社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
社会理論と社会システム 問7

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 社会理論と社会システム 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、ラベリング論の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考える立場である。
  • 非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で、逸脱が生じると考える立場である。
  • 地域社会の規範や共同体意識が弛緩(しかん)することから、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。
  • 下位集団における逸脱文化の学習によって、逸脱が生じると考える立場である。
  • 個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

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この過去問の解説 (6件)

01

本設問に登場するラベリング論は、1960年代にベッカーによって提唱されたものです。

選択肢1. 社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考える立場である。

〇 選択肢の通りです。

選択肢2. 非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で、逸脱が生じると考える立場である。

✕ 選択肢の内容は、マッツァなどが提唱した「漂流理論」の内容となっています。

選択肢3. 地域社会の規範や共同体意識が弛緩(しかん)することから、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

✕ 選択肢の内容は「社会統制論」の内容となっています。

選択肢4. 下位集団における逸脱文化の学習によって、逸脱が生じると考える立場である。

✕ 選択肢の内容は「文化学習理論」の内容となっています。

選択肢5. 個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

✕ ラベリング論においては、生得的な資質によって逸脱が生じるとは述べていません。ラベリング論では、社会が特定の行動を逸脱と定め、その行動を取る人を逸脱者としてレッテルを貼る事で逸脱者が生まれると考えられています。

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02

ラベリング論は、これを犯すと逸脱となるようなルールを定めて、これらから逸脱する者をアウトサイダーのラベルを貼ることにより逸脱を生み出すとされています。

選択肢1. 社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考える立場である。

ラベリング理論は社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考えます。

選択肢2. 非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で、逸脱が生じると考える立場である。

非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で逸脱が生じると考えるのは、漂流理論(ドリフト理論)です。

選択肢3. 地域社会の規範や共同体意識が弛緩(しかん)することから、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

地域社会の規範や共同体意識が弛緩することから非行や犯罪などの逸脱が生じると考えるのは、アノミー論(社会的緊張理論)です。

選択肢4. 下位集団における逸脱文化の学習によって、逸脱が生じると考える立場である。

下位集団における逸脱文化の学習によって逸脱が生じると考えるのは、文化的接触理論(文化学習理論)です。

選択肢5. 個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考えるのは生来性犯罪者説です。

参考になった数31

03

ラベリング論とは、定めた規制から外れる行為をしたものにアウトサイダー(逸脱者)のラベル(レッテル)を貼ることで逸脱が作り出されるという理論です。

選択肢1. 社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考える立場である。

解答:

ある行為を逸脱とみなし、統制しようとする(逸脱者のレッテルを貼る)ことは、逸脱が生じるため、ラベリング論の説明となります。

選択肢2. 非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で、逸脱が生じると考える立場である。

解答:

非行少年が善と悪の間を行き来しつつも、悪を選択することはドリフト(漂流)理論です。

選択肢3. 地域社会の規範や共同体意識が弛緩(しかん)することから、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

解答:

規範が緩まることにより、非行や犯罪が生じることはアノミー論です。

選択肢4. 下位集団における逸脱文化の学習によって、逸脱が生じると考える立場である。

解答:

下位集団の中での学習を通して、逸脱となる行為が生じるという考え方は分化学習理論です。

選択肢5. 個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

解答:

生まれつきの性質によって、非行や犯罪が生じるという考え方は生来性犯罪説です。

難しい内容です。

生来性犯罪説はどれかという問題が出ることは考えにくいため、覚える必要はありません。

まとめ

過去に出題された問題に設けられた選択肢の中で出現率が低いものにおいては、それを主とした問題になる確率は低いため、すべてを完璧に覚える必要はありません。

出題傾向が高い内容を確実に抑えていきましょう。

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04

ラベリング論について、各選択肢の説明が適切かどうかを確認していきます。

選択肢1. 社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考える立場である。

正解です。

本選択肢の説明文の通りです。

選択肢2. 非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で、逸脱が生じると考える立場である。

不正解です。

本選択肢は「漂流理論」について説明しています。

選択肢3. 地域社会の規範や共同体意識が弛緩(しかん)することから、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

不正解です。

本選択肢は「社会統制論」について説明しています。

社会統制が弱まると、個人は社会の規範に対する責任感や義務感を感じにくくなり、犯罪行動が増加する可能性が高まるという考え方です。

選択肢4. 下位集団における逸脱文化の学習によって、逸脱が生じると考える立場である。

不正解です。

本選択肢は「文化学習理論」について説明しています。

選択肢5. 個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

不正解です。

本選択肢は「生来性犯罪者説」について説明しています。

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05

解答:①

ラベリング論とは、1960年代にベッカーが提唱した理論です。ルールから外れる行動をしたものに「違反者」としてのレッテルを貼る(ラベリング)ことで逸脱者が生まれるという考え方です。

選択肢1. 社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考える立場である。

正答:◯

設問のとおりです。

選択肢2. 非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で、逸脱が生じると考える立場である。

正答:✕

設問は漂流理論に関する説明です。

選択肢3. 地域社会の規範や共同体意識が弛緩(しかん)することから、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

正答:✕

設問はアノミー論に関する説明です。

選択肢4. 下位集団における逸脱文化の学習によって、逸脱が生じると考える立場である。

正答:✕

設問は分化学習理論に関する説明です。

選択肢5. 個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

正答:✕

設問は生来性犯罪説に関する説明です。生まれついた個別性や生活環境によって犯罪者が生まれるという考え方です。

まとめ

この問題は、逸脱行動論におけるラベリング論を正しく理解しておくことが必要です。それぞれの理論の名称から内容を連想させることが難しい場合は、内容をしっかり覚えるようにしましょう。

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06

選択肢の中からポイントとなる単語を読みとることが大切です。また、ラベリング論は、ベッカーによって提唱されたことも併せて覚えておきましょう。

選択肢1. 社会がある行為を逸脱とみなし統制しようとすることによって、逸脱が生じると考える立場である。

適切です。記述の通りです。

選択肢2. 非行少年が遵法的な世界と非行的な世界の間で揺れ動き漂っている中で、逸脱が生じると考える立場である。

不適切です。「揺れ動き漂っている中で」とあることから、「漂流理論」について書かれていると考えることができます。

選択肢3. 地域社会の規範や共同体意識が弛緩(しかん)することから、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

不適切です。「弛緩する」とあることから、「統制理論」について書かれていると考えることができます。

選択肢4. 下位集団における逸脱文化の学習によって、逸脱が生じると考える立場である。

不適切です。「下位集団における」「学習」とあることから、「文化学習理論」について書かれていると考えることができます。

選択肢5. 個人の生得的な資質によって、非行や犯罪などの逸脱が生じると考える立場である。

不適切です。「生得的な資質」とあることから、「生来性犯罪者説」について書かれていると考えることができます。

参考になった数1