社会福祉士 過去問
第36回(令和5年度)
問97 (相談援助の基盤と専門職 問7)

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問題

社会福祉士試験 第36回(令和5年度) 問97(相談援助の基盤と専門職 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例の場面において、複数のシステムの相互作用をもたらすシュワルツ(Schwartz, W.)の媒介機能を意図した支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
自閉傾向のあるCさん(10歳)の母親が、市の子育て支援課の窓口に久しぶりに相談に来た。D相談員(社会福祉士)がCさんについて、この間の様子を聞いたところ、言語的なコミュニケーションは少ないが、最近は絵を描くことが好きになってきたとのことであった。
  • 次回面接では親子で来所することと、Cさんの描いた絵を持ってくるよう依頼した。
  • 親子で共通する話題や目的をつくるために、市主催のアートコンクールに出展する絵を描くよう勧めた。
  • 絵によるコミュニケーションカードを親子で作成し、日常生活で使うよう勧めた。
  • 市内にある大きな文房具店を紹介し、親子で一緒に絵を描く道具を見に行くことを勧めた。
  • 障害児と親が活発に参加している絵画サークルに親子で参加し、児童や親達と交流することを勧めた。

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この過去問の解説 (3件)

01

シュワルツ(Schwartz, W.)は、個人と社会の関係は共生的な相互依存関係にあるとし、ソーシャルワーカーの媒介機能を重視しました。

 

選択肢1. 次回面接では親子で来所することと、Cさんの描いた絵を持ってくるよう依頼した。

Cさんが描いた絵を持参するよう依頼する目的は、D相談員による支援の一環であり、処遇的機能に当たります。

選択肢2. 親子で共通する話題や目的をつくるために、市主催のアートコンクールに出展する絵を描くよう勧めた。

親子で共通の話題や目的を持つために絵を描くよう勧めるのは教育的機能です。

選択肢3. 絵によるコミュニケーションカードを親子で作成し、日常生活で使うよう勧めた。

親子で使用するためにコミュニケーションカードを作成し、活用を勧めるのも教育的機能です。

選択肢4. 市内にある大きな文房具店を紹介し、親子で一緒に絵を描く道具を見に行くことを勧めた。

市内の大規模文房具店を紹介するのは媒介機能に近いですが、媒介機能は相互作用モデルに基づいています。

選択肢5. 障害児と親が活発に参加している絵画サークルに親子で参加し、児童や親達と交流することを勧めた。

障害児と親が参加している絵画サークルに親子で参加し、児童や親たちと交流することを勧めるのは、相互作用モデルに基づく媒介機能です。

参考になった数76

02

シュワルツの媒介機能を意図した支援とは、個人と社会がお互いにとって良い関係を築けるよう、ソーシャルワーカーが媒介となって働きかける事を言います。本設問ではシュワルツの媒介機能を意図した支援について問われているため、個人(Cさん、Cさんの母)がそれ以外の社会と接点を持ち、お互いにとって良い関係となれるように働きかけている事が必要です。

選択肢1. 次回面接では親子で来所することと、Cさんの描いた絵を持ってくるよう依頼した。

✕ 次回面接で親子での来所とCさんの描いた絵を持参するように求めているため、個人への働きかけとなっています。媒介機能を活かした支援とは言えません。

選択肢2. 親子で共通する話題や目的をつくるために、市主催のアートコンクールに出展する絵を描くよう勧めた。

✕ 親子のコミュニケーションが円滑に進む事を目的とした支援内容となっており、媒介機能を活かした支援とは言えません。

選択肢3. 絵によるコミュニケーションカードを親子で作成し、日常生活で使うよう勧めた。

✕ 親子でのコミュニケーションを円滑に進められるような用品作成を勧めており、個人のみに働きかけている支援のため、媒介機能を活かした支援とは言えません。

選択肢4. 市内にある大きな文房具店を紹介し、親子で一緒に絵を描く道具を見に行くことを勧めた。

✕ 文房具店を紹介する事は、社会資源の紹介にはなっていますが、文房具店と親子の双方にとって良い関係を築けるような支援を行っているとは言えないため、媒介機能を活かした支援とは言えません。

選択肢5. 障害児と親が活発に参加している絵画サークルに親子で参加し、児童や親達と交流することを勧めた。

〇 Cさん親子が絵画サークルに参加する事で、Cさん親子と絵画サークルに参加している親子が交流を持つ機会を得られます。お互いにとって良い関係を築けるようなきっかけ作りとなっており、媒介機能を活かした支援と言えます。

参考になった数1

03

シュワルツ(Schwartz, W.)はグループワーク理論モデルの「相互作用モデル」を構築しました。グループワーカーの機能を「個人と社会が互いに手を差し伸べる過程を媒介すること」とした媒介機能は、ソーシャルワーク全体に多大な影響を与えています。

選択肢1. 次回面接では親子で来所することと、Cさんの描いた絵を持ってくるよう依頼した。

×

Cさんが描いた絵を持参することで、D相談員がCさんの興味や感情を理解する手助けになりますが、親子での来所は、言語的コミュニケーションが少ないCさんにとっては、ストレスを感じる要因となるかもしれません。

選択肢2. 親子で共通する話題や目的をつくるために、市主催のアートコンクールに出展する絵を描くよう勧めた。

×

アートコンクールへの参加を勧めることは、親子で共通の目的を持つ良い方法ですが、親子のコミュニケーションが円滑にすすむ事を目的とした支援となるため、媒介機能を活かした支援にはなりません。

選択肢3. 絵によるコミュニケーションカードを親子で作成し、日常生活で使うよう勧めた。

×

コミュニケーションカードを作成することは、Cさんが言語的なコミュニケーションが少ない中で、感情や意見を表現する手段を提供する良い方法ですが、この支援は主に個人への働きかけとなり、社会との相互作用を促進するものではないため、媒介機能を活かした支援にはなりません。

選択肢4. 市内にある大きな文房具店を紹介し、親子で一緒に絵を描く道具を見に行くことを勧めた。

×

Cさんが絵を描くための道具を選ぶ楽しみの提供はできますが、コミュニケーション能力や社会的な関わりを直接的に促進するものにはなりません。

選択肢5. 障害児と親が活発に参加している絵画サークルに親子で参加し、児童や親達と交流することを勧めた。

絵画サークルへの参加は、Cさんと母親が他の親子と交流する機会を提供し、Cさんの社会的スキルを向上させる良い方法です。Cさんが他の子どもたちと関わることができ、また母親も他の保護者と情報交換を行うことができるため、媒介機能を活かした支援になります。

まとめ

個人と社会がお互いにとって良い関係を築けるように働きかけが、シュワルツの媒介機能を意図した支援になります。

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