社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
労働者災害補償保険法 問8

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問題

社労士試験 第52回(令和2年度) 択一式 労働者災害補償保険法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

請負事業の一括に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 請負事業の一括は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業又は立木の伐採の事業が数次の請負によって行われるものについて適用される。
  • 請負事業の一括は、元請負人が、請負事業の一括を受けることにつき所轄労働基準監督署長に届け出ることによって行われる。
  • 請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、請負事業の一括が行われるのは、「労災保険に係る保険関係が成立している事業」についてであり、「雇用保険に係る保険関係が成立している事業」については行われない。
  • 請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付の義務を負い、更に労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となる。
  • 請負事業の一括が行われると、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付等の義務を負わなければならないが、元請負人がこれを納付しないとき、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、下請負人に対して、その請負金額に応じた保険料を納付するよう請求することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.誤
請負事業の一括は建設の事業についてのみ適用されます。

2.誤
請負事業の一括は「当然に」行われます。
建設の事業が数次の請負によって行われる場合、それは一つの事業とみなされ、元請負人のみが事業主とされます。
所轄労働基準監督署長へ届け出ることによって行われるのではありません。

3.正
設問の通りです。

4.誤
請負事業の一括が行われる場合、元請負人は事業主として、下請負人に使用される労働者を含めた保険関係について義務を負いますが、労働関係の当事者として下請負人に使用される労働者の使用者にはなりません。

5.誤
設問のような規定はありません。
請負事業の一括が行われる場合、元請負人が保険料の納付義務者となります。
納付義務者が保険料等の徴収金を納付しないとき、政府は期限を指定して督促しなければなりません。

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02

1.誤
請負事業の一括は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち「建設の事業のみ」に適用します。

2.誤
下請け事業の事務処理上の困難を考えて、「法律上当然」に元請負事業に一括する規定であるため、元請負人の届出は不要です。

3.正
設問のとおりです。
請負事業の一括により一括されるのは、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業のみであり、雇用保険に係る保険関係はそれぞれの事業ごとに適用します。

4.誤
請負事業の一括により事業主として保険料の納付等の義務を負いますが、労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となるわけではありません。

5.誤
請負事業の一括により、元請負人のみが当該事業の事業主となります。
労働保険料の納付義務はすべて事業主に課せられているため、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、下請負人に対して保険料の納付を請求することはできません。

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03

 「請負事業の一括」に関しては、以下の点をまず理解しておきましょう。

・労災保険(労災補償)特有の考え方なので、労災保険関係に限って適用され、

 雇用保険関係や労働安全衛生関係などにはそのような一括制度はありません。

・建設業にのみ適用されます。

 また、この制度のねらいとして、多重請負構造が多い建設業においては、労災事故発生時に、責任の所在について(元請/下請間で)もめる可能性が相対的に高いため、いったん元請業者でまとめて労災保険部分の加入等手続き責任を負わせることで、責任の所在を明確化している、と理解しておくとよいでしょう。

選択肢1. 請負事業の一括は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業又は立木の伐採の事業が数次の請負によって行われるものについて適用される。

 誤った記述です。

 前述のとおり、建設業以外に請負事業の一括は適用されることがないので、理解しておきましょう。

選択肢2. 請負事業の一括は、元請負人が、請負事業の一括を受けることにつき所轄労働基準監督署長に届け出ることによって行われる。

 誤った記述です。

 建設業においては、請負事業の一括は当然に適用されます。

 逆に、請負事業の一括を行わず、下請負事業を分離して保険関係を成立させる場合には、労働基準監督署長(を経由して都道府県労働局長)に届け出て、その認可を受けることにより、下請負人をその請負に係る事業の事業主とすることができます。

選択肢3. 請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、請負事業の一括が行われるのは、「労災保険に係る保険関係が成立している事業」についてであり、「雇用保険に係る保険関係が成立している事業」については行われない。

 正しい記述です。

 雇用保険においては、雇用者と労働者の契約関係が明確であり、雇用保険にかかる各種給付の責任範囲も明確であるため、一括を行う必要性がなく規定がない、と理解しておくとよいでしょう。

選択肢4. 請負事業の一括が行われ、その事業を一の事業とみなして元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付の義務を負い、更に労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となる。

 誤った記述です。

 「労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となる」ことはありません。

 あくまで、元請負人は、下請負人を含めた工事現場において、法令違反や事故等を防止/回避する努力義務がありますが、雇用関係でいう「使用者」になることはありません。

 (逆に委託契約適正化義務違反(偽装請負)になってしまいます)

選択肢5. 請負事業の一括が行われると、元請負人は、その請負に係る事業については、下請負をさせた部分を含め、そのすべてについて事業主として保険料の納付等の義務を負わなければならないが、元請負人がこれを納付しないとき、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、下請負人に対して、その請負金額に応じた保険料を納付するよう請求することができる。

 誤った記述です。

 保険料の納付義務はあくまで元請負人にあり、下請負人が納付する(請求を受ける)ことは規定されていません。

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