社会保険労務士の過去問
第50回(平成30年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問4
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問題
社労士試験 第50回(平成30年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
労働基準法の総則に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
ア 労働基準法第1条にいう「人たるに値する生活」には、労働者の標準家族の生活をも含めて考えることとされているが、この「標準家族」の範囲は、社会の一般通念にかかわらず、「配偶者、子、父母、孫及び祖父母のうち、当該労働者によって生計を維持しているもの」とされている。
イ 労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。
ウ 労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。
エ いわゆるインターンシップにおける学生については、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合でも、不測の事態における学生の生命、身体等の安全を確保する限りにおいて、労働基準法第9条に規定される労働者に該当するとされている。
オ いわゆるストック・オプション制度では、権利付与を受けた労働者が権利行使を行うか否か、また、権利行使するとした場合において、その時期や株式売却時期をいつにするかを労働者が決定するものとしていることから、この制度から得られる利益は、それが発生する時期及び額ともに労働者の判断に委ねられているため、労働の対償ではなく、労働基準法第11条の賃金には当たらない。
ア 労働基準法第1条にいう「人たるに値する生活」には、労働者の標準家族の生活をも含めて考えることとされているが、この「標準家族」の範囲は、社会の一般通念にかかわらず、「配偶者、子、父母、孫及び祖父母のうち、当該労働者によって生計を維持しているもの」とされている。
イ 労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。
ウ 労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。
エ いわゆるインターンシップにおける学生については、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合でも、不測の事態における学生の生命、身体等の安全を確保する限りにおいて、労働基準法第9条に規定される労働者に該当するとされている。
オ いわゆるストック・オプション制度では、権利付与を受けた労働者が権利行使を行うか否か、また、権利行使するとした場合において、その時期や株式売却時期をいつにするかを労働者が決定するものとしていることから、この制度から得られる利益は、それが発生する時期及び額ともに労働者の判断に委ねられているため、労働の対償ではなく、労働基準法第11条の賃金には当たらない。
- アとイ
- アとウ
- イとエ
- ウとオ
- エとオ
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この過去問の解説 (4件)
01
ア:誤
「「標準家族」の範囲」は、その時の社会の一般通年によるものだと解されています。
イ:誤
労働条件とは、職場における労働者の一切の待遇を指します。賃金や労働時間の他、解雇や災害補償などに関する条件も含まれます。
ウ:正
男女同一賃金の原則においては、労働者が女性であることを理由として、賃金について差別的取り扱いをしてはならないとされています。
この「差別的取扱い」には、不利に取り扱う場合だけでなく有利に取り扱う場合も含まれます。
エ:誤
労働基準法に規定される労働者とは、使用者の指揮命令を受けて労働力を提供し、賃金を支払われる者を指します。
従って、設問における「使用従属関係が認められない」インターンシップにおける学生は、労働者には該当しません。
オ:正
ストック・オプション制度から得られる利益は、「時期及び額ともに労働者の判断に委ねられている」ため、設問の通り「労働の対償」ではありません。
従って、労働基準法上の「賃金」には該当しません。
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02
この手の問題が本試験で出題されても「こんなこと教科書に書いてあったっけ?」と焦らないように気をつけましょう。労働者が生計を維持する家族の範囲が「配偶者、子、父母、孫及び祖父母」に限られるはずはありませんよね。例えば、父母の兄弟(叔父叔母)の面倒を見ている労働者だっているはずです。労働基準法で(しかも労働憲章的条文で)「標準家族」の範囲を限定すること自体がナンセンスです。「標準家族」は社会の一般通念によって決まるのが当然だと思えてくるはずです。
イ:誤
労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」に含まれないのは「雇い入れ」に関するもの、でしたよね(三菱樹脂事件:昭和48.12.12最大判)。解雇は労働条件に該当します。
ウ:正
設問の通りです。女性労働者だけを有利に取り扱うことも禁止されています。
女性優遇が認められているのは男女雇用機会均等法第8条に定める場合です。「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置」いわゆるポジティブ・アクションの場合です。
エ:誤
設問の「使用従属関係が認められない場合」は労働者に該当しません。
労働基準法で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます(同法9条)。設問のケースは「使用される者」ではないので、同法に規定する労働者には該当しません。
オ:正
設問のとおり、ストック・オプション制度から得られる利益は賃金に該当しません。労働基準法における賃金とは「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」をいいます(同法11条)。
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03
設問文ア.について
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】労働基準法第1条,昭和22年9月13日発基17号,昭和22年11月27日基発401号
【ポイント・考え方】
標準家族の範囲は、「社会の一般通念によって理解されるべきもの」とされており、家族構成の概念は時代によって変わりうる点をふまえ、あえて具体的に規定されていないと理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
法律の条文にかかる解釈や具体的な適用条件については、各種通知等によって適宜示されます。
(本設問でいうと「昭和22年11月27日基発401号」などです)
このようなレベルの設問については、一般的・常識的な読解力と考え方・推察で正答を導くことが基本的に可能だと考えますので、たとえ学習が至っていなかったとしても、あきらめずに臨みましょう。
設問文イ.について
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】労働基準法第3条,昭和23年6月16日基収1365号,昭和63年3月14日基発150号
【ポイント・考え方】
「解雇の理由」は、簡単に言い換えると「どのようなことをしたらいけないのか」という観点で労働者が事前に知っておくべき事項と言え、その意味で労働条件にあたると理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
設問文ア.のワンポイントと同様です。
設問文ウ.について
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】労働基準法第4条,平成9年9月25日基発648号
【ポイント・考え方】
性別により賃金差がある場合は、どちらが有利か不利かではなく、差がある時点で労働基準法第4条に抵触すると理解しておきましょう。
【学習・実務でのワンポイント】
設問文ア.のワンポイントと同様です。
設問文エ.について
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】労働基準法第9条,平成9年9月18日基発636号
【ポイント・考え方】
設問文のような使用者との使用従属関係が認められない場合は、労働者に該当しない、と理解しておきましょう。
【学習・実務でのワンポイント】
使用者との使用従属関係の有無は、実際には、不測の事態(特に労災事故など)が発生した際には、労働基準監督署が個別・具体的に状況などを確認・整理したうえで判断します。
設問文オ.について
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】労働基準法第11条,平成9年6月1日基発412号
【ポイント・考え方】
設問文のように、権利行使や株式売却の時期・額が労働者の判断に委ねられている場合は、時期・額が確定しないため、時期・額を確定させるべき労働の対償にはならず、賃金にはあたらないと理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
設問文ア.のワンポイントと同様です。
【正しい選択肢】ウとオ が正しいです。
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04
ア:誤
標準家族の範囲には社会の一般通念によるとされています。
イ:誤
労働条件には解雇に関する条件も含まれます。
ウ:正
女性を不利に扱うことはもちろん女性を有利に扱う場合においても男女同一賃金の原則に反します。
エ:誤
インターシップにおいて、設問のような事業場と学生との間に使用従属関係が認められない場合は労働者に該当しないと解されます。その判断は個々の実態に即して行う必要があります。
オ:正
ストックオプション制度による利益は労働の対象によって得られるものではないため、賃金には該当しません。
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