社会福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問121 (ソーシャルワークの理論と方法(専門) 問7)

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問題

社会福祉士試験 第37回(令和6年度) 問121(ソーシャルワークの理論と方法(専門) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、A市福祉なんでも相談窓口担当のB職員(社会福祉士)がこの時点で行う対応として、適切なものを2つ選びなさい。

〔事例〕
Cさん(39歳)は3年前夫と離婚し、当時2歳の長男を連れて、それまで一人暮らしをしていた母親(73歳)と同居を始めた。同居開始時、生活全般を母親が支えてくれていたため、Cさんは仕事に専念でき、長男と過ごす時間も確保できていた。しかし数か月前から、母親の物忘れが目立つようになり、会話も成り立たなくなってきたため、家事等も全てCさんが担うようになった。Cさんは心身ともに疲弊し、A市福祉なんでも相談窓口を訪ねた。Cさんは窓口担当のBとの面接において、これまでの経緯を話した後、このまま3人で暮らしていきたいと言った。
  • Cさんの母親に、サービス付き高齢者向け住宅の情報を提供する。
  • Cさんの不安や焦燥感を軽減するため、ピアサポートの会を紹介する。
  • 長男への虐待につながる恐れがあるため、近くの児童相談所に通告する。
  • Cさん家族の対応を検討するため、子育て支援課や地域包括支援センターと連携する。
  • 長男の発達を優先し、育児に専念するよう勧める。

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この過去問の解説 (2件)

01

自己決定について考えると正解しやすい問題です。

生命の保護や、社会正義が侵されるという状況でない限り(※)

クライアントの自己決定を優先するべきです。

 

(※)ドルゴフの倫理原則のスクリーン

通常時はクライアントの自己決定や生活の質が優先することが原則だが

状況によってそれが生命や他者の権利を侵害するような場合を

ソーシャルワークのジレンマと呼び、

下記の優先順位を示したものです。

 

 優先順位(高)

 ①生命の保護

 ②社会正義

 ③自己決定

 ④被害最小

 ⑤生活の質

 ⑥守秘義務

 ⑦誠実と開示

 優先順位(低)

選択肢1. Cさんの母親に、サービス付き高齢者向け住宅の情報を提供する。

×:誤りです

 

Cさんの希望は「このまま3人で暮らしていきたい」

述べているので、まずはそれが可能であるかを

検討していくべきで、この選択肢はまだ時期尚早です。

選択肢2. Cさんの不安や焦燥感を軽減するため、ピアサポートの会を紹介する。

○:正しいです。

 

ピアサポートとは同じような悩みを持つ人たち同士で

支えあう活動のことです。

同じ境遇の人と話をすること、情報交換をすることは

情緒的にも、現実的な生活にしても

効果的です。

選択肢3. 長男への虐待につながる恐れがあるため、近くの児童相談所に通告する。

×:誤りです

 

事例の中で虐待を感じさせるエピソードはありません。

Cさんの希望は「このまま3人で暮らしていきたい」

述べているので、まずはそれが可能であるかを

検討していくべきで、この選択肢はまだ時期尚早です。

選択肢4. Cさん家族の対応を検討するため、子育て支援課や地域包括支援センターと連携する。

○:正しいです。

 

育児、介護とCさんの抱える課題は複数あります。

それぞれの専門機関に頼り、更にそれぞれの機関が連携できるよう

していくことが重要です。

選択肢5. 長男の発達を優先し、育児に専念するよう勧める。

×:誤りです。

 

生活するための就労は重要です。

就労と育児、介護のバランスをとるための方法を検討するべきで、

離職やそれに加えて介護を必要としている母親の世話をしないことは、

施設に入れるなどもお金がかかり、ニーズは3人で暮らし続けることです。

これは、現実的ではありません。

参考になった数3

02

福祉なんでも相談窓口とは、どこに相談したら良いか分からない場合に相談できる窓口となります。本人や地域住民と一緒に問題を解決していきます。

選択肢1. Cさんの母親に、サービス付き高齢者向け住宅の情報を提供する。

不適切。
Cさんはこれからも3人で生活したいと希望しています。Cさんの母親の意向もわかりません。Cさんの母親の意向を確認していない状況となっています。Cさんの母親やCさんの意向を確認せずにサービス付き高齢者向け住宅の情報を提供するのは、不適切です。
 

選択肢2. Cさんの不安や焦燥感を軽減するため、ピアサポートの会を紹介する。

設問の通り。

ピアサポートの会に参加することで、同じ課題を持つ人同士が感情を共有を行うことができます。感情を分かち合い、安心感が持つことができます。
 

選択肢3. 長男への虐待につながる恐れがあるため、近くの児童相談所に通告する。

不適切。
現段階では、長男への虐待に繋がる可能性があるわけではありません。虐待の疑惑、他者からの話等がない状況で、児童相談所への通告は不適切な対応となります。
 

選択肢4. Cさん家族の対応を検討するため、子育て支援課や地域包括支援センターと連携する。

設問の通り。

この設問では、複合的な問題が存在しています。そのため、ひとつの機関だけではなく、複数の機関と連携して対応を行う必要があります。複数機関で対応を検討し、Cさんが望んでいる生活ができるように支援する必要があります。
 

選択肢5. 長男の発達を優先し、育児に専念するよう勧める。

不適切。
Cさんは3人での生活を希望しています。Cさんの意向を確認もせず、長男の育児に専念するように勧めることは不適切な対応となります。

参考になった数1