社会福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問40 (権利擁護を支える法制度 問4)

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問題

社会福祉士試験 第37回(令和6年度) 問40(権利擁護を支える法制度 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、Aさんの状態に応じた権利擁護の方針に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
B県C町では、C町の社会福祉協議会が運営する成年後見センターにおいて、随時、成年後見制度の利用に関する判断を兼ねたケース会議を開催している。ある日、身寄りのない高齢者Aさん(85歳)のケースがこの会議に諮られ、権利擁護の方針を検討した。
  • Aさんの判断能力に多少問題があるが、他の支援によってAさんの利益が十分に図られていると認められる場合には、法定後見制度の利用を急がず、引き続き見守る方針を立てた。
  • Aさんの判断能力に問題はないが、身体的な障害があるので、補助開始の審判を申し立てる方針を立てた。
  • Aさんの判断能力に問題があるが、成年後見制度の利用をAさんが拒んでいるので、補助開始の審判を市町村長により申し立てる方針を立てた。
  • Aさんの判断能力に問題があり、預金の管理に支援が必要と考えられるものの、申立費用の捻出が困難であるために、後見等開始審判の申立てを断念する方針を立てた。
  • Aさんの判断能力は補助相当と考えられるが、支援者に広い権限を付与した方が職務がしやすいという視点から、成年後見開始の審判を申し立てる方針を立てた。

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この過去問の解説 (1件)

01

成年後見制度は、平成12年に民法が改正された事により誕生した、利用者の権利を守る制度の一つです。成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度とに大別されます。

選択肢1. Aさんの判断能力に多少問題があるが、他の支援によってAさんの利益が十分に図られていると認められる場合には、法定後見制度の利用を急がず、引き続き見守る方針を立てた。

〇 Aさんの判断能力に多少問題があっても、他の制度を活用してAさんの利益が十分に図られているのであれば、Aさんの権利擁護はできていると判断できるため、法定後見制度の活用を急ぐ必要はありません。

選択肢2. Aさんの判断能力に問題はないが、身体的な障害があるので、補助開始の審判を申し立てる方針を立てた。

✕ 成年後見制度は、疾病や障がいなどで判断能力が低下している人の権利を守る事を目的とした制度です。身体機能障害を理由に活用する事はできません。

選択肢3. Aさんの判断能力に問題があるが、成年後見制度の利用をAさんが拒んでいるので、補助開始の審判を市町村長により申し立てる方針を立てた。

✕ 補助開始の審判を申し立てる場合は、本人の同意が必要となります。本人が申立てを拒否している場合には、補助開始の審判を申し立てる事はできません。

選択肢4. Aさんの判断能力に問題があり、預金の管理に支援が必要と考えられるものの、申立費用の捻出が困難であるために、後見等開始審判の申立てを断念する方針を立てた。

✕ 申立費用の捻出が困難な場合であっても、成年後見制度利用支援事業による助成や、日本司法支援センター(法テラス)の立替制度を活用できる可能性があります。申立費用の捻出が難しい事だけを理由に申立てを断念する事は、本人の権利を守る行為に反しています。

選択肢5. Aさんの判断能力は補助相当と考えられるが、支援者に広い権限を付与した方が職務がしやすいという視点から、成年後見開始の審判を申し立てる方針を立てた。

✕ 成年後見制度は判断能力が不十分な人の権利を守り、支援する事を目的としています。成年後見制度を活用するに当たっては、本人の持つ能力に合わせた支援を行う事が基本であり、支援者が職務をしやすいという理由で本人の支援に必要のない部分まで権限を付与されるよう働きかける事は権利侵害に当たり、不適切です。

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