社会福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問42 (権利擁護を支える法制度 問6)

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問題

社会福祉士試験 第37回(令和6年度) 問42(権利擁護を支える法制度 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、成年後見の開始がAさんに及ぼす影響に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
Aさん(30歳)は、交通事故の被害に起因する高次脳機能障害で判断力が著しく低下し生活が困難となったので、親族のBさんが成年後見開始の審判の申立てをすることとなった。Aさんは、この審判によって自分にどのような影響が及ぶのかを心配している。
  • Aさんは当然に国政の選挙権を失うこととなる。
  • Aさんは当然に公務員になることができなくなる。
  • Aさんは当然に社会福祉法人の理事になることができなくなる。
  • Aさんは当然に株式会社の役員になることができなくなる。
  • 他の記述はいずれも不適切である。

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この過去問の解説 (2件)

01

成年被後見人または被保佐人は、多くの事柄の欠格事由として定められており、その権利侵害が問題視されました。その方達の権利を守るため、令和元年に「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るため 関係法律の整備に関する法律」が制定され、それに伴い多くの法律が改正される事となりました。

選択肢1. Aさんは当然に国政の選挙権を失うこととなる。

✕ 平成25年の公職選挙法改正により、成年被後見人の選挙権・被選挙権は回復しました。そのためAさんが国政の選挙権を失う事はありません。

選択肢2. Aさんは当然に公務員になることができなくなる。

✕ 「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」が令和元年に制定された事を受け、それまで公務員の欠格事由として挙げられていた成年被後見人又は被保佐人という文言は削除されました。そのため、Aさんが公務員になれないという事はありません。

選択肢3. Aさんは当然に社会福祉法人の理事になることができなくなる。

✕ 「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」が令和元年に制定された事を受け、それまで社会福祉法人の理事の欠格事由として挙げられていた、成年被後見人又は被保佐人という文言は削除されました。

それに代わって、欠格事項として「精神の機能の障害により職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」が新たに定められました。よって、Aさんが成年被後見人となったからと言って、社会福祉法人の理事になる事ができなくなる訳ではありません。

選択肢4. Aさんは当然に株式会社の役員になることができなくなる。

✕ 令和3年の会社法改正により、それまで株式会社の役員の欠格事由として挙げられていた成年被後見人又は被保佐人という文言は削除されました。そのため、Aさんが株式会社の役員になれないという事はありません。

選択肢5. 他の記述はいずれも不適切である。

〇 選択肢の通りです。

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02

成年被後見人及び被保佐人の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等に係る欠格条項その他の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための措置を講ずるものとして、令和元年6月14日に「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」が公布されました。この法律に基づいて、様々な法律が改正されました。

選択肢1. Aさんは当然に国政の選挙権を失うこととなる。

誤り
平成25年の公職選挙法の改正で、成年被後見人に係る選挙権及び被選挙権の欠格条項の削除が行われました。
よって、Aさんが当然に国政の選挙権を失うことにはなるというのは誤りです。

選択肢2. Aさんは当然に公務員になることができなくなる。

誤り
「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により、国家公務員法、地方公務員法も改正され、欠格事由として「成年被後見人又は被保佐人」という一律の欠格条項が削除されました。代わりに、個別審査の規定が導入されました。
よって、Aさんが当然に公務員になることができなくなるというのは誤りです。

選択肢3. Aさんは当然に社会福祉法人の理事になることができなくなる。

誤り
「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により、社会福祉法も改正され、社会福祉法人の理事、監事、評議員の欠格事由として「成年被後見人又は被保佐人」という一律の欠格条項が削除されました。代わりに、個別審査の規定が導入されました。
よって、Aさんが当然に社会福祉法人の理事になることができなくなるというのは誤りです。

選択肢4. Aさんは当然に株式会社の役員になることができなくなる。

誤り
「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により、会社法も改正され、会社法の役員の欠格事由として「成年被後見人又は被保佐人」という欠格条項が削除されました。
よって、Aさんが当然に株式会社の役員になることができなくなるというのは謝りです。

選択肢5. 他の記述はいずれも不適切である。

正しい
記述の通りです。

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