社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
労務管理その他の労働に関する一般常識 問3

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 労務管理その他の労働に関する一般常識 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

労働契約法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 労働契約法第7条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と定めているが、同条は、労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。
  • 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第10条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。
  • 労働契約法第13条は、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その反する部分の労働条件は当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約の内容とはならないことを規定しているが、ここでいう「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは問わず、労働基準法以外の法令も含まれる。
  • 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、労働契約法第18条第1項に基づき有期労働契約が無期労働契約に転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。
  • 有期労働契約の更新等を定めた労働契約法第19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよい。

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この過去問の解説 (3件)

01

解答:「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第10条本文にいう・・・」が正解です。

選択肢1. 労働契約法第7条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と定めているが、同条は、労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。

既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されません。

選択肢2. 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第10条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。

×

「労働組合等」には、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体も含まれます。

選択肢3. 労働契約法第13条は、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その反する部分の労働条件は当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約の内容とはならないことを規定しているが、ここでいう「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは問わず、労働基準法以外の法令も含まれる。

〇 

「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは問わず、労働基準法以外の法令も含まれます。

選択肢4. 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、労働契約法第18条第1項に基づき有期労働契約が無期労働契約に転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。

有期労働契約が無期労働契約に転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないです。

選択肢5. 有期労働契約の更新等を定めた労働契約法第19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよい。

「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、「要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでよい」とされています。

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02

正解:2

1:設問の通りとなります(「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日付基発0810第2号)第3・2(2)イ(イ))。

 厚生労働省の解釈であり、裁判所が判断した場合、これと違う解釈を示す可能性もありますが、厚生労働省通達である「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日付基発0810第2号)第3・2(2)イ(イ)では「法第7条は労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されないものであること」とされています。

2:「労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない」ではなく、「労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれる」となります。

 労働組合「等」には、「労働者で構成」され、「その意思を代表」すれば親睦団体でもこれに含まれると考えられます。

3:設問の通りとなります(「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日付基発0810第2号)第3・7(2)ウ)。

 選択肢1と同様に、行政解釈ですが「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日付基発0810第2号)第3・7(2)ウには、「法第13条の「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいうものであること。なお、罰則を伴う法令であるか否かは問わないものであり、労働基準法以外の法令も含むものであること」と記載されています。 

4:設問の通りとなります(「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日付基発0810第2号)第5・4(2)カ)。

 「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日付基発0810第2号)第5・4(2)カには「法第18条第1項の規定による無期労働契約への転換は期間の定めのみを変更するものであるが、同項の「別段の定め」をすることにより、期間の定め以外の労働条件を変更することは可能であること。この「別段の定め」は、労働協約、就業規則及び個々の労働契約(無期労働契約への転換に当たり従前の有期労働契約から労働条件を変更することについての有期契約労働者と使用者との間の個別の合意)をいうものであること」と記載しています。

5:設問の通りとなります(「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日付基発0810第2号)第5・5(2)エ)。

 「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日付基発0810第2号)第5・5(2)エは「法第19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為で はなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らか の反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよいこと」と記載しています。

以上より、誤っている選択肢は2で、これが正解となります。

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03

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 労働契約法第7条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と定めているが、同条は、労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。

就業規則の内容が労働契約を補完します。労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、合意が優先されます。

もともと就業規則があり、その後に労働契約が成立した場合に適用され、既に労働契約が存在している事業場で就業規則が存在しない、後から就業規則ができた場合は遡って適用しません(H24.8.10基発第0810第2号)。

第七条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

(就業規則違反の労働契約)

第十二条

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

選択肢2. 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第10条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。

労働組合等の等に労働者で構成され、その意思を代表する親睦団体も含まれます。労働契約法では適用範囲を幅広くとるという考え方があります。

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

使用中者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第10条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。

選択肢3. 労働契約法第13条は、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その反する部分の労働条件は当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約の内容とはならないことを規定しているが、ここでいう「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは問わず、労働基準法以外の法令も含まれる。

H24.8.10基発第0810第2号 p22が参照できます。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000773763.pdf

7 法令及び労働協約と就業規則との関係(法第13条関係)

(中略)

ウ 法第13条の「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、 政令及び省令をいうものであること。なお、罰則を伴う法令であるか 否かは問わないものであり、労働基準法以外の法令も含むものである こと。

選択肢4. 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、労働契約法第18条第1項に基づき有期労働契約が無期労働契約に転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。

H24.8.10基発第0810第2号 p28が参照できます。

4 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(法第18条関係)

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000773763.pdf

カ 法第18条第1項の規定による無期労働契約への転換は期間の定め のみを変更するものであるが、同項の「別段の定め」をすることにより、 期間の定め以外の労働条件を変更することは可能であること。この「別 段の定め」は、労働協約、就業規則及び個々の労働契約(無期労働契約 への転換に当たり従前の有期労働契約から労働条件を変更することに ついての有期契約労働者と使用者との間の個別の合意)をいうものであ ること。

選択肢5. 有期労働契約の更新等を定めた労働契約法第19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよい。

H24.8.10基発第0810第2号 p34が参照できます。

5 有期労働契約の更新等(法第19条(平成25年4月1日前は法第18条。 以下同じ。)関係)

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000773763.pdf

エ 法第19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為で はなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らか の反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよいこと。

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