社会福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問102 (貧困に対する支援 問6)

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問題

社会福祉士試験 第37回(令和6年度) 問102(貧困に対する支援 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、退院を控えたAさんに対する福祉事務所の現業員(社会福祉士)の説明に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

〔事例〕
Aさん(26歳)は、両親を早くに亡くし、児童養護施設に入所した。退所後は就職した会社の寮に入っていたが病気のため退職し、入院治療となった。収入は途絶え預貯金もなくなったため、生活保護を受けて療養していたところ、医師はそろそろ退院でき、後遺症も残らないという。Aさんは、退院後は地域で生活したいが、仕事や住まいに不安が大きいため、病院のソーシャルワーカーに相談したところ、現業員を交えて3人で話し合いをすることになった。
  • 「退院したら治療が必要なくなるので、医療扶助は廃止になります」
  • 「アパートを借りる場合には、敷金や礼金が住宅扶助から支給されます」
  • 「地域での生活が落ち着いてからハローワークに行ってはどうですか」
  • 「退院後、救護施設に入るよう手続きをしておきます」
  • 「退院後、しばらくは児童養護施設で生活できるように施設長にお願いしておきます」

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この過去問の解説 (2件)

01

生活保護法と児童福祉法の問題です。

 

生活保護は8種類の扶助があります。

①生活扶助 ②医療扶助 ③住宅扶助 ④教育扶助 

⑤生業扶助 ⑥出産扶助 ⑦介護扶助 ⑧葬祭扶助

です。それぞれの役割を理解しましょう。

 

児童福祉法は、

令和6年(2024年)に改正されて、

児童養護施設による支援の年齢制限の撤廃など

大きな変化がありました。

時事的にも出題されやすいところなので

しっかりと把握と理解をしましょう。

選択肢1. 「退院したら治療が必要なくなるので、医療扶助は廃止になります」

×:誤りです。

 

医療扶助は入院だけでなく、

外来であっても適用されます。

選択肢2. 「アパートを借りる場合には、敷金や礼金が住宅扶助から支給されます」

○:正しいです。

 

住宅扶助には、各地域ごとに基準額や特別基準額があり、

敷金や礼金、短期火災保険料などは、

特別基準額の3倍の範囲内で支給が可能です。

選択肢3. 「地域での生活が落ち着いてからハローワークに行ってはどうですか」

○:正しいです。

 

まずは、地域生活が落ち着いてから、

就労に向けて活動をすることは、

就労準備性ピラミッドの観点から

正しいといえます。

選択肢4. 「退院後、救護施設に入るよう手続きをしておきます」

×:誤りです。

 

救護施設は生活保護法38条第2項で

『救護施設は、身体上又は精神上著しい障害があるために

日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、

生活扶助を行うことを目的とする施設とする。』

 

と、されています。

Aさんは著しい障害があるわけではないので、

救護施設の入所は不適切です。

選択肢5. 「退院後、しばらくは児童養護施設で生活できるように施設長にお願いしておきます」

×:誤りです。

 

令和6年(2024年)4月1日から

改正児童福祉法により、

児童養護施設の年齢制限が撤廃されましたが、

一度措置解除になり、26歳となったAさんが

再入所することは不適切です。

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02

福祉事務所とは、「生活保護法」、「児童福祉法」、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」、「老人福祉法」、「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」である福祉六法に定める援護、育成、更生の措置等を行うところとなります。

選択肢1. 「退院したら治療が必要なくなるので、医療扶助は廃止になります」

不適切。
医療扶助とは、病気やけがの治療のため、医療機関等にかかるための費用を扶助するものとなります。治療が必要となくなっても、医療扶助は廃止とはなりません。
 

選択肢2. 「アパートを借りる場合には、敷金や礼金が住宅扶助から支給されます」

適切。
住宅扶助は、困窮のために最低限度の生活を維持することのできない者に対して、家賃、間代、地代等や、補修費等住宅維持費を給付するものとなります。敷金や礼金についても、病院から退院を行う際に帰住する住居がない場合に支給を受けることができます。

選択肢3. 「地域での生活が落ち着いてからハローワークに行ってはどうですか」

設問の通り。

まずは、地域での生活を落ち着かせる必要があります。退院後すぐに就職活動を行うのではなく、落ち着いてから活動を行う必要があります。
 

選択肢4. 「退院後、救護施設に入るよう手続きをしておきます」

不適切。
Aさんの意向を確認せずに、救護施設入所の手続きを行うことは不適切な対応となります。身体や精神の障害や、日常生活を営むのに何らかの課題がある方が利用できる福祉施設となります。

選択肢5. 「退院後、しばらくは児童養護施設で生活できるように施設長にお願いしておきます」

不適切。
児童養護施設とは、家庭環境や様々な事情により養護が必要な1歳から18歳までの児童を対象としています。特に必要がある場合には、20歳まで延長することは可能ですが、Aさんは26歳であり、対象外となります。

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