問題
〔事例〕
E福祉用具専門相談員は、Y居宅介護支援事業所のF介護支援専門員からの依頼で、R市で一人暮らしをしているGさん(女性、84歳、要介護1 )の自宅を訪問し、福祉用具の選定に関する相談を行うこととなった。Gさんは約10年前の大腿骨頸(だいたいこつけい)ぶ部骨折の後遺症により股関節が動きにくくなり、現在では浴槽への出入りと屋外での移動に支障がある。しかし、その他の日常生活動作や認知機能に支障はなく、状態も安定している。GさんはこれまでT字杖(つえ)以外の福祉用具は使用したことがない。
1、不適切です。入浴補助用具は利用者の身体に触れるため、再利用する事に抵抗感を感じる事が高いため福祉用具貸与ではなく特定福祉用具販売の対象品目として挙げられています。福祉用具貸与による給付は受ける事が出来ません。
2、不適切です。自宅廊下の手すりの設置は特定福祉用具販売ではなく、福祉用具貸与または介護保険適用の住宅改修サービスにより利用する事が可能となります。
3、適切な内容です。
4、不適切です。F介護支援専門員が策定した居宅サービス計画に基づき計画書を作成し、Gさんに計画書を交付する必要はありますが、利用前にR市へ承認をもらう必要はありません。
5、不適切です。Gさんは現時点で玄関の出入りに支障はなく、リフトを設置する事でGさんの保有能力を低下させてしまう可能性があります。移動用リフトの設置は時期尚早です。
また、移動用リフトの設置で介護給付を受けられるのは要介護2~5と定められています。そのため、要介護1の認定を受けているGさんが移動用リフトを設置した場合は介護給付の対象となりません。
正解は3です。
事例にて、Gさんが屋外の歩行に支障があるとあるため適切です。
各選択肢については以下のとおりです。
1→入浴補助用具は肌が触れるものなので、福祉用具貸与ではなく福祉用具購入の対象となります。
2→手すりの設置は、住宅改修または、福祉用具貸与にあたります。
4→利用前に、市に承認を得る必要はないため誤りです。
5→Gさんは、現時点で玄関での移動に支障があるようではないため、今移動用リフトの設置をすることは適切ではありません。
正解は3です。
1.不適切です。他人が使用した物を再利用することに心理的抵抗感が伴う物などは、「貸与になじまない性質のもの」として、特定福祉用具販売の給付対象となります。「貸与になじまない性質のもの」とは、主に入浴や排泄など直接肌に触れて使用する用具があげられます。
2.不適切です。自宅の廊下の手すりの設置は、特定福祉用具販売による給付の対象ではありません。手すりの設置に工事が必要な場合は、住宅改修費による給付、工事が必要ない場合は、福祉用具貸与による給付となります。
3.適切です。
4.不適切です。事前に市に申請しなければならないのは、介護保険の住宅改修の種類に該当する工事を行う場合です。
5.不適切です。現状、浴槽の出入りと野外への移動以外の支援はなく、安定しているため、移動用リフトの必要性は低いです。