社会保険労務士の過去問
第45回(平成25年度)
社労士 | 社会保険労務士試験 択一式 問3

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問題

社労士試験 第45回(平成25年度) 択一式 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 労働組合のない事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出するときの当該事業場の労働者数の算定に当たっては、当該事業場で雇用されて働いているパート、アルバイト等は含まれるが、当該事業場に派遣されて現に指揮命令を受けて働いている派遣労働者は含めない。
  • 1日及び1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること並びに1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは、いずれも労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。
  • 労働基準法施行規則第23条の規定に基づく断続的な宿直又は日直勤務としての許可は、常態としてほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可することとされている。
  • 労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかであり、使用者が行う始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法としては、使用者が自ら現認することにより確認し記録すること又はタイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し記録することが求められている。
  • 事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合において、使用者が、その労働組合と36協定を締結し、これを行政官庁に届け出た場合、その協定が有する労働基準法上の効力は、当該組合の組合員でない他の労働者にも及ぶ。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

1.正しい
労働者の過半数を代表する者の労働者とは「その事業主に使用されている労働者」を言います。そのため、その事業場で使用されているパートやアルバイトは当然含まれますが、派遣労働者については派遣元の事業主に使用されているので、労働者には含みません。

2.誤り
「1日及び1か月」ではなく「1か月」が正しいです。
端数処理の規定は1か月については24条・37条違反とは取り扱わないと規定されています。

3.正しい
昭和22年9月13日発基17号・昭和63年3月14日基発150号・婦発47号において定められています。

4.正しい
記録などの重要な書類については3年間保存しなければいけない。(法109条)

5.正しい
事業場の過半数以上で組織する労働組合と36協定を締結したら、その効力はそれ以外の少数の労働組合にも及ぶ。(昭23.4.5基発535号)

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02

正解は2です。

1 正しい内容です。
 労働者派遣法第44条2項の末尾に、「第36条第1項中「当該事業場に」とあるのは「派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場に」と規定されているように、派遣労働者の36協定の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する労働者」を選出するための労津者数の算定にあたっては、派遣労働者は含まれません。派遣労働者は、派遣元の事業所における36協定の手続きに関与することになります。
 しかし、派遣労働者の具体的な時間管理は、派遣先事業所の使用者が行います。派遣労働者に対する派遣元と派遣先の責任の分担は、複雑なので要注意です。

 2 間違っています。
 時間外労働、休日労働および深夜労働の場合の割増賃金の計算方法は、労働基準法施行規則(労基則)第19条1項で定められていますが、端数処理方法は次のとおりです。
 ① 1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
 ② 1時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
 ③ 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
 したがって、「1日」というのは間違いです。

 3 正しい内容です。
 労基則第23条は、「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」(宿日直)については、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合には、労働基準法第32条にかかわらず、労働者を使用できると定めています。
 この宿日直とは、その労働者の本来の業務を行わず、構内巡視、文書、電話の収受または非常事態に備えた待機など、常態としてほとんど労働する必要のない勤務態様とされています(昭和22年9月13日発基17号、昭和63年3月14日基発150号)。

 4 正しい内容です。
 厚生労働省の定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日基発339号)は、以下のような内容を定めています。
 使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
 使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
  ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
  イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
 労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109 条に基づき、3年間保存すること。

 5 正しい内容です。
 使用者は、労基法第36条の定める要件を備えた労働組合と36協定を締結し、行政官庁に届け出ることによって、36協定の範囲内で時間外労働をさせても、32条や35条違反に問われないという労働基準法上の効力は、その労働組合の組合外にも及ぶとされています。

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03

正解は 2 です。

※厚生労働省からの通達(下記の「昭和61年6月6日基発333号」等)で略語の意味は下記の通りです。
基発・・・労働基準局長名で発する通達
発基・・・都道府県労働基準局長あて労働次官通達
婦発・・・婦人局長名通達
    

1.昭和61年6月6日基発333号の通達に基づき、選択肢の通り派遣労働者を派遣先のほうの労働者の数に含めない取り扱いになります。

派遣法44条2項にも、「同法(労働基準法)第36条第1項中『当該事業場に』とあるのは『派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場に』と、・・・する。」と規定されているので、派遣労働者の数は派遣元のほうの労働者の数に含めると解釈されるでしょう。


2.誤「1日及び1か月」
 正「1か月」

1か月における時間数の端数計算に関しては認めていますが、1日単位においては認めていません(昭和61年6月6日基発333号)。

労働基準法(以下「法」と略します)24条は賃金の支払、法37条は割増賃金の計算について定めていることをおさえましょう。


3.昭和22年9月13日発基17号・昭和63年3月14日基発150号・婦発47号において、選択肢の通り認められていますね。

労働基準法施行規則23条では、断続的な業務の従事者は、労基署の許可を受けることで1日8時間1週40時間の規制を受けないことを認めているのでおさえておきましょう。


4.平成13年4月6日基発339号において、選択肢のようなことが求められていますね。


5.昭和23年4月5日基発535号の通達により、選択肢のとおりに解釈できますね。

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