社会福祉士の過去問
第34回(令和3年度)
現代社会と福祉 問26

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問題

社会福祉士試験 第34回(令和3年度) 現代社会と福祉 問26 (訂正依頼・報告はこちら)

イギリスにおける貧困に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • ラウントリー(Rowntree, B.)は、ロンドンで貧困調査を行い、貧困の主たる原因が飲酒や浪費のような個人的習慣にあると指摘した。
  • ベヴァリッジ(Beveridge, W.)による『社会保険および関連サービス』(「ベヴァリッジ報告」)は、「窮乏」(want)に対する社会保障の手段として、公的扶助(国民扶助)が最適であり、社会保険は不要であるとした。
  • エイベル‒スミス(Abel-Smith, B.)とタウンゼント(Townsend, P.)は、イギリスの貧困世帯が増加していることを1960年代に指摘し、それが貧困の再発見の契機となった。
  • タウンゼント(Townsend, P.)は、等価可処分所得の中央値の50%を下回る所得しか得ていない者を相対的剥奪の状態にある者とし、イギリスに多数存在すると指摘した。
  • サッチャー(Thatcher, M.)が率いた保守党政権は、貧困や社会的排除への対策として、従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」の考え方に立つ政策を推進した。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 3 です。

1 .ラウントリー(Rowntree, B.)は、ヨーク市で貧困調査を行い、1次貧困線と2次貧困線を設定しました。1次貧困線は、肉体の維持に必要な栄養摂取にも事欠く世帯、2次貧困線は、飲酒や賭博などで消費しなければ充足できる世帯であると指摘しました。

2 .ベヴァリッジ報告の社会保障計画では、社会保険、国民扶助、任意保険という3つの方法で構成されるという考え方を示しました。

3 .正解です。エイベル‒スミス(Abel-Smith, B.)とタウンゼント(Townsend, P.)は、イギリスの貧困世帯が増加していることを1960年代に指摘し、それが貧困の再発見の契機となりました。

4 .タウンゼント(Townsend, P.)の相対的剥奪の状態は、12の項目からなる指標を用いて行われます。等価可処分所得の中央値の50%未満の所得層が全人口に占める比率は、相対的貧困率といいます。

5 .「第三の道」の考え方に立つ政策を推進したのは、サッチャー政権後の、ブレア政権です。

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02

正解は、 です。

1 不適切です。ラウントリーは、第一次貧困と第二次貧困について提唱し、第二次貧困を収入が飲酒や賭博など他の支出に向けない限り単なる肉体的能力を保持することができる程度の貧困としています。

2 不適切です。「社会保険および関連サービス」では、社会保険は重要であるとしています。

3 適切です。エイベル-スミスとタウンゼントは、「貧困者と極貧者」を出版しています。

4 不適切です。タウンゼントが提唱した相対的剥奪とは、一般的にはできることが貧困などを理由に行うことができなくなっている状態のことです。

5 不適切です。「第三の道」の考え方が推進されたのは、サッチャー政権の後です。

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03

本設問においては、イギリスの貧困対策や調査などについて問われています。ラウントリーやブースによって実施された貧困調査やベヴァリッジ報告など、国家試験において繰り返し出題されている人物名や施策なども多いですので、重点的に勉強しておくと良いでしょう。

選択肢1. ラウントリー(Rowntree, B.)は、ロンドンで貧困調査を行い、貧困の主たる原因が飲酒や浪費のような個人的習慣にあると指摘した。

不適切です。ラウントリーはヨークで調査を行い、貧困の原因は個人的習慣ではなく賃金の低さによるものであるとしました。

選択肢2. ベヴァリッジ(Beveridge, W.)による『社会保険および関連サービス』(「ベヴァリッジ報告」)は、「窮乏」(want)に対する社会保障の手段として、公的扶助(国民扶助)が最適であり、社会保険は不要であるとした。

不適切です。ベヴァリッジ報告においては社会保障の手段としては公的扶助のみならず、社会保険の必要性もあると定義しています。

選択肢3. エイベル‒スミス(Abel-Smith, B.)とタウンゼント(Townsend, P.)は、イギリスの貧困世帯が増加していることを1960年代に指摘し、それが貧困の再発見の契機となった。

適切な内容です。エイベル‐スミスとタウンゼントの調査は、豊かな世界の中にも貧困があるという貧困の再発見の契機となりました。

選択肢4. タウンゼント(Townsend, P.)は、等価可処分所得の中央値の50%を下回る所得しか得ていない者を相対的剥奪の状態にある者とし、イギリスに多数存在すると指摘した。

不適切です。タウンゼントが定義した相対的剥奪の状態にある者とは、人が通常手に入れる事が出来る、衣・食・住に必要な物が得られないなど、一般的に得られるものが得られない状態に置かれている人の事を言います。

選択肢5. サッチャー(Thatcher, M.)が率いた保守党政権は、貧困や社会的排除への対策として、従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」の考え方に立つ政策を推進した。

不適切です。選択肢の内容はブレア政権が行った内容です。サッチャー政権は新自由主義の立場に立ち、福祉政策の削減を行いました。

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