社会福祉士 過去問
第36回(令和5年度)
問76 (保健医療サービス 問7)

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問題

社会福祉士試験 第36回(令和5年度) 問76(保健医療サービス 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年(平成30年)改訂版)」(厚生労働省)に沿った対応の方針として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
Gさん(72歳)は、妻(70歳)と二人暮らし。10年前より筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断を受け、在宅で療養を続けてきた。診断を受けた当初、「人工呼吸器は装着せずに、自宅で自然な状態で最期を迎えたい」と言っていた。1か月前から言語の表出、自発呼吸が困難となり、人工呼吸器の装着について検討することとなった。
  • 診断を受けた当初のGさんの意思を優先する。
  • Gさんに代わって、妻の判断を優先する。
  • Gさん、家族、医療・ケアチームによる話し合いの場を設定する。
  • 家庭裁判所に判断を求める。
  • 医師の医学的判断により決定する。

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この過去問の解説 (2件)

01

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年改訂版)」の実際の運用について整理しておきましょう。

 

選択肢1. 診断を受けた当初のGさんの意思を優先する。

本人の意思は変化する可能性があるため、繰り返し話し合うことが重要です。

選択肢2. Gさんに代わって、妻の判断を優先する。

本人の意思決定を基本としつつも、意思を伝えられなくなった場合に備え、特定の家族などを本人が前もって意思を推定する者として定めることができます。

妻が意思推定者となる場合もありますが、それはGさんが前もって決めた場合に限ります。

選択肢3. Gさん、家族、医療・ケアチームによる話し合いの場を設定する。

Gさん、家族、医療・ケアチームによる話し合いの場を設定します。

選択肢4. 家庭裁判所に判断を求める。

家庭裁判所の判断は必要としません。

選択肢5. 医師の医学的判断により決定する。

本人の意思決定を基本とし、多職種で構成される医療・ケアチームが方針を決定します。

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02

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインでは

「医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて 医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、 人生の最終段階における医療・ケアを進める」と定められていますので、その原則をおさえておく事が重要です。

選択肢1. 診断を受けた当初のGさんの意思を優先する。

✕ 診断を受けたのは10年前であり、療養生活を通して当初の意思と現在の意思が変化している場合もあります。改めてGさんの意思を確認する必要があると考えられます。

選択肢2. Gさんに代わって、妻の判断を優先する。

✕ Gさんは1か月前から言語の表出や自発呼吸が困難になってはいますが、意思表示が出来ないとは書かれていません。妻に全ての判断を任せるのではなく、可能な限りGさん自身に意思確認を試みる事が必要です。

選択肢3. Gさん、家族、医療・ケアチームによる話し合いの場を設定する。

〇 医療専門職からGさんに対して病状や、人工呼吸器を使用した場合としなかった場合のメリット・デメリットについて十分説明を行い、今後の療養方針について話し合う事は重要です。それを理解した上で、Gさん自身に今後の生活について意向を確認し、その意向を参加者全員で共有しておく事も大切です。

選択肢4. 家庭裁判所に判断を求める。

✕ 本人の意思決定が基本となるため、家庭裁判所に判断を求める必要はありません。

選択肢5. 医師の医学的判断により決定する。

✕ 医師の医学的判断ではなく、あくまで本人の意思が優先されます。ただし、医療従事者は本人の意思決定により今後予想される状態などを説明し、それに対して理解を得た上で意思決定できるよう支援する必要があります。

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