社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
保健医療サービス 問6

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 保健医療サービス 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、W病院の医療相談室のD医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)による、妊婦であるEさんへの支援に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Eさん(33歳)は、会社員の夫(38歳)の健康保険の被扶養者であり、夫の母親(78歳、軽度の認知症、要介護1)と3人暮らしである。Eさんは現在、妊娠20週目で、第一子を出産予定である。実家は遠方で、実両親も高齢であることから、産後の子育てと義母の介護の両立に不安を抱えていた。義母は、昼間は通所型サービスを利用しているが、帰宅後は毎日同じ話を繰り返している。夫も多忙で残業も多く、頼りにできないとの思いを持っている。妊婦健診の結果は良好であるが、今後のことを考えると不安であるため、受診しているW病院の医療相談室を訪問した。
  • 特定妊婦の疑いがあるため、地域包括支援センターに連絡をする。
  • 出産手当金を受け取れることを説明する。
  • 認知症高齢者の家族の会などの当事者同士が支え合う活動を紹介する。
  • 義母の介護のために特殊寝台の貸与サービスを勧める。
  • 産前・産後の不安や負担などを相談するために母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を紹介する。

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この過去問の解説 (3件)

01

医療ソーシャルワーカーは病院の医療相談室において、医療サービスの疑問や、退院支援、医療費支払いなど様々な相談に応じます。

選択肢1. 特定妊婦の疑いがあるため、地域包括支援センターに連絡をする。

特定妊婦の疑いがある時に連絡するのは、母子健康包括支援センターです。母子健康包括支援センターは母子保健法で規定されており、各市町村の設置が努力義務規定になっています。

選択肢2. 出産手当金を受け取れることを説明する。

出産手当金は被保険者自身が出産のため仕事に就けずに給与が受け取れない場合に保障されるもので、Eさんは被扶養者なので受け取ることができません。

選択肢3. 認知症高齢者の家族の会などの当事者同士が支え合う活動を紹介する。

家族の会などを紹介することは、介護の不安に対して有効と思われます。

選択肢4. 義母の介護のために特殊寝台の貸与サービスを勧める。

義母の介護には、特殊寝台を利用するほど重度とは思われません。

選択肢5. 産前・産後の不安や負担などを相談するために母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を紹介する。

母子健康包括支援センターを紹介することは育児の不安解消には有効です。

参考になった数24

02

自身の出産・子育てと、義母の介護の両方に不安を抱えているEさんの事例です。具体的にどのようなことが不安であるかを読み取り、それに対する適切な支援は何かを考えましょう。

選択肢1. 特定妊婦の疑いがあるため、地域包括支援センターに連絡をする。

不適切です。Eさんが特定妊婦の疑いがあるとは読み取れません。また、地域包括支援センターは、高齢者福祉の相談窓口であるため、特定妊婦の相談窓口としては不適切です。

選択肢2. 出産手当金を受け取れることを説明する。

不適切です。Eさんは働いているわけではないので、出産手当金の対象外です。

選択肢3. 認知症高齢者の家族の会などの当事者同士が支え合う活動を紹介する。

適切です。義母が「軽度の認知症」「毎日同じ話を繰り返している」「今後のことを考えると不安」とあることから、Eさんは義母の介護について不安であり、軽減のために、社会資源を紹介することは適切です。

選択肢4. 義母の介護のために特殊寝台の貸与サービスを勧める。

不適切です。義母が要介護1であることや、身体介護が大変という内容が読み取れないことから、特殊寝台の貸与サービスを勧めることは不適切です。

選択肢5. 産前・産後の不安や負担などを相談するために母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を紹介する。

適切です。産後の子育てについても不安があることから、相談できる機関を紹介することは適切です。

参考になった数10

03

本事例に登場する「子育て世代包括支援センター」は2017年4月1日に児童福祉法の改正が行われた事によって創設されました。

選択肢1. 特定妊婦の疑いがあるため、地域包括支援センターに連絡をする。

✕ 「特定妊婦」とは、出産後の養育について出産前から支援を行う事が特に必要と認められる妊婦の事を言います。妊娠や出産、その後の育児等について不安がある場合などは、地域包括支援センターではなく「子育て世代包括支援センター」が相談窓口となります。

選択肢2. 出産手当金を受け取れることを説明する。

✕ 「出産手当金」は、社会保険に加入している被保険者自身が出産のために仕事を休み、その間の期間が無給または出産手当金より少ない給与しか受け取れない際に受けとる事が可能となります。本事例ではEさんは夫の被扶養者となっているため、出産手当金を受け取る事はできません。

選択肢3. 認知症高齢者の家族の会などの当事者同士が支え合う活動を紹介する。

〇 Eさんの義母は認知症で介護が必要な状態であり、出産後の育児と介護の両立に対してEさんは不安を感じています。当事者同士が支え合う家族の会では、Eさんと同じ状況に置かれている人や、Eさんの状況を理解してくれる人達との繋がりが出来る可能性が高く、Eさんの生活の支えになると思われます。

選択肢4. 義母の介護のために特殊寝台の貸与サービスを勧める。

✕ 特殊寝台の貸与サービスは、原則要介護2より重度の方のサービスとなっています。Eさんの義母は要介護1に認定されており、特殊寝台が必要な状態と認められない限りは貸与サービスを受ける事はできません。本事例において、Eさんの義母に特殊寝台の必要性は感じられず、適切な支援とは言えません。

選択肢5. 産前・産後の不安や負担などを相談するために母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を紹介する。

〇 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)には、保健師などの専門職が配置されており、出産や育児に関する相談にのってくれます。Eさんの不安軽減に繋がると考えられ、適切な支援と言えます。

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