があるとされています。
一晩カギをかけて部屋に閉じ込めるという行為はMさんの自由を奪う行為であり、虐待に該当する可能性があります。

2、不適切です。A介護職員が行った対応は「身体拘束」にあたります。
身体拘束は「切迫性」「非代替性」「一時性」の三条件が満たされた時、すなわち緊急やむを得ない状態である場合に必要最小限で行われる行為です。
設問の中に記載されているMさんの行動だけでは三条件を満たしておらず、A介護職員が行った行動は不適切な支援であると言えます。

3、不適切です。
Mさんの家族の方に状況を説明する必要はあると考えられますが、たとえその説明でMさんの家族が了承したとしてもMさんに対する虐待行為が正当化されるわけではありません。

4、適切な内容です。
Mさんが大声を出した理由や一晩中歩き回っていた理由などを職員全体で検討し、適切と思われる対応を考える事は重要な取り組みであると言えます。

5、不適切です。
他者の目を入りにくくする行為は施設に閉鎖感を与え、虐待の温床となってしまう可能性が高まります。

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