社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
人体の構造と機能及び疾病 問7

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 人体の構造と機能及び疾病 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

注意欠如・多動症(ADHD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 学童期の有病率はおよそ20%とされている。
  • 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。
  • 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。
  • 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM−5)では、4歳以前に症状があることを診断基準としている。
  • 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

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この過去問の解説 (6件)

01

注意欠如・多動症(ADHD)、自閉症スペクトラム障害、学習障害のそれぞれの特性や違いについて整理して記憶しましょう。

選択肢1. 学童期の有病率はおよそ20%とされている。

ADHDの有病率は学齢期で 3%から7%です。

選択肢2. 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。

脳の成熟に伴い多動性、衝動性が 12 歳頃を境に減弱することが多くなってきます。成人期においては ADHD の診断基準を満たさなくなることも出てきます。

選択肢3. 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。

学校でも家庭でも症状が現れます。

選択肢4. 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM−5)では、4歳以前に症状があることを診断基準としている。

判断基準は、年齢ではありません。12歳前にいくつかの症状について、6 カ月持続したことで満たすことで判断します。

選択肢5. 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

治療においては、心理社会的治療が優先されます。薬物療法を行う場合がありますが、合わせて行うこととなっています。

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02

本設問に登場する注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意優勢型、多動性・衝動性優勢型、混合型に大別されます。

選択肢1. 学童期の有病率はおよそ20%とされている。

✕ 調査資料にもよりますが、学童期の有病率は数パーセント程とされています。発症率としては男児が女児の約2倍となっています。

選択肢2. 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。

〇 多動性の症状は、年齢を重ねて青年期や成人期になるにつれ、減少傾向となると言われています。ただし、年齢を重ねても生活の困難さが残る事が多いとされています。

選択肢3. 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。

✕ 注意力散漫な状態や、多動な状態が見られますが、その症状は学校のみではなく家庭でも見られます。

選択肢4. 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM−5)では、4歳以前に症状があることを診断基準としている。

✕ DSM-5では、少なくとも12歳前に症状が見られる事を診断基準としています。診断年齢のピークは8~10歳と言われています。

選択肢5. 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

✕ 当事者を取り巻く社会で生活しやすくできるよう、環境調整を行うなど心理社会的な支援が第一選択となります。薬物療法が第一選択となる事はありません。

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03

正解は、「多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。」です。

注意欠如・多動症(ADHD)は不注意多動・衝動性などの発達障害です。

選択肢1. 学童期の有病率はおよそ20%とされている。

❌ 学童期の有病率は5〜7%です。

選択肢2. 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。

⭕️ 注意欠如・多動症(ADHD)が完治することではありませんが、多動性の症状は成長と共に落ち着いてくることが多いです。

選択肢3. 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。

❌ 学校と家庭では環境が異なるため、発症しやすい症状が異なる場合もあるが、症状がみられないことはないです。

選択肢4. 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM−5)では、4歳以前に症状があることを診断基準としている。

❌ DSM-5では、少なくとも12歳以前の症状を診断基準としています。

注意欠如・多動症(ADHD)は2歳頃から症状が見られることもありますが、診断は7歳以降が多いです。

選択肢5. 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

❌ 治療は「心理社会的治療」と「薬物治療」が主に行われます。

まず環境調整などの心理社会的治療から始まり、必要に応じて薬物治療も追加されます。

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04

ADHDは急激に増加しています。その背景としては、ネットなど様々な要因がありますが、発達障害に関する認知度が高まってきたことも1つの要因としてあります。

発達障害のみならず、障害全体が社会にオープンとなってきた時代であるため、障害に関する問題は制度やサービスのみならず、時事問題に関してもマークしていきましょう。

選択肢1. 学童期の有病率はおよそ20%とされている。

解答:

学童期の有病率は約5%とされています。

そもそも多くありませんが、これから先増える可能性があるため、チェックが必要です。

選択肢2. 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。

解答:

成長に伴い多動性や衝動性の症状が減少する傾向があります。

選択肢3. 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。

解答:

AHDHは症状が学校でも家庭でも見受けられる場合に診断されます。

選択肢4. 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM−5)では、4歳以前に症状があることを診断基準としている。

解答:

ADHDにおけるDSM-5の診断基準は、「不注意症状」および「多動性・衝動性」の項目に該当し、かつ、12歳以前から症状が発症しているなど基準が設けられています。

選択肢5. 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

解答:

治療としては、「心理社会的治療」と「薬物療法」に分けられます。

まずは「心理社会的治療」から始めて、必要に応じて「薬物治療」を行います。

まとめ

障害に関する認知度はより高まり、一般知識にまで広まっていく可能性が考えられます。

今まで病状を知らず悩んでいた方も実は障害を持っているのではないかと考えることが想定されるため、必然的に障害者の母数も増加します。

母数が大きくなることはすなわち、新たな問題が発生することを意味し、障害者が抱える課題が多様化かつ複雑化していくため、メディアの動向をしっかり抑えていくこと自体が学習となります。

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05

正答:②

ADHDの診断方法や治療方法、特徴といった基本的知識を問う問題です。

選択肢1. 学童期の有病率はおよそ20%とされている。

解答:✕

学童期の有病率は、概ね3〜7%と言われています。

選択肢2. 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。

解答:◯

多動性の症状は、環境調整や対応方法について一定の改善が可能と言われています。成長過程の中で周囲の理解や対応方法の醸成が成されることにより、青年期以降は幼少期と比較すると改善する場合が多いです。

選択肢3. 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。

解答:✕

学校や家庭などを問わず、症状が見られます。

選択肢4. 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM−5)では、4歳以前に症状があることを診断基準としている。

解答:✕

不注意症状・多動性・衝動性で定められた症状のうち、6つ以上が少なくとも6ヶ月間持続した場合に診断されます。年齢は問いません。一般的には、12歳になる前に当該症状が見られることで診断されるケースが多いです。

選択肢5. 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

解答:✕

治療には、薬物療法と心理社会的療法があります。

まずは本人への対応方法や環境調整によって症状緩和を図る心理社会的療法から始め、徐々に薬物療法を併用することになります。

まとめ

発達障害の診断を受ける人は年々増加しています。これは認知度の増加や課題意識の向上が寄与していると考えられています。生活環境や関わり方によって、患者本人のQOLは大幅に変化します。種類ごとの傾向や対応策を押さえておきましょう。

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06

注意欠如・多動症(ADHD)は、小児期や大人によってどのように支援をするかも変わってくるので、病気の過程をおさえておくことも重要です。

選択肢1. 学童期の有病率はおよそ20%とされている。

不適切です。20%まで高くはありません。

選択肢2. 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。

適切です。成長するに伴い、適応する方法を学んでいくことも理由の一つと言われています。

選択肢3. 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。

不適切です。学校や家庭など、2つ以上の異なる状況で症状が見られることを診断基準としています。

選択肢4. 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM−5)では、4歳以前に症状があることを診断基準としている。

不適切です。12歳以前に症状があることを診断基準としています。

選択肢5. 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

不適切です。心理社会的治療が第一選択となることが多いです。

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