社会福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問108 (保健医療と福祉 問6)

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問題

社会福祉士試験 第37回(令和6年度) 問108(保健医療と福祉 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、「医療ソーシャルワーカー業務指針」に基づいた、A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の実践に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
Bさん(38歳、正社員)は、会社のラグビー同好会の練習で受傷し、病院に救急搬送され入院となった。主治医からBさんに、今後車いす生活となること、回復期リハビリテーション病棟へ転院する必要があることが説明された。しかし、経済的不安を抱えたBさんは自宅退院を訴えている。主治医から依頼を受けたAはBさんとインテーク面接を実施することとなった。
(注)「医療ソーシャルワーカー業務指針」とは、「医療ソーシャルワーカー業務指針(2002年(平成14年))」(厚生労働省健康局長通知)のことである。
  • まずは面接をリハビリ室で行う。
  • 守秘義務の観点から面接内容については主治医に報告しない。
  • 転院先の選定については、Aが判断する。
  • 入院費、生活費などの問題解決について話し合う。
  • 自宅への退院支援を行う。

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この過去問の解説 (3件)

01

回復期リハビリテーション病棟に関して、

入院料において社会福祉士の専従配置が

評価されるようになりました。

それに伴い、試験での出題も増えると予想されますので

しっかりと把握しておきましょう。

選択肢1. まずは面接をリハビリ室で行う。

×:誤りです。

 

生活場面面接を意識した選択肢とは思いますが、

リハビリ室が本人の安心できる場所とは限りませんし、

リハビリ室のように、第三者に話が聞こえる可能性のある環境で面談をする場合は、

本人の了承が必要です。

選択肢2. 守秘義務の観点から面接内容については主治医に報告しない。

×:誤りです。

 

守秘義務は、不必要に秘密にするべき情報を他者へ漏らさない義務です。

問題文では『主治医から依頼を受けたA』となっているので、

原則、主治医への報告は行うべきで、必要なことです。

選択肢3. 転院先の選定については、Aが判断する。

×:誤りです。

 

転院先の選択肢を提示することは必要ですが、

最終的な決定、判断はBさん本人に決めてもらうべきです。

選択肢4. 入院費、生活費などの問題解決について話し合う。

○:正しいです。

 

Bさんの主訴は、

『回復期リハビリテーション病棟に行きたくない』のではなく、

『経済的な不安がある』ことです。

 

高額療養費や傷病手当金などの社会保険(医療保険)などの

経済的支援を提案することが重要です。

選択肢5. 自宅への退院支援を行う。

×:誤りです。

 

本人のニーズに添ってはいますが、

医師の指示が回復期リハビリテーション病棟であることを鑑みると

自宅での生活にはリスクがあると評価されていると言えます。

 

そのリスクが消失軽減するための取り組みをする、

若しくは、そのリスクをBさん本人が理解して受容していることを

確認してからの退院支援でなければなりません。

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02

医療ソーシャルワーカー業務指針とは、医療ソーシャルワーカーの業務として、「療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助」 、「退院援助」 、「社会復帰援助 」、「受診・受療の援助、経済的問題の解決」、「調整援助」 、「地域活動」 6つの業務が示されています。

選択肢1. まずは面接をリハビリ室で行う。

不適切。
リハビリ室は多数の人が居る場所であり、プライバシーへの配慮を行うことができません。そのような場所では、Bさんから本音を聞き出すことも難しいと思われます。プライバシーに配慮した面談室等で面接を行う必要があります。

選択肢2. 守秘義務の観点から面接内容については主治医に報告しない。

不適切。
主治医への報告も必要となります。回復期リハビリテーション病棟へ転院する必要性がありますが、Bさんは経済的な状況から退院を訴えています。Bさんと話し合いを行った結果を主治医にも伝え、Bさんの意向に合わせながら治療が受けられるようにする必要があります。

選択肢3. 転院先の選定については、Aが判断する。

不適切。
転院先の選定については、Bさんの意向を確認しながら行う必要があります。選定はあくまで本人の希望を確認する必要があります。

選択肢4. 入院費、生活費などの問題解決について話し合う。

設問の通り。

経済的に不安を抱えたBさんに対して、入院費の説明を行う必要があります。また、今後の生活費についても話し合いを行い、問題が解決できるように支援を行う必要があります。

選択肢5. 自宅への退院支援を行う。

不適切。
自宅への退院を訴えているのは、Bさんが経済的不安を抱えているからです。不安が解決できるように支援を行う必要があります。

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03

医療ソーシャルワーカー業務指針は1989年に通知され、2002年に改訂されています。

選択肢1. まずは面接をリハビリ室で行う。

✕ 医療ソーシャルワーカー業務指針には、プライバシーの保護をする事が留意点として挙げられています。面接を行う際は独立した場所で行い、第三者に内容が聞こえないようにする事がうたわれており、人の出入りが多いリハビリ室で面談を行う事は不適切です。

選択肢2. 守秘義務の観点から面接内容については主治医に報告しない。

✕ 医療ソーシャルワーカー業務指針では、医療ソーシャルワーカーは患者を支援するチームの一員として連携を密に取る事が求められます。本事例でインテーク面接は主治医からの依頼を受けて行われている事もあるため、Bさんに許可を得た上で必要な内容を共有する事が適切と考えられます。

選択肢3. 転院先の選定については、Aが判断する。

✕ 医療ソーシャルワーカー業務指針には、患者の主体性の尊重がうたわれています。患者本人が自身の課題と向き合い、解決ができるように支援する必要があります。転院先をソーシャルワーカーが判断するのではなく、Bさん自身が選択できるように支援する事が重要です。

選択肢4. 入院費、生活費などの問題解決について話し合う。

〇 Bさんは経済的な不安からリハビリの必要があるにも関わらず、自宅に退院しようとしています。医療ソーシャルワーカー業務指針には、生活費・医療費などに困っている場合に、様々な社会資源が活用できるよう支援する事がうたわれていますので適切な選択肢と言えます。

選択肢5. 自宅への退院支援を行う。

✕ 医療ソーシャルワーカー業務指針には、受診・受療援助もうたわれています。Bさんは経済的不安から自宅への退院を希望していますが、今後リハビリの必要性があり、回復期リハビリテーション病棟への転院を勧められています。リハビリを受ける事はBさんの利益になる事、経済的な不安が原因でBさんが自宅退院を訴えている事を考えると、Bさんの言う通りに自宅への退院支援を行う事は適切とは言えません。

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