社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
地域福祉の理論と方法 問10

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 地域福祉の理論と方法 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、会議に向けたD社会福祉士の方針に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
独立型社会福祉士事務所のD社会福祉士は、一人暮らしのEさん(85歳、女性、要介護1、身寄りなし)の保佐人を務めている。Eさんが熱中症の症状で入院することになった際、担当介護支援専門員からEさんの退院後の支援方針について会議を持ちたいと提案があった。担当介護支援専門員は、Eさんは認知機能の低下もあり、単身生活に不安を表明する近隣住民もおり、今後の本人の安全も考えるとサービス付き高齢者向け住宅への転居を検討すべきではないかと話している。また、長年見守りを続け、Eさんが信頼を寄せるF民生委員は、「本人の思いを尊重したい」と述べている。

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この過去問の解説 (3件)

01

社会福祉士の倫理綱領の倫理基準には、「クライエントの利益の最優先」や「自己決定の尊重」が規定されており、社会福祉士はそれに沿った行動が求められます。

選択肢1. Eさんの最善の利益を実現するため、Eさんにサービス付き高齢者向け住宅への転居を促す。

Eさんの意思が分からないのに、最善の利益をいうのは適切ではありません。

選択肢2. Eさんにとって危険な状況であるため、緊急的な措置入所の可能性を検討する。

熱中症でなければ、生活が続けられていたと思われますので、それほどの危険な状況とはいえない可能性があります。

選択肢3. Eさんの意思を尊重するため、専門職を中心に自宅で暮らし続ける方法を検討する。

Eさんの意思は明確だとはいえません。

選択肢4. Eさんが思いを表明しやすくするため、Eさんが信頼するF民生委員に会議に同席してもらう。

Eさんの意思を確認するために、Eさんが信頼するF民生委員に会議に同席することは適切です。

選択肢5. Eさんは認知機能の低下が見込まれるため、会議ではEさんや関係者で判断せず、かかりつけ医の判断に委ねる。

判断まで委ねるのは適切とは言えません。

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02

社会福祉士の重要な役割として、クライエントの自己決定を支援する事やクライエントの権利を守るというものがあります。それを実践するためには、本人の立場に立って考える事が重要です。

選択肢1. Eさんの最善の利益を実現するため、Eさんにサービス付き高齢者向け住宅への転居を促す。

✕ Eさんの近隣住民の方などは、Eさんが一人暮らしをする事に不安を感じているようですが、Eさん自身の意向を確認せず、サービス付き高齢者向け住宅へ転居を促す事は適切な支援とは言えません。また、サービス付き高齢者向け住宅への転居がEさんにとっての最善の利益であるかどうかはわからないため、Eさんにとっての最善の利益が何かをEさんと一緒に考える事が大切です。

選択肢2. Eさんにとって危険な状況であるため、緊急的な措置入所の可能性を検討する。

✕ Eさんは熱中症になりましたが、それだけで緊急的な措置入所を検討する事は時期尚早です。Eさんが体調を崩さないようにサービス調整を行ったり、環境整備などによって体調の維持が出来るかどうかなどを検討する必要があると考えられます。

選択肢3. Eさんの意思を尊重するため、専門職を中心に自宅で暮らし続ける方法を検討する。

✕ Eさんの意思を尊重した支援を行うためには、Eさんを中心に生活環境を検討する必要があります。

選択肢4. Eさんが思いを表明しやすくするため、Eさんが信頼するF民生委員に会議に同席してもらう。

〇 EさんはF民生委員に信頼を寄せており、F民生委員も「本人の思いを尊重したい」と述べています。Eさんの思いに対してF民生委員が寄り添って下さると考えられるため、会議に同席してもらう事はEさんにとって安心感に繋がると思われます。

選択肢5. Eさんは認知機能の低下が見込まれるため、会議ではEさんや関係者で判断せず、かかりつけ医の判断に委ねる。

✕ 認知機能の低下が見られる方であったとしても、本人の意思になるべく沿った生活を検討する事が重要です。かかりつけ医の判断に全てを委ねる事は、Eさんの意思を尊重しているとは言えないため、適切な対応とは言えません。

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03

独立型社会福祉士とは、一般に、地域を基盤として独立した立場でソーシャルワークを実践するものをいうとされます。独立型社会福祉士の重要な仕事の一つとして、成年後見活動があります。事例を通して、独立型社会福祉士の役割、成年後見人の役割などを理解しましょう。

選択肢1. Eさんの最善の利益を実現するため、Eさんにサービス付き高齢者向け住宅への転居を促す。

適切ではありません。関係者がEさんの意思決定支援を尽くした状態とは考えられず、本人の意向を確認しない段階での具体的な提案は不適切と考えます。

選択肢2. Eさんにとって危険な状況であるため、緊急的な措置入所の可能性を検討する。

適切ではありません。Eさんに自傷他害のおそれがあると判断できません。

選択肢3. Eさんの意思を尊重するため、専門職を中心に自宅で暮らし続ける方法を検討する。

適切ではありません。事例ではまだEさんは自身の意思を明確に表明していません。

選択肢4. Eさんが思いを表明しやすくするため、Eさんが信頼するF民生委員に会議に同席してもらう。

適切です。「Eさんが信頼するF民生委員にしてもらうしてもらう」ことは、Eさんの意思決定のための支援と捉えられます。

選択肢5. Eさんは認知機能の低下が見込まれるため、会議ではEさんや関係者で判断せず、かかりつけ医の判断に委ねる。

適切ではありません。「Eさんは認知機能の低下が見込まれる」としても、本人の意向・希望を支援の中心に据えるべきです。この段階で、関係者がEさんの意思決定支援を尽くした状態とは考えられず、かかりつけ医の判断に委ねることは不適切です。

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