問題
〔事例〕
Cさん(30歳代、男性)は、60歳代の両親と同居している。終日、自室でオンラインゲームをして過ごしており、10年以上ひきこもりの状態にある。父親はいくつかの仕事を転々としてきたが、65歳で仕事を辞め、その後は主に基礎年金で生活をしているため、経済的にも困窮している様子である。また、母親は長年にわたるCさんとの関係に疲れており、それを心配した民生委員が、生活困窮者自立支援制度の相談機関を紹介したところ、母親は自立相談支援機関に来所し、B主任相談支援員にCさんのことを相談した。
2022年度「こども・若者の意識と生活に関する調査」によれば、広義のひきこもり状態にいる人は全国で146万人と推計されており、社会問題の一つとなっています。
〇 Cさんはひきこもりの状態が長く、社会との接点が非常に少ないと言えます。ひきこもりの人に配慮された居場所を紹介し、その場所に興味を持ってもらえれば社会との接点の復活にも繋がり、ひきこもりの状態を解消できる可能性に繋げる事が出来ます。
✕ Cさんの心理的な課題だけに焦点を絞るのではなく、Cさん自身やCさんを取り巻く環境などにも目を向けて、アセスメントを行った上で支援計画を作成する必要があります。
〇 クライエントを支援するためには、福祉専門職の支援だけでなく、クライエントを取り巻く社会資源を活用する事も有効です。ひきこもり当事者や経験者が行うピアサポートや家族会の情報を母親に提供する事も有効な支援方法と言えます。
✕ 10年以上ひきこもりの状態で、終日自室で過ごしているCさんといきなり直接会う事は、Cさんにとって負担が大きい可能性があります。Cさん自身にかかる負担が少ない方法として、顔を合わせずにコミュニケーションが取れるメールや手紙を用いた支援は適切な方法と言えます。
✕ 支援調整会議でCさんの詳細な情報を共有するのであれば、Cさんの同意を得た上で行う事が必要です。
相談支援員は相談者に対して適切かつ有効な情報提供を行うことが大切です。情報提供を行うに当たっては、多面的なアセスメントや念密な関係構築をおこなうことが必要です。
ひきこもりの人に配慮された居場所がどこにあり、何が行われているのかの情報を知らせることで、外に出るきっかけづくりになります。
Cさんのアセスメントは、身体面、心理面、社会面にわたって行う必要があります。ひきこもりには、精神障害も考えられることから、多面的なアセスメントが重要です。
セルフヘルプグループに関する情報の提供は適切です。この事例では、母親は疲れた状態で来所していることもあって有効と思われます。
長年、ひきこもり状態が続いているCさんに対面で支援しようと思ってもうまくいかないことが多いです。手紙やメールなどで関係構築したうえで、対面による支援する方法が適切と思われます。
Cさんについて何の情報もない中での支援調整会議で詳細な情報を共有することは困難と思われます。
事例を読んで、自立相談支援機関のB主任相談支援員(社会福祉士)がこの時点で検討する支援として、適切な選択肢を2つ選んでいきます。
正解です。
社会との接点が少ないと考えられるⅭさんに、まずは地域での居場所の情報を提供していきます。
不正解です。
心理的な課題に対するアセスメントも必要ですが、初期段階ではⅭさんを取り巻く環境も含めた全体像を検討していきます。
正解です。
Ⅽさん本人だけでなく、家族も含めた支援につながる情報を提供します。
不正解です。
いきなり対面での相談はⅭさんへの負担が大きいため、まずはメール等の間接的な方法を検討します。
不正解です。
支援調整会議で情報を共有する場合にはⅭさんの同意を得ます。