社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
雇用保険法 問4

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 雇用保険法 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

特定理由離職者と特定受給資格者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことにより事業所が廃止されたため離職した者は、特定受給資格者に該当する。
  • いわゆる登録型派遣労働者については、派遣就業に係る雇用契約が終了し、雇用契約の更新・延長についての合意形成がないが、派遣労働者が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣元事業主から当該雇用契約期間の満了日までに派遣就業を指示されなかったことにより離職した者は、特定理由離職者に該当する。
  • 常時介護を必要とする親族と同居する労働者が、概ね往復5時間以上を要する遠隔地に転勤を命じられたことにより離職した場合、当該転勤は労働者にとって通常甘受すべき不利益であるから、特定受給資格者に該当しない。
  • 労働組合の除名により、当然解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、当該組合から除名の処分を受けたことによって解雇された場合には、事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がないとしても、特定受給資格者に該当しない。
  • 子弟の教育のために退職した者は、特定理由離職者に該当する。

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この過去問の解説 (3件)

01

解答:「いわゆる登録型派遣労働者については・・・」が正解です。

選択肢1. 事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことにより事業所が廃止されたため離職した者は、特定受給資格者に該当する。

×

事業の期間が予定されている事業で、期間が終了したことにより事業所が廃止されたため離職した者は、「特定受給資格者」ではなく「特定理由離職者」に該当します。

選択肢2. いわゆる登録型派遣労働者については、派遣就業に係る雇用契約が終了し、雇用契約の更新・延長についての合意形成がないが、派遣労働者が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣元事業主から当該雇用契約期間の満了日までに派遣就業を指示されなかったことにより離職した者は、特定理由離職者に該当する。

派遣就業に係る雇用契約が終了し、引き続き派遣元事業主のもとでの就業を希望したが雇用契約期間の満了日までに派遣就業を指示されなかったことにより離職した者は、「特定理由離職者」に該当します。

選択肢3. 常時介護を必要とする親族と同居する労働者が、概ね往復5時間以上を要する遠隔地に転勤を命じられたことにより離職した場合、当該転勤は労働者にとって通常甘受すべき不利益であるから、特定受給資格者に該当しない。

× 

概ね往復5時間以上を要する遠隔地に転勤を命じられたことにより離職した場合は、「特定受給資格者」に該当します。

選択肢4. 労働組合の除名により、当然解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、当該組合から除名の処分を受けたことによって解雇された場合には、事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がないとしても、特定受給資格者に該当しない。

×

自己の責めに帰すべき重大な理由がなく解雇された場合は、「特定受給資格者」に該当します。

選択肢5. 子弟の教育のために退職した者は、特定理由離職者に該当する。

×

子弟の教育のために退職した者は、「特定理由離職者」に該当しません。

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02

正解:いわゆる登録型派遣労働者については、派遣就業に係る雇用契約が終了し、雇用契約の更新・延長についての合意形成がないが、派遣労働者が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣元事業主から当該雇用契約期間の満了日までに派遣就業を指示されなかったことにより離職した者は、特定理由離職者に該当する。

選択肢1. 事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことにより事業所が廃止されたため離職した者は、特定受給資格者に該当する。

「特定受給資格者に該当する」ではなく、「特定理由離職者に該当する」となります(雇用保険法第13条第3項、第23条第2項)。

 特定理由離職者とは、離職した者のうち、特定受給資格者以外の者であって、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいいます(同法第13条第3項)。

選択肢2. いわゆる登録型派遣労働者については、派遣就業に係る雇用契約が終了し、雇用契約の更新・延長についての合意形成がないが、派遣労働者が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣元事業主から当該雇用契約期間の満了日までに派遣就業を指示されなかったことにより離職した者は、特定理由離職者に該当する。

設問の通りです(雇用保険法第13条第3項)。

 特定受給資格者とは、①当該基本手当の受給資格に係る離職が、その者を雇用していた事業主の事業について発生した倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てその他厚生労働省令で定める事由に該当する事態をいう。第五十七条第二項第一号において同じ。)又は当該事業主の適用事業の縮小若しくは廃止に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの、または②①のほか、解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。第五十七条第二項第二号において同じ。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者をいいます(同法第23条第2項)。

選択肢3. 常時介護を必要とする親族と同居する労働者が、概ね往復5時間以上を要する遠隔地に転勤を命じられたことにより離職した場合、当該転勤は労働者にとって通常甘受すべき不利益であるから、特定受給資格者に該当しない。

「通常甘受すべき不利益であるから、特定受給資格者に該当しない」ではなく「通常甘受すべき不利益の範囲を超えており、特定受給資格者に該当する」となります(雇用保険法施行規則第36条第6号)。

 「事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていない」場合にも、特定受給資格者となります。そして、「当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていない」場合には、「.常時介護を必要とする親族と同居する労働者が、概ね往復『4時間以上』を要する遠隔地に転勤を命じられたことにより離職した場合」 が該当するという基準があります。

選択肢4. 労働組合の除名により、当然解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、当該組合から除名の処分を受けたことによって解雇された場合には、事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がないとしても、特定受給資格者に該当しない。

「特定受給資格者に該当しない」ではなく「特定受給資格者に該当する」となります(雇用保険法第23条第2項第2号)。

 事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がない解雇がなされた場合、特定受給資格者に該当します。

選択肢5. 子弟の教育のために退職した者は、特定理由離職者に該当する。

「特定理由離職者に該当する」ではなく「特定理由離職者に該当しない」となります(雇用保険法施行規則第36条)。

 他の解説で、特定理由離職者について見ました。このうちの「その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者」については雇用保険法施行規則第36条で定められていますが、この中にも「子弟の教育のために退職した者」は規定されていません。

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03

特定理由離職者、特定受給資格者に該当するかどうかを問う問題です(行政手引50305)。

選択肢1. 事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことにより事業所が廃止されたため離職した者は、特定受給資格者に該当する。

契約の更新延長について合意形成がない場合は特定理由離職者に該当しえますが、特定受給資格者に該当しません。

(基本手当の受給資格)第十三条

3 前項の特定理由離職者とは、離職した者のうち、第二十三条第二項各号のいずれかに該当する者以外の者であつて、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいう。

事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことにより事業所が廃止されたため離職した者は、特定受給資格者に該当する。

選択肢2. いわゆる登録型派遣労働者については、派遣就業に係る雇用契約が終了し、雇用契約の更新・延長についての合意形成がないが、派遣労働者が引き続き当該派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、派遣元事業主から当該雇用契約期間の満了日までに派遣就業を指示されなかったことにより離職した者は、特定理由離職者に該当する。

契約の更新延長について合意形成がなく、その者が契約更新を希望したにも関わらず、更新についての合意が成立するに至らない場合は特定理由離職者に該当します。有期労働契約の締結時に更新されることが明示されたが、実際には更新されなかった場合は特定受給資格者に該当します。

選択肢3. 常時介護を必要とする親族と同居する労働者が、概ね往復5時間以上を要する遠隔地に転勤を命じられたことにより離職した場合、当該転勤は労働者にとって通常甘受すべき不利益であるから、特定受給資格者に該当しない。

概ね往復が4時間以上となる場合特定受給資格者に該当します。

常時介護を必要とする親族と同居する労働者が、概ね往復5時間以上を要する遠隔地に転勤を命じられたことにより離職した場合、当該転勤は労働者にとって通常甘受すべき不利益であるから、特定受給資格者に該当しない。

選択肢4. 労働組合の除名により、当然解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、当該組合から除名の処分を受けたことによって解雇された場合には、事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がないとしても、特定受給資格者に該当しない。

事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がない場合、特定受給資格者に該当します。

労働組合の除名により、当然解雇となる団体協約を結んでいる事業所において、当該組合から除名の処分を受けたことによって解雇された場合には、事業主に対し自己の責めに帰すべき重大な理由がないとしても、特定受給資格者に該当しない。

選択肢5. 子弟の教育のために退職した者は、特定理由離職者に該当する。

特定理由離職者に該当しません。

特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準が参照できます。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf

子弟の教育のために退職した者は、特定理由離職者に該当する。

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