社会保険労務士の過去問
第48回(平成28年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問3

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問題

社労士試験 第48回(平成28年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について当該労働者が指定する銀行口座への振込みによることができるが、「指定」とは、労働者が賃金の振込み対象として銀行その他の金融機関に対する当該労働者本人名義の預貯金口座を指定するとの意味であって、この指定が行われれば同意が特段の事情のない限り得られているものと解されている。
  • 労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合でも、使用者は当該賃金債権の譲受人に対してではなく、直接労働者に対し賃金を支払わなければならないとするのが、最高裁判所の判例である。
  • 1か月における時間外労働の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる事務処理方法は、労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。
  • 使用者は、労働者が出産、疾病、災害等非常の場合の費用に充てるために請求する場合には、いまだ労務の提供のない期間も含めて支払期日前に賃金を支払わなければならない。
  • 労働基準法第27条に定める出来高払制の保障給は、労働時間に応じた一定額のものでなければならず、労働者の実労働時間の長短と関係なく1か月について一定額を保障するものは、本条の保障給ではない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:4

1.正しいです。法24条1項。労働者による預貯金口座の指定があればそれをもって同意があったものと取り扱うことが出来ます。なお、預貯金口座の指定の形式は書面、口頭のいずれも問わないとされています。

2.正しいです。法24条1項の賃金の直接払いの原則に関しては、たとえ労働者が賃金債権を他に譲渡した場合でも賃金は直接労働者に支払わなければならないとされており、賃金債権の譲受人は自ら使用者に対してその支払いを求めることは許されないものと解されています。(最判昭和43.3.12 小倉電話局事件)

3.正しいです。法24条1項。例えば月20時間15分の時間外労働があった場合にそれを20時間、20時間30分だった場合に21時間とするような取り扱いは違反となりません。なお、1日あたりの時間外労働に対して1時間未満の四捨五入を行うことは出来ません。(昭和63基発150号)

4.誤りです。法25条では労働者の非常時の費用に充てる為に、既往の労働に対して支払期日前であっても支払うよう義務付けています。いまだ労務の提供をしていない期間について賃金を支払う義務はありません。

5.正しいです。法27条の出来高払制の補償給は「労働時間」に応じて一定額の賃金の支払いを保障するものであり、出来高や成果に応じて支払うものではありません。本条により出来高に減少があった場合でも労働時間分の賃金は最低限受けることが出来ます。

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02

1.「同意」とは、労働者の意思に基づくものであれば、その形式は問われません。
「指定」とは、労働者が賃金の振込対象として銀行その他の金融機関に対する当該労働者本人名義の預貯金口座を指定するとの意味であり、この指定が行われれば、同意が特段の事情のない限り得られているものと解されています。

2.最判昭和43年3月12日(電電公社小倉電話局事件)により、「労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合においても、使用者は直接労働者に対し賃金を支払わなければならない」とされています。

3.他にも、1時間当たりの賃金額および割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることも、労働基準法違反としては取り扱いません。

4.使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、「既往の労働」に対する賃金を支払わなければなりません。

5.労働基準法第27条に、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と規定されています。

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03

1 設問の通りであり、正しいです。
  「同意を得た場合」のみです。(法24条)
2 設問の通りであり、正しいです。
  直接払いの原則は、例外として「労働者の
  使者(労働者の家族等)」に支払うことは
  差し支えないとされています。(法24条)
3 設問の通りであり、正しいです。【重要】
  30分未満の端数→切り捨て可能です。
  30分以上の端数→1時間に切り上げ可能です。
  (法24条、法37条)
4 誤りです。「いまだ労務の提供のない期間」
  に対する賃金を支払う必要はない。
  この場合は、「既往の労働に対する賃金」
  について支払わなければならない。
  (法25条)
5 設問の通りであり、正しいです。(法27条)

以上のことから、正解は4となります。

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