社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
雇用保険法 問10
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問題
社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 雇用保険法 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
次に示す業態をとる事業についての労働保険料に関する記述のうち、正しいものはどれか。
なお、本問においては、保険料の滞納はないものとし、また、一般保険料以外の対象となる者はいないものとする。
保険関係成立年月日:令和元年7月10日
事業の種類:食料品製造業
令和2年度及び3年度の労災保険率:1000分の6
令和2年度及び3年度の雇用保険率:1000分の9
令和元年度の確定賃金総額:4,000万円
令和2年度に支払いが見込まれていた賃金総額:7,400万円
令和2年度の確定賃金総額:7,600万円
令和3年度に支払いが見込まれる賃金総額:3,600万円
なお、本問においては、保険料の滞納はないものとし、また、一般保険料以外の対象となる者はいないものとする。
保険関係成立年月日:令和元年7月10日
事業の種類:食料品製造業
令和2年度及び3年度の労災保険率:1000分の6
令和2年度及び3年度の雇用保険率:1000分の9
令和元年度の確定賃金総額:4,000万円
令和2年度に支払いが見込まれていた賃金総額:7,400万円
令和2年度の確定賃金総額:7,600万円
令和3年度に支払いが見込まれる賃金総額:3,600万円
- 令和元年度の概算保険料を納付するに当たって概算保険料の延納を申請した。当該年度の保険料は3期に分けて納付することが認められ、第1期分の保険料の納付期日は保険関係成立の日の翌日から起算して50日以内の令和元年8月29日までとされた。
- 令和2年度における賃金総額はその年度当初には7,400万円が見込まれていたので、当該年度の概算保険料については、下記の算式により算定し、111万円とされた。
7,400万円✕1000分の15=111万円 - 令和3年度の概算保険料については、賃金総額の見込額を3,600万円で算定し、延納を申請した。また、令和2年度の確定保険料の額は同年度の概算保険料の額を上回った。この場合、第1期分の保険料は下記の算式により算定した額とされた。
3,600万円 ✕ 1000分の15 ÷ 3 = 18万円 ……………………… ①
(令和2年度の確定保険料)−(令和2年度の概算保険料)… ②
第1期分の保険料 = ① + ② - 令和3年度に支払いを見込んでいた賃金総額が3,600万円から6,000万円に増加した場合、増加後の賃金総額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額を増加概算保険料として納付しなければならない。
- 令和3年度の概算保険料の納付について延納を申請し、定められた納期限に従って保険料を納付後、政府が、申告書の記載に誤りがあったとして概算保険料の額を決定し、事業主に対し、納付した概算保険料の額が政府の決定した額に足りないと令和3年8月16日に通知した場合、事業主はこの不足額を納付しなければならないが、この不足額については、その額にかかわらず、延納を申請することができない。
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この過去問の解説 (3件)
01
解説は以下のとおりです。
誤
保険関係成立年月日:令和元年7月10日のため3期に分けることはできず、2期に分けることになります。
令和元年度の概算保険料を納付するに当たって概算保険料の延納を申請した。当該年度の保険料は3期に分けて納付することが認められ、第1期分の保険料の納付期日は保険関係成立の日の翌日から起算して50日以内の令和元年8月29日までとされた。
7,400万円✕1000分の15=111万円
誤
令和元年度の確定賃金総額:4,000万円であることから令和2年度の賃金見込額は令和元年の100分の50以上、100分の200以下の範囲内にあります。従って令和2年度の概算保険料は令和元年度の4000万円*1000分の15=60万円となります。
令和2年度における賃金総額はその年度当初には7,400万円が見込まれていたので、当該年度の概算保険料については、下記の算式により算定し、111万円とされた。
7,400万円✕1000分の15=111万円
3,600万円 ✕ 1000分の15 ÷ 3 = 18万円 ……………………… ①
(令和2年度の確定保険料)−(令和2年度の概算保険料)… ②
第1期分の保険料 = ① + ②
正
令和2年度の確定賃金総額:7,600万円
令和3年度の賃金総額の見込み額は令和2年度の100分の50以下となります。従って、令和3年度の概算保険料の算出には令和3年度の賃金見込み総額に基づいて計算します。3,600万円✕1000分の15÷3=18万円です①。
令和2年度の確定保険料の額は概算保険料を上回っており、不足額の納付が必要となります②。従って①+②となり本肢は正しいです。
令和3年度の概算保険料については、賃金総額の見込額を3,600万円で算定し、延納を申請した。また、令和2年度の確定保険料の額は同年度の概算保険料の額を上回った。この場合、第1期分の保険料は下記の算式により算定した額とされた。
3,600万円✕1000分の15÷3=18万円 ………………………… ①
(令和2年度の確定保険料)−(令和2年度の概算保険料)… ②
第1期分の保険料=①+②
誤
増加概算保険料に関する問です。
賃金総額の見込額等が増加した場合に増加概算保険料を納付する必要がありますが、以下2つの場合です。
①増加後の賃金総額等の見込額が増加前の100分の200を超えること、及び、②差額が13万円以上あること。
本肢は①にあてはまりません。
令和3年度に支払いを見込んでいた賃金総額が3,600万円から6,000万円に増加した場合、増加後の賃金総額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額を増加概算保険料として納付しなければならない。
誤
延納の対象を問うものです。延納の対象は以下となり、本肢のものは③に相当します。
①年度の当初に納付する概算保険料
②保険関係が成立した際に納付する概算保険料
③認定決定に係る概算保険料
④増加概算保険料
⑤追加徴収される概算保険料
額については、概算保険料の延納の要件(納付すべき概算保険料の額が40万円以上、或いは、労働保険事務組合に処理を委託する)を認定決定により納付すべき額が満たしているという状況があれば延納ができます。
令和3年度の概算保険料の納付について延納を申請し、定められた納期限に従って保険料を納付後、政府が、申告書の記載に誤りがあったとして概算保険料の額を決定し、事業主に対し、納付した概算保険料の額が政府の決定した額に足りないと令和3年8月16日に通知した場合、事業主はこの不足額を納付しなければならないが、この不足額については、その額にかかわらず、延納を申請することができない。
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02
解答:「令和3年度の概算保険料については、賃金総額の見込額を3,600万円で算定し、延納を申請した。・・・」が正解です。
×
保険関係成立年月日が令和元年7月10日のため「2期」に分けて納付することになります。
7,400万円✕1000分の15=111万円
×
令和2年度に見込まれていた賃金総額は、7,400万円のため令和元年の確定賃金総額4,000万円の100分の200以下なので4,000万円×1,000分の15=60万円になります。
3,600万円 ✕ 1000分の15 ÷ 3 = 18万円 ……………………… ①
(令和2年度の確定保険料)−(令和2年度の概算保険料)… ②
第1期分の保険料 = ① + ②
〇
令和3年度に見込まれていた賃金総額は、3,600万円のため令和2年の確定賃金総額7,400万円の100分の50以上ではないので「令和3年度に支払いが見込まれる賃金総額」を用いて概算保険料を算定します。
3,600万円×1,000分の15÷3=18万円 …①
(令和2年度の確定保険料)−(令和2年度の概算保険料)… ②
第1期分の保険料 = ① + ②
の計算をして、第1期分の保険料を算定します。
×
増加後の6,000万円は、「賃金総額等の見込額が増加前の100分の200を超えること」に該当しないので差額を増加概算保険料として納付する必要はありません。
×
認定決定された概算保険料も、延納することができます。
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03
正解:3
1:「3期に分けて納付することが認められ」ではなく「2期に分けて納付することが認められ」となります(労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第72条)。
設問においては、保険関係成立年月日が令和元年7月10日となっています。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第72条により、6月1日から9月30日までに保険関係が成立した場合は、11月30日まで1期として、翌年3月31日まで2期とする2期に分けて納付ことが認められます。
2:「111万円」ではなく「60万円」となります(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第24条)。
当該保険年度の保険料算定基礎額の見込額が、直前の保険年度の保険料算定基礎額の100分の50以上100分の200以下である場合にあっては、直前の保険年度に使用したすべての労働者に係る賃金総額をもって納付する概算保険料とします。
設問の場合、令和元年度の確定賃金総額4,000万円に対し、令和2年度の賃金見込額は7,400万円で、2,000万円から8,000万円(4,000万円の100分の50以上100分の200以下)の範囲内にあります。このため、令和2年度の概算保険料は、4,000万円×1,000分の15=60万円となります。
3:設問の通り(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第24条)。
選択肢2の解説の通りです。 令和2年度の確定賃金総額は7,600万円で、令和3年度の賃金総額の見込み額である3,600万円は、3,800万円(7,600万円の100分の50)以下となっています。このため、令和3年度の概算保険料は、賃金見込み総額に基づき計算します。
これが 3,600万円✕1000分の15÷3=18万円です。・・・・・・①
また、令和2年度の確定保険料の額は概算保険料を上回っており、不足額の納付が必要となります。・・・・・・②
合わせて納付すべき概算保険料は、①+②となります。
4:「差額を増加概算保険料として納付しなければならない」ではなく、「差額を増加概算保険料として納付することはできない」となります(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第16条、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第25条)。
増加後の見込額に基づく労働保険料の額と納付した労働保険料の額との差額を納付しなければならないのは、①増加後の保険料算定基礎額の見込額が増加前の保険料算定基礎額の見込額の100分の200を超え、かつ、②増加後の保険料算定基礎額の見込額に基づき算定した概算保険料の額と既に納付した概算保険料の額との差額が13万円以上であるときです。
設問の場合、見込額が3,600万円であったため、7,200万円(3,600万円の100分の200)を超えるときでないと増加概算保険料を納付することはできません。設問の場合、増加後の賃金見込額が6,000万円と7,200万円以下なので、納付することはできません。
5:「その額にかかわらず、延納を申請することができない」ではなく「要件を満たせば、延納を申請することができる」となります(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条第3項、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第29条)。
概算保険料の延納の要件(納付すべき概算保険料の額が40万円以上又は労働保険事務組合に処理を委託する)を認定決定により納付すべき額が満たしていれば延納できます。
以上より正しい選択肢は3で、これが正解となります。
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