社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
労務管理その他の労働に関する一般常識 問5

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 労務管理その他の労働に関する一般常識 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

社会保険労務士法令に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 一般の会社の労働社会保険事務担当者又は開業社会保険労務士事務所の職員のように、他人に使用され、その指揮命令のもとに事務を行う場合は、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者の業務の制限について定めた社会保険労務士法第27条にいう「業として」行うに該当する。
  • 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述及び尋問をすることができる。
  • 厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求めることができるが、ここにいう「その業務に関し必要な報告」とは、法令上義務づけられているものに限られ、事務所の経営状態等についての報告は含まれない。
  • 社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。
  • 社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、当該監督に必要な検査をするに先立ち、必ず厚生労働大臣に対し、意見を求めなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 一般の会社の労働社会保険事務担当者又は開業社会保険労務士事務所の職員のように、他人に使用され、その指揮命令のもとに事務を行う場合は、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者の業務の制限について定めた社会保険労務士法第27条にいう「業として」行うに該当する。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】社会保険労務士法第27条

【ポイント・考え方】

 設問文の場合は、「業として」行うに該当しません。

 仮に該当してしまうと、そのような事務を行う人を雇い入れたいとなった場合にも、その人に社会保険労務士の資格が必要になってしまい、現実的ではないことが理解できるかと思います。

【学習・実務でのワンポイント】

 本設問は、学習していなくても、一般常識と推察で正答を導くことが可能であると考えます。

選択肢2. 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述及び尋問をすることができる。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】社会保険労務士法第2条の2

【ポイント・考え方】

 設問文のうち、「尋問」はすることができません。

【学習・実務でのワンポイント】

 弁護士や特定社会保険労務士と関連させて、対応可能範囲を整理しておくとよいでしょう。

選択肢3. 厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求めることができるが、ここにいう「その業務に関し必要な報告」とは、法令上義務づけられているものに限られ、事務所の経営状態等についての報告は含まれない。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】社会保険労務士法第24条1項

【ポイント・考え方】

 根拠条文においては、「事務所の経営状態等についての報告」は明記されていませんが、「業務に関係のある帳簿書類」を検査することができることとなっており、この帳簿書類には、経営状態等に関するものも含まれると解されている、と理解しておきましょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 本設問群においては、正答肢が明らかに正しいため、本設問が誤りとなりますが、根拠条文を読み解き、関連法令と照らし合わせても判断に迷う本設問文は、出題に適さないと筆者は感じています。

選択肢4. 社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。

【正誤】正しい記述です。

【根拠条文等】社会保険労務士法第25条の16

【ポイント・考え方】

 法令に違反するような対応をすることがないよう、設問文のような規定があると理解しておくとよいでしょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 なお、社労士法人であれば、いわゆる「支店」を持つことができるようになりますが、当該「支店」にも、社会保険労務士を常駐させないといけない点も、あわせて理解しておくとよいでしょう。

選択肢5. 社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、当該監督に必要な検査をするに先立ち、必ず厚生労働大臣に対し、意見を求めなければならない。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】社会保険労務士法第25条の22の3第1項2項

【ポイント・考え方】

 設問文の場合は、裁判所は意見を求める「ことができる」のであって、「必ず」「求めなければならない」ものではありません。

 なお、本筋ではないですが、設問文に「必ず」や「ねばならない」の文言があった場合には、いったん反例を探してみて、1つでも見つかった場合はその設問文を「誤り」と判断しておき他の設問文の正誤確認に進むのもありだと筆者は考えております。

【学習・実務でのワンポイント】

 設問文の場合、厚生労働大臣も裁判所に意見を述べる「ことができます」。

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02

解答:「社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。」が正解です。

選択肢1. 一般の会社の労働社会保険事務担当者又は開業社会保険労務士事務所の職員のように、他人に使用され、その指揮命令のもとに事務を行う場合は、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者の業務の制限について定めた社会保険労務士法第27条にいう「業として」行うに該当する。

×

一般の会社の労働社会保険事務担当者や開業社会保険労務士事務所の職員のように、「他人に使用されその指揮命令のもとに事務を行う場合」は、社会保険労務士法第27条の「業として」行うに該当しません。

選択肢2. 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述及び尋問をすることができる。

×

裁判所において、補佐人として弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述はできますが、「尋問」はできません。

選択肢3. 厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求めることができるが、ここにいう「その業務に関し必要な報告」とは、法令上義務づけられているものに限られ、事務所の経営状態等についての報告は含まれない。

× 

厚生労働大臣への報告は、法律上義務付けられているものに限られず、事務所の経営状態等についての報告も含みます。

選択肢4. 社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。

社会保険労務士法人の事務所には、事務所の所在地の都道府県に属する社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければいけません。

選択肢5. 社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、当該監督に必要な検査をするに先立ち、必ず厚生労働大臣に対し、意見を求めなければならない。

×

裁判所は厚生労働大臣に対し「意見を求めなければならない」ではなく「意見を求めることができる」となります。

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03

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 一般の会社の労働社会保険事務担当者又は開業社会保険労務士事務所の職員のように、他人に使用され、その指揮命令のもとに事務を行う場合は、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者の業務の制限について定めた社会保険労務士法第27条にいう「業として」行うに該当する。

本肢の者は業として行う者には該当しません。

(業務の制限)

第二十七条 社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。

一般の会社の労働社会保険事務担当者又は開業社会保険労務士事務所の職員のように、他人に使用され、その指揮命令のもとに事務を行う場合は、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者の業務の制限について定めた社会保険労務士法第27条にいう「業として」行うに該当する。

選択肢2. 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述及び尋問をすることができる。

尋問をすることはできません。

第二条の二 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。

社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述及び尋問をすることができる。

選択肢3. 厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求めることができるが、ここにいう「その業務に関し必要な報告」とは、法令上義務づけられているものに限られ、事務所の経営状態等についての報告は含まれない。

法令上義務付けられている者に限定されず、事務所の経営状態等の報告も含まれます。

(報告及び検査)

第二十四条 厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員をして当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の事務所に立ち入り、当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人に質問し、若しくはその業務に関係のある帳簿書類(その作成、備付け又は保存に代えて電磁的記録の作成、備付け又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させることができる。

厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求めることができるが、ここにいう「その業務に関し必要な報告」とは、法令上義務づけられているものに限られ、事務所の経営状態等についての報告は含まれない。

選択肢4. 社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。

(社員の常駐)

第二十五条の十六 社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。

選択肢5. 社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、当該監督に必要な検査をするに先立ち、必ず厚生労働大臣に対し、意見を求めなければならない。

厚生労働大臣の監督ではなく、裁判所の監督に属するため、厚生労働大臣は意見を述べることができると規定されています。

(裁判所による監督)

第二十五条の二十二の三 社会保険労務士法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。

2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

3 社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、厚生労働大臣に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。

4 厚生労働大臣は、前項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。

社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、当該監督に必要な検査をするに先立ち、必ず厚生労働大臣に対し、意見を求めなければならない。

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