社会保険労務士の過去問
第51回(令和元年度)
労働者災害補償保険法 問3
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問題
社労士試験 第51回(令和元年度) 択一式 労働者災害補償保険法 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
厚生労働省労働基準局長通知(「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」平成13年12月12日付け基発第1063号)において、発症に近接した時期において、特に過重な業務(以下「短期間の過重業務」という。)に就労したことによる明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、業務上の疾病として取り扱うとされている。「短期間の過重業務」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 特に過重な業務とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうものであり、ここでいう日常業務とは、通常の所定労働時間内の所定業務内容をいう。
- 発症に近接した時期とは、発症前おおむね1週間をいう。
- 特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同僚労働者又は同種労働者(以下「同僚等」という。)にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断することとされているが、ここでいう同僚等とは、当該疾病を発症した労働者と同程度の年齢、経験等を有する健康な状態にある者をいい、基礎疾患を有する者は含まない。
- 業務の過重性の具体的な評価に当たって十分検討すべき負荷要因の一つとして、拘束時間の長い勤務が挙げられており、拘束時間数、実労働時間数、労働密度(実作業時間と手待時間との割合等)、業務内容、休憩・仮眠時間数、休憩・仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)等の観点から検討し、評価することとされている。
- 業務の過重性の具体的な評価に当たって十分検討すべき負荷要因の一つとして、精神的緊張を伴う業務が挙げられており、精神的緊張と脳・心臓疾患の発症との関連性については、医学的に十分な解明がなされていないこと、精神的緊張は業務以外にも多く存在すること等から、精神的緊張の程度が特に著しいと認められるものについて評価することとされている。
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この過去問の解説 (3件)
01
(平成13年基発1063号、平成22年基発0507第3号)
2 〇 接近した時期は設問のとおりです。また、発症前の長期間は発症前おおむね6か月間です。
(平成13年基発1063号、平成22年基発0507第3号)
3 × 同僚等とは、当該労働者と同程度の年齢、経験等を有する健康な状態にある者の他、基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行出来る者を言います。
(平成13年基発1063号、平成22年基発0507第3号)
4 〇 過重性の具体的な評価に当たっては設問の内容を勘案し、決定することとしています。
(平成13年基発1063号、平成22年基発0507第3号)
5 〇 精神的緊張と脳・心臓疾患の発症との関連性については、医学的に十分な解明がなされていないことから設問のような取り扱いとされています。
(平成13年基発1063号、平成22年基発0507第3号)
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02
認定基準は長文なので、整理して暗記することをお勧めします。一例として肢2の解説を参照ください。
1:正
設問のとおりです。認定基準には、以下のように記載されています。
「特に過重な業務とは、日常業務(通常の所定労働時間内の所定業務内容をいう。)に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいう」。
何に比較して「特に過重な業務」と判断するのか。出題を裏から読むと「普段の仕事と比べて特に過重な業務」に決まっていますよね。極端な例ですが、時間外労働80時間/月の負荷を通常の基準として「特に過重な業務」か否か判断されたらどうなるか、想像してください。大半の案件は労災認定されなくなるはずです。「通常の所定労働時間内の所定業務内容」を基準にするのが当然だということが、お分かり頂けるはずです。
2:正
認定要件は以下の3つです。丸暗記しても損はないと思います。
(1)発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと(異常な出来事)。
⇒ 評価期間は「発症直前から前日までの間」
(2)発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと(短期間の過重業務)。
⇒ 評価期間は「発症前おおむね1週間」
(3)発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと(長期間の過重業務)。
⇒ 評価期間は「発症前おおむね6か月間」
3:誤
発症した労働者に「発症の基礎となる血管病変等」(もともと本人が持っている血管病変や基礎的病態のこと)があれば業務外と認定されますが、同僚等については基礎疾患を有する者も含みます。以下、認定基準から抜粋しますが、「同僚等」に基礎疾患を有する者も含まれることが明記されています。
(以下、抜粋)
特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同僚労働者又は同種労働者(以下「同僚等」という。)にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断すること。
ここでいう同僚等とは、当該労働者と同程度の年齢、経験等を有する健康な状態にある者のほか、基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できる者をいう。
4:正
設問のとおりです。以下を参照願います。
認定基準⇒(2)短期間の過重業務について⇒ウ 過重負荷の有無の判断⇒(ウ) 業務の過重性の具体的な評価に当たっては、以下に掲げる負荷要因について十分検討すること。⇒c 拘束時間の長い勤務
5:正
設問のとおりです。以下を参照願います。
認定基準⇒(2)短期間の過重業務について⇒ウ 過重負荷の有無の判断⇒(ウ) 業務の過重性の具体的な評価に当たっては、以下に掲げる負荷要因について十分検討すること。⇒g 精神的緊張を伴う業務
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03
1:正しい
そのとおり正しい設問になります。
2:正しい
そのとおり正しい設問になります。
なお、その他の認定基準に係る評価期間については、
「異常な出来事」に遭遇した場合は「発症直前から前日までの間」
「長期間の過重業務」については「発症前おおむね6か月間」をいうものとされています。
3:誤り
設問の同僚等には「基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できる者をいう」とされており、「基礎疾患を有する者は含まない」という記述は誤りになります。
4:正しい
そのとおり正しい設問になります。
なお、業務の過重性の具体的な評価にあたって十分検討すべき負荷要因については、設問の「拘束時間の長い勤務」の他、「労働時間」「不規則な勤務」「出張の多い業務」「交代制勤務・深夜勤務」「作業環境」「精神的緊張を伴う業務」があげられています。
5:正しい
そのとおり正しい設問になります。
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