社会保険労務士の過去問
第45回(平成25年度)
社労士 | 社会保険労務士試験 択一式 問1
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
社労士試験 第45回(平成25年度) 択一式 問1 (訂正依頼・報告はこちら)
労災保険法の保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺族補償給付を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が55歳に達したとき(労災保険法別表第一の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く。)は、その達した月から遺族補償年金の額を改定する。
- 労働者が業務災害により死亡した場合、その祖父母は、当該労働者の死亡当時その収入により生計を維持していなかった場合でも、遺族補償一時金の受給者となることがある。
- 労働者の死亡前に、当該労働者の死亡により遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意又は過失によって死亡させた者は、遺族補償年金を受けるべき遺族としない。
- 傷病補償年金を受ける者には、介護補償給付は行わない。
- 年金たる保険給付を受ける権利を有する者が死亡したためその支給を受ける権利が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき保険給付があるときであっても、当該保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金に係る債権の金額に充当することはできない。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
1 間違っています。
労働者災害保険補償法第16条の3の第4項は、「遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が次の各号の一に該当するに至つたときは、その該当するに至つた月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。」と定めています。
設問の「その達した月」は間違いです。
2 正しい内容です。
労働者災害保険補償法第16条の7の第1項は、「遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。
一 配偶者
二 労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
三 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹 」と定めています。
したがって、第三号により、「労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していなかった祖父母」は、受給者となることがあります。
3 間違っています。
労働者災害保険補償法第16条の9の第2項は、「労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によつて遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族としない。」と定めています。
したがって、設問の場合、「故意又は過失」となっている点と、「遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者」となっている点が、間違っています。
4 間違っています。
労働者災害保険補償法第12条の8の第4項は、「介護補償給付は、障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であつて厚生労働省令で定める程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く。)、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。」と定めています。
したがって、傷病補償年金を受ける者に対して、介護補償給付を行うことがあります。
5 間違っています。
労働者災害保険補償法第12条の2は、「年金たる保険給付を受ける権利を有する者が死亡したためその支給を受ける権利が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(以下この条において「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき保険給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。」と定めています。
したがって、「充当することはできない」は間違いです。
参考になった数26
この解説の修正を提案する
02
1.誤「達した月から」
正「達した月の翌月から」
労働者災害補償保険法(以下「法」と略します)16条の3第4項の規定では、「達した月の翌月から」となっていますね。
2.法16条の7第1項2号・3号より、労働者と生計維持関係があるか関係無く、受給者となれる点に気をつけましょう。
3.誤「遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者」「故意又は過失」
正「遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者」「故意」
法16条の9第2項より、
A.故意の場合、遺族補償年金は受給できませんが、過失の場合はそうはなっていませんね。
B.「遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者」が「先順位又は同順位」に限定されるのです。
もらえる順位は(死亡者の)①配偶者②子③父母・・・と順位づけされている点をまずはおさえてください。
例えば死亡者の長男が配偶者(先順位者①)や次男(同順位者②)を故意に死亡させたら受給権を失いますが、死亡者の母親(後順位者③)を故意に死亡させた場合には受給権を失う規定になっていないことに気をつけましょう。
4.誤「行わない」
正「行うこともある」
法12条の8第4項で、傷病補償年金を受けている者が介護補償給付を受けられる要件について定めているので選択肢は間違いですね。
5.誤「充当することはできない」
正「充当することができる」
法12条の2の定めがそのまま問われていますが、結論が間違いなのです。
参考になった数9
この解説の修正を提案する
03
1.誤り
「達した月」ではなく「達した月の翌月」となります。「達した月」では、期間の途中の場合も含まれて公平性に欠けるため、翌月の初日からとすることで公平性に配慮したものです。ほかの法令においても同様の取り扱いをしているものが多いです。
2.正しい
遺族補償一時金の受給権者の順番は「(生計維持関係の有無を問わず)配偶者」➡「(生計維持関係にある)子➡父母➡孫➡祖父母」➡「(生計維持関係にない)子➡父母➡孫➡祖父母」➡「(生計維持関係問わず)兄弟姉妹」となっているため、生計維持関係にない祖父母は当然に受給権者になります。
3.誤り
失権事由の一つに、「上位順位者又は同順位者」を「故意」に死亡させた場合があります。つまり、結果を意図した「故意」によって、自分よりも上位又は同順位者を死亡させることが、失権の要件の一つとされています。
4.誤り
介護補償給付の支給要件は、「障害補償年金」または「傷病補償年金」を受給している者とされています。
5.誤り
設問の場合は「充当することができる」となります。死亡した者の保険給付で払いすぎた部分を、その者の遺族等で、その人の死亡を要件とする保険給付を受給しているときは、その保険給付から払いすぎた部分を相殺することを「充当」と言います。
参考になった数8
この解説の修正を提案する
前の問題(問10)へ
第45回(平成25年度)問題一覧
次の問題(問2)へ