社会保険労務士の過去問
第51回(令和元年度)
厚生年金保険法 問8

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問題

社労士試験 第51回(令和元年度) 択一式 厚生年金保険法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

<改題>

年金法の改正により、令和4年10月より特定適用事業所に該当する適用事業所の企業規模が拡大されました。これに伴い元となる設問文を一部改題し、現行法に沿う形に修正しました。

<参考>

  • 厚生労働大臣は、住民基本台帳法第30条の9の規定による遺族厚生年金の受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができない場合には、当該受給権者に対し、所定の事項を記載し、かつ、自ら署名した届書を毎年指定日までに提出することを求めることができる。
  • 月給制である給与を毎月末日に締め切り、翌月10日に支払っている場合、4月20日に育児休業から職場復帰した被保険者の育児休業等終了時改定は、5月10日に支払った給与、6月10日に支払った給与及び7月10日に支払った給与の平均により判断する。
  • 事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時100人を超えるものの各適用事業所のことを特定適用事業所というが、初めて特定適用事業所となった適用事業所(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る。)の事業主は、当該事実があった日から5日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。

  • 厚生年金保険法施行規則第14条の4の規定による特定適用事業所の不該当の申出は、特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者及び70歳以上の使用される者(被保険者であった70歳以上の者であって当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するものをいう。)の4分の3以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意を得たことを証する書類を添えて行わなければならない。
  • 加給年金額が加算された障害厚生年金の額について、当該加給年金額の対象になっている配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。)が65歳に達した場合は、当該加給年金額を加算しないものとし、その該当するに至った月の翌月から当該障害厚生年金の額を改定する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:2

1.〇
受給権者が、正当な理由が無く届出をせず、または、書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができます(厚年法 78 条)。 したがって、設問のとおりです。

2.×
育児休業等終了時改定は、「育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間に受けた」報酬の総額が基準となります。
したがって、育児休業等終了日の翌日(職場復帰日)である4月20日の属する月(4月)、5月および6月の間に支払われた給料の平均により判断するため、7月は算定対象外となり、当該設問は誤りです(厚年法23条の2 )。

3.〇
特定適用事業所とは、労働時間が常用雇用者(例:正社員)の4分の3未満の短時間労働者(例:パート従業員)が被保険者になる事業所であり、設問のとおりです(厚年則14条の3)。

4.〇
設問のとおりであり、500人以下になったために特定適用事業所から外れたい場合は、労働者側の4分の3以上の同意があれば可能です(厚年則14条の4 )。

5.〇
設問のとおりです。
なお、配偶者が大正15 年4月1日以前生まれであるときは、引き続き加給年金額が加算されます(厚年法 50 条 の2第4項 )。

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02

解答:「月給制である給与を毎月末日に締め切り、翌月10日に支払っている場合、4月20日に育児休業から職場復帰した被保険者の育児休業等終了時改定は、5月10日に支払った給与、6月10日に支払った給与及び7月10日に支払った給与の平均により判断する。」が正解です。

選択肢1. 厚生労働大臣は、住民基本台帳法第30条の9の規定による遺族厚生年金の受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができない場合には、当該受給権者に対し、所定の事項を記載し、かつ、自ら署名した届書を毎年指定日までに提出することを求めることができる。

機構保存本人確認情報の提供を受けることができない場合には、所定の事項を記載し、かつ、自ら署名した届書を毎年指定日までに提出することを求めることができます。

選択肢2. 月給制である給与を毎月末日に締め切り、翌月10日に支払っている場合、4月20日に育児休業から職場復帰した被保険者の育児休業等終了時改定は、5月10日に支払った給与、6月10日に支払った給与及び7月10日に支払った給与の平均により判断する。

×

4月20日に育児休業から職場復帰した場合は、4月10日、5月10日、6月10日の給与で判断します。

選択肢3.

事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時100人を超えるものの各適用事業所のことを特定適用事業所というが、初めて特定適用事業所となった適用事業所(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る。)の事業主は、当該事実があった日から5日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。

初めて特定適用事業所となった適用事業所の事業主は、事実があった日から「5日以内」に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければいけません。

選択肢4. 厚生年金保険法施行規則第14条の4の規定による特定適用事業所の不該当の申出は、特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者及び70歳以上の使用される者(被保険者であった70歳以上の者であって当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するものをいう。)の4分の3以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意を得たことを証する書類を添えて行わなければならない。

特定適用事業所の不該当の申出は、厚生年金保険の被保険者及び70歳以上の使用される者の「4分の3以上」で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意を得たことを証する書類を添えて行わなければいけません。

選択肢5. 加給年金額が加算された障害厚生年金の額について、当該加給年金額の対象になっている配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。)が65歳に達した場合は、当該加給年金額を加算しないものとし、その該当するに至った月の翌月から当該障害厚生年金の額を改定する。

加給年金額の対象になっている配偶者が65歳に達した場合は、加給年金額は加算されなくなります。

そのため、該当するに至った月の翌月から障害厚生年金の額が改定されます。

参考になった数6

03

以下、選択肢ごとに解説します。

選択肢1. 厚生労働大臣は、住民基本台帳法第30条の9の規定による遺族厚生年金の受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができない場合には、当該受給権者に対し、所定の事項を記載し、かつ、自ら署名した届書を毎年指定日までに提出することを求めることができる。

〇 設問のとおりです。受給権者が正当な理由がなく、届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができます。
(則68条の1)

選択肢2. 月給制である給与を毎月末日に締め切り、翌月10日に支払っている場合、4月20日に育児休業から職場復帰した被保険者の育児休業等終了時改定は、5月10日に支払った給与、6月10日に支払った給与及び7月10日に支払った給与の平均により判断する。

× 育児休業時の改定は、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3月間(産前産後休業終了日の翌日において使用される事務所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となったに数が17日(厚生労働省で定める者にあっては11日)未満である月がある時は、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定します。よって、4月10日、5月10日、6月10日に支払われた給与の平均により判断することとなります。
(法23条の2)

選択肢3.

事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時100人を超えるものの各適用事業所のことを特定適用事業所というが、初めて特定適用事業所となった適用事業所(第1号厚生年金被保険者に係るものに限る。)の事業主は、当該事実があった日から5日以内に所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。

〇 設問のとおりです。特定適用事業所該当の届出です。
(則14条の3)

選択肢4. 厚生年金保険法施行規則第14条の4の規定による特定適用事業所の不該当の申出は、特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者及び70歳以上の使用される者(被保険者であった70歳以上の者であって当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するものをいう。)の4分の3以上で組織する労働組合があるときは、当該労働組合の同意を得たことを証する書類を添えて行わなければならない。

〇 設問のとおりです。尚、設問の労働組合がない時は、4分の3以上同意対象者の4分の3以上を代表する者の同意又は4分の3以上同意対象者の4分の3以上の同意を得たことを証明する書類を添えて行わなければなりません。
(則14条の4)

選択肢5. 加給年金額が加算された障害厚生年金の額について、当該加給年金額の対象になっている配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた者を除く。)が65歳に達した場合は、当該加給年金額を加算しないものとし、その該当するに至った月の翌月から当該障害厚生年金の額を改定する。

〇 設問のとおりです。尚、配偶者が大正15年4月1日以前生まれであるときは、引き続き加給年金額が加算されます。
(法50条の2第4項)

参考になった数3