問題
〔事例〕
Lさん(30歳)は、視覚障害により障害等級1級の身体障害者手帳の交付を受けている。慣れた場所では白杖(はくじょう)を利用し単独で歩行でき、日中は一般就労に従事している。これまで実家暮らしで家族から介護を受けてきたが、職場近くの賃貸住宅を借り、そこで一人暮らしをしようと準備している。これからは、趣味や外食のため、行ったことがない所にも積極的に外出したいと考えている。Lさんの障害支援区分は3で、調理、洗濯、掃除等の家事援助を必要としている。
障害者総合支援法にかかる支援区分において利用できる障害福祉サービスについて整理しておきましょう。
居宅介護は障害支援区分3であり、調理,洗濯,掃除等の家事援助を必要としている L さんは利用可能です。
重度訪問介護は、重度の肢体不自由者その他の障害者であって常に介護が必要な人(障害支援区分4以上。入院・入所している場合は区分6)への支援を行うものです。Lさんは障害支援区分3なので重度訪問介護の利用はできません。
同行援護は視覚障害者が移動するときの外出支援等を行うものです。視覚障害があれば利用できます。
行動援護は知的障害者・精神障害者に対して危険を回避するための必要な支援や外出支援を行います。Lさんは視覚障害者なので対象外です。
Lさんは障害支援区分3で、重度障害者等包括支援の対象者(介護度が高い障害支援区分6)ではないので利用できません。
障害者総合支援法において提供されるサービスについて問う問題です。各選択肢の内容を理解するとともに、利用できる障害支援区分について学習しておきましょう。
適切です。「居宅介護」は、居宅において行われる、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を提供するサービスです。原則として、障害支援区分が1以上(障害児にあってはこれに相当する支援の度合)である者が利用できます。
Lさんは障害支援区分が3であり、またニーズともマッチしています。
適切ではありません。「重度訪問介護」は、重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要するものにつき、居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助並びに外出時における移動中の介護を総合的に行うとともに、病院等に入院又は入所している障害者に対して意思疎通の支援その他の支援を提供するサービスです。原則として、障害支援区分が区分4以上で一定の条件を満たす者が利用できます。
Lさんは障害支援区分が3であり、また他の要件にも合致しません。
適切です。「同行援護」は、視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の当該障害者等が外出する際の必要な援助を提供するサービスです。利用には、障害支援区分の認定を必要としませんが、一定の条件があります。
Lさんのニーズとマッチしています。
適切ではありません。「行動援護」は、知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等が行動する際の必要な援助を提供するサービスです。障害支援区分が区分3以上であって一定条件を満たすものが利用できます。
Lさん状況は要件に合致しません。
適切ではありません。「重度障害者等包括支援」は、常時介護を要する障害者等であって、意思疎通を図ることに著しい支障があるもののうち、四肢の麻痺及び寝たきりの状態にあるもの並びに知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有するものにつき、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助を包括的に提供するサービスです。障害支援区分が6であって一定条件を満たす者が利用できます。
Lさんは障害支援区分が3であり、また他の要件にも合致しません。
選択肢のサービスについて、それぞれ対象者や内容を理解しておくことが重要です。事例をよく読むことで、Lさんのニーズや現状を理解し、どのサービスが必要なのかを選ぶことができます。
適切です。「調理、洗濯、掃除等の家事援助を必要としている」ことから、居宅介護が必要であることがわかります。
不適切です。Lさんは障害支援区分3です。重度訪問介護の対象が区分4以上とされていることから不適切であるとわかります。
適切です。「趣味や外食のため、行ったことがない所にも積極的に外出したい」とありますので、外出支援を行う同行援護が必要です。
不適切です。「行動援護」は、常に介護が必要な方が対象となります。Lさんは「慣れた場所では白杖を利用し単独で歩行でき」とありますので、「行動援護」は適さないことがわかります。「同行援護」と「行動援護」の違いをおさえておきましょう。
不適切です。「重度障害者等包括支援」は、常に介護が必要な方が対象となります。
事例を読んだ上で、Lさんが必要とする支援と、サービスを受けるための条件を満たしているかどうかを確認していきます。
正解です。
居宅介護は障害者支援区分が1以上で利用できるため、調理、洗濯、掃除等の家事援助を必要としているLさんのニーズとも一致します。
不正解です。
重度訪問介護は、障害者支援区分が4以上で麻痺等がある方が対象となっています。
正解です。
同行援護は、視覚障害があり、移動等が困難な方を対象としたサービスでありLさんのニーズと一致します。
不正解です。
行動援護は障害により、行動上著しい困難を有する方等であって常時介護を有する方を対象としています。
不正解です。
重度障害者等包括支援は障害支援区分が6に該当し、常時介護を要する方が対象となっています。
正解は「居宅介護」と「同行援護」です。
区分によっての障害の程度や、利用できるサービスの名称と内容について確認しておきましょう。
⭕️ 居宅介護は原則、障害支援区分1以上の居宅にホームヘルパーが訪問して家事生活全般をサポートするサービスです。Lさんのニーズに当てはまり、利用可能です。
❌ 重度訪問介護は原則、障害支援区分4以上の居宅にホームヘルパーが訪問して食事や入浴などの生活全般をサポートするサービスです。Lさんは利用できません。
⭕️ 同行援助は、利用条件はありますが、障害支援区分の認定は不要です。視覚障害があり、外出を希望しているLさんのニーズに当てはまり、利用可能です。
❌ 行動援護は原則、障害支援区分が区分3以上で常時介護を必要とする人が受けるサービスです。Lさんは利用できません。
❌ 重度障害者等包括支援は障害支援区分が6の常時介護を必要とする人が包括的にサービスを受けるためのサービスです。Lさんは利用できません。