社会福祉士 過去問
第36回(令和5年度)
問80 (権利擁護と成年後見制度 問4)
問題文
事例を読んで、Dさんについての後見開始の審判をEさんが申し立てた主な理由として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Dさん(80歳)は、子のEさんが所有する建物に居住していたが、認知症のため、現在は指定介護老人福祉施設に入所している。Dさんの年金だけでは施設利用料の支払いが不足するので、不足分はEさんの預金口座から引き落とされている。施設で安定した生活を営んでいるものの医師からは白内障の手術を勧められている。近時、Dさんの弟であるFさんが多額の財産を遺して亡くなり、Dさんは、Dさんの他の兄弟とともにFさんの財産を相続することとなった。Eさんは、家庭裁判所に対しDさんについて後見を開始する旨の審判を申し立てた。
〔事例〕
Dさん(80歳)は、子のEさんが所有する建物に居住していたが、認知症のため、現在は指定介護老人福祉施設に入所している。Dさんの年金だけでは施設利用料の支払いが不足するので、不足分はEさんの預金口座から引き落とされている。施設で安定した生活を営んでいるものの医師からは白内障の手術を勧められている。近時、Dさんの弟であるFさんが多額の財産を遺して亡くなり、Dさんは、Dさんの他の兄弟とともにFさんの財産を相続することとなった。Eさんは、家庭裁判所に対しDさんについて後見を開始する旨の審判を申し立てた。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
社会福祉士試験 第36回(令和5年度) 問80(権利擁護と成年後見制度 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
事例を読んで、Dさんについての後見開始の審判をEさんが申し立てた主な理由として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Dさん(80歳)は、子のEさんが所有する建物に居住していたが、認知症のため、現在は指定介護老人福祉施設に入所している。Dさんの年金だけでは施設利用料の支払いが不足するので、不足分はEさんの預金口座から引き落とされている。施設で安定した生活を営んでいるものの医師からは白内障の手術を勧められている。近時、Dさんの弟であるFさんが多額の財産を遺して亡くなり、Dさんは、Dさんの他の兄弟とともにFさんの財産を相続することとなった。Eさんは、家庭裁判所に対しDさんについて後見を開始する旨の審判を申し立てた。
〔事例〕
Dさん(80歳)は、子のEさんが所有する建物に居住していたが、認知症のため、現在は指定介護老人福祉施設に入所している。Dさんの年金だけでは施設利用料の支払いが不足するので、不足分はEさんの預金口座から引き落とされている。施設で安定した生活を営んでいるものの医師からは白内障の手術を勧められている。近時、Dさんの弟であるFさんが多額の財産を遺して亡くなり、Dさんは、Dさんの他の兄弟とともにFさんの財産を相続することとなった。Eさんは、家庭裁判所に対しDさんについて後見を開始する旨の審判を申し立てた。
- Dさんの手術についての同意
- Dさんが入所する指定介護老人福祉施設との入所契約の解約
- Dさんが参加するFさんについての遺産分割協議
- Dさんが入所前に居住していたEさん所有の建物の売却
- Dさんの利用料不足分を支払っているEさんの預金の払戻し
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (2件)
01
後見開始の審判について整理しておきましょう。
現時点では、医療同意権(手術などの同意)は成年後見人には付与されていません。
入所契約は、入居者が死亡した時点で終了します。特段の手続きは必要ありません。
DさんはFさんの財産を相続する権利を持つ者です。しかし、Dさんは認知症のため、遺産分割協議に適切に参加できません。そのため、成年後見人を選任して協議に参加させる必要があります。
子のEさんの所有なので、売却はEさんが行います。
預金の払い戻しはEさんが行うことになります。
参考になった数65
この解説の修正を提案する
02
成年後見制度は、任意後見制度と法定後見制度の2種類に大別されます。
✕ 後見人には取消権や包括的代理権などが付与されます。そして、後見人には身上監護や財産管理などの業務が課されるため、医療を受けるための契約の締結を行う事は可能ですが、医療行為への同意については本人の意思で行うものであり、成年後見人には同意権がありません。そのため、手術についての同意を得るために後見開始の審判を申請する理由にはなりません。
✕ 本事例において、Dさんが入所する指定介護老人福祉施設との契約を解約したいと考えている描写は見られません。入所契約の解約を目的に後見開始の審判を申し立てる必要はないと考えられます。
〇 Dさんは認知症があり、それが理由で指定介護老人福祉施設へ入居しています。そのため、遺産分割協議へ参加しても正常な判断が困難な可能性もあります。
後見人は判断力が低下している被後見人の利益を守るために、遺産分割協議に参加する事が出来ます。その際、後見人は被後見人が不当に少ない相続分で合意する事が無いようにする義務があるため、法定相続分を確実に確保する事が可能になります。施設の利用料が不足し、子どもであるEさんがその差額を支払っている事を考えると、法定相続分の金額を確実に得るために、後見開始の審判の申立てを行う事は適切な行動と考えられます。
✕ 居住用不動産の処分については、事前に裁判所の許可を受けて後見人が行う事も可能です。しかし、Dさんが入所前に居住していた建物はEさんが所有しているためDさんの物ではなく、後見人が処分する事はできません。入居前に居住していた建物の売却を目的に後見開始の審判を申し立てる理由にはなりません。
✕ Eさんの預金の払戻しを行えるのはEさんです。Dさんに後見人が付いたとしても、Eさんの預金を払戻す行為は行えません。
参考になった数2
この解説の修正を提案する
前の問題(問79)へ
第36回(令和5年度) 問題一覧
次の問題(問81)へ