社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
社会理論と社会システム 問2

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 社会理論と社会システム 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

社会変動の理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。
  • テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。
  • デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。
  • スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。
  • パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。

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この過去問の解説 (6件)

01

本設問に登場する社会変動の理論は、19世紀初頭から登場し始めた理論です。

選択肢1. ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。

✕ 選択肢の内容は、スペンサーが提唱した「社会進化論」の内容です。

選択肢2. テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。

〇 適切な内容です。ゲマインシャフトの例としては、血縁関係のある家族などが挙げられます。対してゲゼルシャフトの例としては国家や会社などが挙げられます。

選択肢3. デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。

✕ 選択肢の内容を主張したのはベルです。脱工業化社会とは、第三次産業が占める割合が高まった社会の事を言います。

選択肢4. スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。

✕ 選択肢の内容は、パーソンズが主張したAGIL理論の説明となっています。

選択肢5. パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。

✕ 選択肢の内容は、デュルケムが主張した社会分業論の説明となっています。

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02

ルーマン、テンニース、デュルケム、スペンサー、パーソンズの各々の理論について、その考え方を整理しておきましょう。

選択肢1. ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。

ルーマンは、近代社会は階層的分化から機能的分化に移行するとしました。

選択肢2. テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。

テンニースは、本質意志に基づくゲマインシャフトから選択意志に基づくゲゼルシャフトに移行するとしました。

選択肢3. デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。

デュルケムは、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくとしました。産業化の進展に伴って工業社会の次の段階で脱工業社会が到来するとしたのはベルです。

選択肢4. スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。

スペンサーは、軍事型社会から産業型社会へ移行するとしました。

選択肢5. パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。

パーソンズは、近代社会においては、適応(A)、目標達成(G)、統合(I)、潜在的パターン維持(L)の四つの機能に対応することができる下位システムができあがるとしました。

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03

正解は「テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。」です。

社会変動の理論では、多くの人物が出てきます。人名とその理論についてセットで覚えましょう。

選択肢1. ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。

❌ ルーマン(Luhmann, N.)は「階層的分化から機能的分化に移行」すると主張しました。

軍事型社会から産業型社会へ移行」するとしたのは、スペンサー(Spencer, H.)です。

選択肢2. テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。

⭕️ テンニース(Tonnies, F.)の主張したゲマインシャフトゲゼルシャフトの定義を整理して覚えましょう。

選択肢3. デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。

❌ エミール・デュルケム(Durkheim, E.)はフランスの社会学者で統合社会学の提唱者です。

工業社会の次の発展段階に脱工業社会が到来すると主張したのはダニエル・ベルです。

選択肢4. スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。

❌ スペンサー(Spencer, H.)は「軍事型社会から産業型社会へ移行」するとしました。

選択肢5. パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。

❌ パーソンズ(Parsons, T.)は、構造機能分析やAGIL図式などを主張しました。

機械的連帯から有機的連帯への変化エミール・デュルケム(Durkheim, E.)が主張した社会分業論です。

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04

社会変動の理論とは、社会構造の変化のことです。

試験時に知らない単語が出てきた場合は、時間をかけて深く考えることはせず、文字から意味を予測し、解答していきましょう。

選択肢1. ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。

解答:

軍事型社会から産業型社会への移行を主張したのはスペンサーです。

ルーマンは、環節的分化(家族社会)→階層的分化(格差社会)から機能的分化(現代社会)への移行を重視しています。

選択肢2. テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。

解答:

テンニースは、ゲマインシャフト(家族など共同社会)からゲゼルシャフト(国家など利益社会)に移行すると主張しました。

選択肢3. デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。

解答:

脱工業化社会を主張したのはベルです。

デュルケムは、機械的連帯(同質的)から有機的連帯(個性的)へ変化すると主張しました。

選択肢4. スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。

解答:

4つの機能に対応した下位システム(AGIL)が現れると主張したのはパーソンズです。

スペンサーは、軍事型社会から産業型社会に移行すると主張しました。

選択肢5. パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。

解答:

機械的連帯から有機的連帯へと変化すると主張したのはデュルケムです。

パーソンズは、AGILという4つの機能要件が社会の存続に不可欠であると主張しました。

まとめ

社会学は人物が多いため、安易に覚えることは極めて難しいです。

歴史的背景をなぞり、理解することが覚える一番の近道です。

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05

社会学者と提唱した理論について、組み合わせて問われることは多いです。セットで覚えておくようにしましょう。

選択肢1. ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。

不適切です。記述内容は、スペンサーが主張しました。

選択肢2. テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。

適切です。記述の通りです。

選択肢3. デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。

不適切です。記述内容は、ベルが主張しました。

選択肢4. スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。

不適切です。記述内容は、パーソンズが主張しました。

選択肢5. パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。

不適切です。記述内容は、デュルケムが主張しました。

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06

解答:②

社会変動の理論については、提唱者とその内容を結びつけて覚えておきましょう。

選択肢1. ルーマン(Luhmann, N.)は、社会の発展に伴い、軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。

正答:✕

ルーマンは、環節的分化→階層的分化→機能的分化への移行を解きました。

軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張したのは、スペンサーです。

選択肢2. テンニース(Tonnies, F.)は、自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。

正答:◯

設問のとおりです。

選択肢3. デュルケム(Durkheim, E.)は、産業化の進展に伴い、工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。

正答:✕

デュルケムは、機械的連帯から有機的連帯へ移行すると主張しました。

設問は、ベルに関する説明です。

選択肢4. スペンサー(Spencer, H.)は、近代社会では適応、目標達成、統合、潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。

正答:✕

スペンサーは、軍事型社会から産業型社会に移行すると主張しました。

設問はパーソンズが提唱した理論です。

選択肢5. パーソンズ(Parsons, T.)は、同質的な個人が並列する機械的連帯から、異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。

正答:✕

パーソンズは、4つの機能要件が社会存続に必要だと主張した人物です。

設問はデュルケムが提唱した理論の説明です。

まとめ

他の問題と同様に、間違い選択肢は人物と提唱内容の組み合わせをシャッフルしたような内容になっています。故に、社会変動の理論に関しても全ての提唱者と内容を丸暗記する必要はありません。主要な人物の提唱内容をしっかり押さえておけば、消去法で解答できる問題です。

参考になった数4