問題
〔事例〕
Vフォスタリング機関のソーシャルワーカーであるD相談員は、養育里親であるEさん夫婦からFさん(9歳)の相談を受けた。Eさん夫婦はFさんの養育里親委託を受け、5年になる。このところ、Fさんが実親のことを詳しく知りたいと言い出し、どうしたらよいか悩んでいると話す。Eさん夫婦は、実親のことを知ることで、自分たちとの関係が不安定になるのではないかと危惧しているとD相談員に話した。
この問題はフォスタリング業務の支援内容に関して問われています。
ポイントは、Fさんの社会的養護における権利擁護を基に支援がなされているかどうかです。それは子どもの最善の利益を優先して対応ができているかということになります。
本項は正答以外はFさんの社会的養護における権利擁護を基に支援がなされていません。
その通りです。
里親養育包括支援(フォスタリング)機関において相談を担う専門職の社会福祉士が担うべき役割について確認しておきましょう。
Fさんには実親を知る権利があります。
Fさんの最善の利益を考えて、実親のことをどのように伝えるかについて相談することは適切です。
最も優先されるのは、Fさんの最善の利益です。
Fさんには実親を知る権利があります。
Fさんには実親を知る権利がありますが、直ちに伝えなければならないということではありません。タイミングをみながら、F さんの最善の利益を考えていくことが大切です。
「社会的養護」については、養育者の家庭に児童を迎え入れて養育を行う里親やファミリーホーム(家庭養護)を優先するとの原則がありますが、現時点でも社会的養護を必要とする児童の約8割が施設に入所しているという現状があります。
また、児童の権利に関する条約3条には「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」と定められています。
フォスタリング機関のソーシャルワーカー及び里親は、社会的養護の基本理念に立ち返って、行動する必要があります。
なお、「里親は、児童に対して、実親のこと等適切な情報提供を適切な時期に行うこと。その際は、児童相談所と十分な連携を図ること」と厚労省通知(平成14年雇児発0905002)に記載されています。
適切ではありません。「思春期に入る前」だから実親の情報提供を行う時期として不適切とは言いきれません。
適切です。記述の通りです。
適切ではありません。「Eさん夫婦が自分たちを追い詰めないことを優先する」のではなく、Fさんの最善の利益を検討する必要があります。
適切ではありません。実親のことを伝える時期は適切か、どのように伝えるか、関係機関と連携はとれているかなど検討する前段階での「実親のことを知らない方がFさんのため」との助言は、Fさんの最善の利益を考慮した対応とは考えられません。
適切ではありません。実親のことを伝える時期は適切か、どのように伝えるか、関係機関と連携はとれているかなど検討する必要があります。