社会福祉士の過去問
第30回(平成29年度)
権利擁護と成年後見制度 問80
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問題
社会福祉士試験 第30回(平成29年度) 権利擁護と成年後見制度 問80 (訂正依頼・報告はこちら)
事例を読んで、次の親族関係における民法上の扶養に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔 事例 〕
L( 80歳 )には長男( 55歳 )と次男( 50歳 )がいるが、配偶者と死別し、現在は独居である。長男は妻と子( 25歳 )の三人で自己所有の一戸建住居で暮らし、次男は妻と重症心身障害のある子( 15歳 )の三人でアパートで暮らしている。最近、Lは認知症が進行し、介護の必要性も増し、介護サービス利用料などの負担が増えて経済的にも困窮してきた。
〔 事例 〕
L( 80歳 )には長男( 55歳 )と次男( 50歳 )がいるが、配偶者と死別し、現在は独居である。長男は妻と子( 25歳 )の三人で自己所有の一戸建住居で暮らし、次男は妻と重症心身障害のある子( 15歳 )の三人でアパートで暮らしている。最近、Lは認知症が進行し、介護の必要性も増し、介護サービス利用料などの負担が増えて経済的にも困窮してきた。
- 長男と次男がLの扶養の順序について協議できない場合には、家庭裁判所がこれを定める。
- 長男及び次男には、扶養義務の一環として、Lの成年後見制度利用のための審判請求を行う義務がある。
- 長男の自宅に空き部屋がある場合には、長男はLを引き取って扶養する義務がある。
- 次男が生活に困窮した場合、Lは、長男に対する扶養請求権を次男に譲渡することができる。
- 長男の子と次男の子以外の者が全て死亡したときには、長男の子は次男の子を扶養する義務を負う。
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この過去問の解説 (3件)
01
1.長男と次男がLさんの扶養の順序について協議できない場合には、家庭裁判所がこれを定めることになります。
2.Lさんの成年後見制度利用のための審判請求は権利であり、義務ではありません。
3.扶養義務は金銭面の支払いが中心となります。引き取りには扶養される側の同意が必要で、空き部屋があるだけで引き取る扶養義務が発生するわけではありません。
4.扶養請求権は譲渡することができません。
5.扶養義務は3等親までです。長男の子と次男の子は4等親の関係にあるため、扶養義務はありません。
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02
1.正答
複数人の扶養義務者があり扶養すべき順序について協議できない場合は、家庭裁判所がこれを定める、と民法第878条で定められています。
2.誤答
直系親族においての扶養は、一般的に経済的な扶養義務であり、扶養義務者に介護や看護の義務は含まないとされています。そのため、長男及び次男には成年後見制度の審判請求を行うことはできますが、義務ではありません。
3.誤答
扶養の方法や程度は、当事者間の協議によって定めるとされています。そのため、長男がLを引き取って扶養する義務はありません。あくまでも当事者間の協議で定めるものであり、協議ができない場合は家庭裁判所がこれを定めます。
4.誤答
「扶養請求権」については、民法第881条(扶養請求権の処分の禁止)「扶養を受ける権利は、処分することができない」と定められているため、長男は次男に扶養請求権を譲渡することはできません。
5.誤答
扶養義務者についてはは、民法第877条(扶養義務者)に「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。長男の子と次男の子はこれに該当しないので扶養義務はありません。
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03
1.設問のとおりです。
2.審判請求を行うのは義務ではありません。
3.長男に扶養の義務はありますが、引き取るという義務はありません。
4.扶養請求権は他者に譲渡はできません。
5.長男の子と次男の子は4親等の関係のため、扶養義務はありません。
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