社労士の過去問 第52回(令和2年度) 健康保険法 問48
この過去問の解説 (3件)
設問のような場合、休業補償給付の額が傷病手当金の額を上回っているときは、傷病手当金か支給されないが、傷病手当金の方が高い場合は、その差額が傷病手当金として支給されます。
2.誤
従来、資格喪失届及び被保険者報酬月額変更届の届出の受付年月日より60日以上遡る場合又は既に届出済である標準報酬月額を大幅に引き下げる場合について、当該事実を確認できる書類の添付は求めていたが、現在は求めないこととされています。
3.誤
取消の認可の申請については、事業主の権限とされているため、たとえ被保険者である者の4分の3以上が希望しても、事業主に申請の義務は生じません。
4.正
設問のとおりです。
育児休業期間中の保険料免除の対象となっている被保険者が育児休業等終了予定日の前日までに産前産後休業期間中の保険料免除の規定の適用を受ける産前産後休業を開始したことにより育児休業等を終了したときは、育児休業等取得者終了届の提出は不要です。
5.誤
出産手当金は、労務に服さなかった期間について支給されるものであり、「労務に服している期間」について支給されることはありません。
1 誤りです。
労災の休業補償給付を受けている間に傷病手当金は支給しません。
ただし、傷病手当金の額が休業補償給付を上回るときはその差額が支給されます。
(休業補償給付が優先ということです。)
2 誤りです。
平成31年9月1日までは添付書類が必要でしたが、現在は行政手続きコストの観点から添付は不要とされています。なお健康保険組合によっては、報酬月額が下がると保険料収入が低下となってしまうことから、添付を求めるところもあります。
3 誤りです。
被保険者が希望しても事業主が取り消しをする義務はありません。
なお、事業主が4分の3以上の同意を得れば取り消すことができます。
(任意適用の話なので、強制適用事業所は取り消すことができません。)
4 設問のとおり正しいです。
保険料免除の期間が変わってくるので、届け出て教えてあげる必要があります。
設問後半部分の「被保険者が育児休業等終了予定日の前日までに産前産後休業期間中の保険料の免除の規定の適用を受ける産前産後休業を開始したことにより育児休業等を終了したときはこの限りでない」というのは、もう制度側で「育児休業免除は終わって、産前産後休業免除が開始されているんだな」と分かっているので、届出は不要とされています。
5 誤りです。
「労務に服している期間」ではなく、「労務に服さなかった期間」に出産手当金が支給されます。労務に服していれば報酬がどれだけあったかに関わらず支給されません。
正解:4
1:休業補償給付が優先されるが、傷病手当金が支給されることもあります(「労働者災害補償保険法による休業補償費と健康保険法による傷病手当金との併給について」(昭和三三年七月八日 保険発第九五号))。
労働者災害補償保険法による休業補償費を受給している健康保険の被保険者が、業務外の事由による傷病によっても労務不能となった場合には、休業補償費の額が傷病手当金の額に達しないときにおけるその部分にかかわるものを除き、傷病手当金は支給されないものとするとされています。つまり、休業補償給付の額が傷病手当金の額よりも少ない場合、その差額分の傷病手当金が支給されるのです。
2:「添付しなければならない」ではなく「かつては添付が必須であったが現在は不要になった」です(「「行政手続コスト」削減のための基本計画」(平成29年6月厚生労働省決定))。
また、設問の場合の他にも、被保険者資格取得届を受付年月日より60日以上さかのぼる場合も同様です。
3:「被保険者の4分の3以上の申出」があっても、適用事業所でなくすことを事業主に強制することはできません(健康保険法第33条第1項)。
健康保険法第33条第1項では、「事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる」とのみ規定しています。なお、同条第2項は、この場合の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならないとしています。この規定と混同しないようにしましょう。
4:設問の通りです(第43条の2第1項但し書)。
5:労務に服している期間には出産手当金は支給されません(健康保険法第102条)。
出産手当金は、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間支給されます。
以上より正しい選択肢は4で、これが正解となります。
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