社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
低所得者に対する支援と生活保護制度 問2

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 低所得者に対する支援と生活保護制度 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

現行の生活保護法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 生活保護は、日本国憲法第21条が規定する理念に基づいて行われる。
  • 生活保護が目的とする自立とは、経済的自立のみを指している。
  • 能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、生活の維持及び向上に努めなければ、保護を申請できない。
  • 補足性の原理によって、扶養義務者のいる者は保護の受給資格を欠くとされている。
  • 保護の基準は、保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、これを超えないものでなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

生活保護法の4つの基本原理は、国家責任、無差別平等、最低生活、保護の補足性となっています。その原理に基づいた基準や目的についても整理しておきましょう。

選択肢1. 生活保護は、日本国憲法第21条が規定する理念に基づいて行われる。

生活保護法は、日本国憲法第 25 条(生存権)に基づいて制定されています。

選択肢2. 生活保護が目的とする自立とは、経済的自立のみを指している。

自立には経済的自立のみならず、日常生活での健康や生活管理に関する日常生活自立や、社会において生活できる社会生活自立があります。

選択肢3. 能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、生活の維持及び向上に努めなければ、保護を申請できない。

「常に、能力に応じて勤労に励み,支出の節約を図り、その他生活の維持,向上に努めなければならない」という生活上の義務がありますが、どのような状態であっても申請はできます。

選択肢4. 補足性の原理によって、扶養義務者のいる者は保護の受給資格を欠くとされている。

生活保護法には「扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」という補足性の原理があります。しかし扶養義務者が扶養できない場合は保護を受けることが可能です。

選択肢5. 保護の基準は、保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、これを超えないものでなければならない。

生活保護法では「保護基準は要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これをこえないものでなければならない」という基準及び程度の原則があり、あくまで「こえない」ことが要件になっています。

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02

生活保護法の内容の基本的な部分について問われています。設問以外にも、生活扶助・教育扶助等保護の種類についてもよく問われますので、確認しておきましょう。

選択肢1. 生活保護は、日本国憲法第21条が規定する理念に基づいて行われる。

不適切です。日本国憲法第25条に規定する理念に基づいて行われます。

選択肢2. 生活保護が目的とする自立とは、経済的自立のみを指している。

不適切です。経済的自立の他に、社会的自立、日常生活の自立も目的としています。

選択肢3. 能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、生活の維持及び向上に努めなければ、保護を申請できない。

不適切です。法律の要件を満たす限り、無差別平等に受けることができるとされています。

選択肢4. 補足性の原理によって、扶養義務者のいる者は保護の受給資格を欠くとされている。

不適切です。生活保護法による保護に優先して行われることについて定められていますが、受給資格を欠くとはされていません。

選択肢5. 保護の基準は、保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、これを超えないものでなければならない。

適切です。第8条2項に規定されています。

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03

本設問では、生活保護の申請や受給資格について問われています。生活保護法の基本的な内容を理解しておく事が必要となります。

選択肢1. 生活保護は、日本国憲法第21条が規定する理念に基づいて行われる。

✕ 生活保護法は日本国憲法第25条に規定されている「生存権」に基づいて行われています。

選択肢2. 生活保護が目的とする自立とは、経済的自立のみを指している。

✕ 生活保護が目的とする自立は、経済的自立の他、「社会生活自立」と「日常生活自立」も含まれています。

選択肢3. 能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、生活の維持及び向上に努めなければ、保護を申請できない。

✕ 生活保護の申請を行う事に規定はありません。選択肢の内容は生活保護を受給している人に対して課せられる義務となっています。

選択肢4. 補足性の原理によって、扶養義務者のいる者は保護の受給資格を欠くとされている。

✕ 補足性の原理の中には「扶養義務者の扶養義務の履行を保護に優先する事」という項目があるため、扶養義務者が扶養可能な場合は生活保護の受給が出来ない事もあります。しかし、扶養義務者が様々な理由で扶養が出来なかったり、扶養義務があってもそれを拒否した場合には、扶養義務者がいても生活保護を受給する事が出来ます。

選択肢5. 保護の基準は、保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、これを超えないものでなければならない。

〇 生活保護法第8条に規定されています。

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