社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
健康保険法 問8
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問題
社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 健康保険法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記のうちのどれか。
ア 同一の事業所に使用される通常の労働者の1日の所定労働時間が8時間であり、1週間の所定労働日数が5日、及び1か月の所定労働日数が20日である特定適用事業所において、当該事業所における短時間労働者の1日の所定労働時間が6時間であり、1週間の所定労働日数が3日、及び1か月の所定労働日数が12日の場合、当該短時間労働者の1週間の所定労働時間は18時間となり、通常の労働者の1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数のそれぞれ4分の3未満ではあるものの、1日の所定労働時間は4分の3以上であるため、当該短時間労働者は被保険者として取り扱わなければならない。
イ 特定適用事業所に使用される短時間労働者が、当初は継続して1年以上使用されることが見込まれなかった場合であっても、その後において、継続して1年以上使用されることが見込まれることとなったときは、その時点から継続して1年以上使用されることが見込まれることとして取り扱う。
ウ 特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者の報酬支払の基礎となった日数が4月は11日、5月は15日、6月は16日であった場合、報酬支払の基礎となった日数が15日以上の月である5月及び6月の報酬月額の平均額をもとにその年の標準報酬月額の定時決定を行う。
エ 労働者派遣事業の事業所に雇用される登録型派遣労働者が、派遣就業に係る1つの雇用契約の終了後、1か月以内に同一の派遣元事業主のもとにおける派遣就業に係る次回の雇用契約(1か月以上のものとする。)が確実に見込まれたため被保険者資格を喪失しなかったが、その1か月以内に次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実となった日又は当該1か月を経過した日のいずれか早い日をもって使用関係が終了したものとして、事業主に資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させる必要はない。
オ 被扶養者の収入の確認に当たり、被扶養者の年間収入は、被扶養者の過去の収入、現時点の収入又は将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むものとされている。
ア 同一の事業所に使用される通常の労働者の1日の所定労働時間が8時間であり、1週間の所定労働日数が5日、及び1か月の所定労働日数が20日である特定適用事業所において、当該事業所における短時間労働者の1日の所定労働時間が6時間であり、1週間の所定労働日数が3日、及び1か月の所定労働日数が12日の場合、当該短時間労働者の1週間の所定労働時間は18時間となり、通常の労働者の1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数のそれぞれ4分の3未満ではあるものの、1日の所定労働時間は4分の3以上であるため、当該短時間労働者は被保険者として取り扱わなければならない。
イ 特定適用事業所に使用される短時間労働者が、当初は継続して1年以上使用されることが見込まれなかった場合であっても、その後において、継続して1年以上使用されることが見込まれることとなったときは、その時点から継続して1年以上使用されることが見込まれることとして取り扱う。
ウ 特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者の報酬支払の基礎となった日数が4月は11日、5月は15日、6月は16日であった場合、報酬支払の基礎となった日数が15日以上の月である5月及び6月の報酬月額の平均額をもとにその年の標準報酬月額の定時決定を行う。
エ 労働者派遣事業の事業所に雇用される登録型派遣労働者が、派遣就業に係る1つの雇用契約の終了後、1か月以内に同一の派遣元事業主のもとにおける派遣就業に係る次回の雇用契約(1か月以上のものとする。)が確実に見込まれたため被保険者資格を喪失しなかったが、その1か月以内に次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実となった日又は当該1か月を経過した日のいずれか早い日をもって使用関係が終了したものとして、事業主に資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させる必要はない。
オ 被扶養者の収入の確認に当たり、被扶養者の年間収入は、被扶養者の過去の収入、現時点の収入又は将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むものとされている。
- (アとウ)
- (アとエ)
- (イとエ)
- (イとオ)
- (ウとオ)
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この過去問の解説 (3件)
01
設問文ア.について
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】健康保険法第3条9項,平成28年5月13日保保発0513第1号・年管管発0513第1号
【ポイント・考え方】
設問文の場合は、被保険者の適用除外者となります。
1日の所定労働時間は判断基準になっておらず、1週間の所定労働時間・1か月の所定労働日数で判断され、いずれも通常の労働者の4分の3未満の場合は、適用除外となります。
【学習・実務でのワンポイント】
いわゆる短時間労働者の被保険者としての適用条件/基準は、引き続き緩和の方向となっている(被保険者とする方向となっている)ため、法令改正情報をキャッチアップできるようにしておくとよいでしょう。
設問文イ.について
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】平成28年5月13日保保発0513第1号年管管発0513第1号
【ポイント・考え方】
設問文のとおり、継続して1年以上使用されることが見込まれた場合は、「その時点から」(遡及して適用することなく)取り扱うこととなります。
意図的・恣意的な操作をする余地をなくすねらいがあると理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
設問文のようなことが見込まれる場合においては、それが客観的に判断可能な文書等が必要となるので、あわせて留意しておくとよいでしょう。
設問文ウ.
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】健康保険法第41条,健康保険法施行規則第24条の2,平成18年5月12日庁保険発512001号
【ポイント・考え方】
短時間労働者における標準報酬月額の算定にあたっては、報酬支払の基礎となった日数が「11日」以上となった月の平均額をもとにします。
設問文の場合は、4月・5月・6月の3か月の平均となります。
【学習・実務でのワンポイント】
短時間労働者とは、簡単にいうと、同じ事業所に勤務する通常の労働者の4分の3未満の時間勤務する人のことであり、1週間の労働時間でみると、通常の労働者の労働時間が40時間だった場合には、短時間労働者とは20時間以上30時間未満労働する人を指します。
設問文エ.について
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】健康保険法第36条,平成27年9月30日保保発0930第9号年管管発0930第11号
【ポイント・考え方】
設問文のような場合は、遡って被保険者資格を喪失させることで該当の労働者が不利益を被ることがないようにするため、このような規定がされていると理解しておくとよいでしょう。
(例えばですが、次回の雇用契約が確実に見込まれていた期間に医療機関を受診し治療費を支払った後、遡って被保険者資格を喪失させられ、追加の治療費を請求されるような事態は、不適切であろうと想定できるかと思います)
【学習・実務でのワンポイント】
本設問文も、一般的・常識的な判断・推察から正誤を判断可能なものであると考えます。
設問文オ.について
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】令和2年4月10日事務連絡
【ポイント・考え方】
本設問文は、被扶養者が一時的に収入が増加した場合に、被扶養者認定の基準となる額を超えた場合直ちにその被扶養者認定を取り消すようなことがないよう、客観的な証跡と状況をふまえ柔軟に判断するよう保険者に求めているものであることを、理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
被扶養者認定の基準となる年間収入の額が現在は「130万円」以上となっている点を理解しておくと、実生活でも役に立つことがあるでしょう。
【正しい選択肢】(アとウ) が正しいです。
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02
解答:「(アとウ)」が正解です。
ア ×
一週間の所定労働時間が20時間未満ですので、この短時間労働者は被保険者には該当しません。
イ 〇
継続して1年以上使用されることが見込まれることとなったときは、その時点から継続して1年以上使用されることが見込まれることとして取り扱います。
ウ ×
短時間労働者の定時決定は「報酬支払基礎日数が11日未満の月を計算の基礎から除外します」ので、今回は、4月は11日、5月は15日、6月は16日ですから4月~6月の報酬月額の平均額をもとにその年の標準報酬月額の定時決定を行います。
エ 〇
派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させる必要はありません。
オ 〇
扶養者の収入の確認は、被扶養者の年間収入は、過去の収入、現時点の収入、将来の収入の見込み、今後1年間の収入を見込みます。
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03
ア.誤
適用除外に関する問です。1週間の所定労働時間は18時間のため通常の労働者の3/4未満ですが、イの20時間未満であるに該当するため、適用除外になります。
九 事業所に使用される者であって、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者。以下この号において単に「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い者をいう。以下この号において同じ。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第四十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
ニ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。
同一の事業所に使用される通常の労働者の1日の所定労働時間が8時間であり、1週間の所定労働日数が5日、及び1か月の所定労働日数が20日である特定適用事業所において、当該事業所における短時間労働者の1日の所定労働時間が6時間であり、1週間の所定労働日数が3日、及び1か月の所定労働日数が12日の場合、当該短時間労働者の1週間の所定労働時間は18時間となり、通常の労働者の1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数のそれぞれ4分の3未満ではあるものの、1日の所定労働時間は4分の3以上であるため、当該短時間労働者は被保険者として取り扱わなければならない。
イ.正
当初の被保険者期間を超えたら被保険者資格を取得します。当初の契約が2週間でも1か月でも3カ月でも更新されれば被保険者の資格を取得します(最初は取得しませんが、更新されたら取得します)。
短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に係る事務の取扱いについて〔厚生年金保険法〕平成28年5月13日)(/保保発0513第1号/年管管発0513第1号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1970&dataType=1&pageNo=1
(2)同一の事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれること
④当初は継続して1年以上使用されることが見込まれなかった場合であっても、その後において、継続して1年以上使用されることが見込まれることとなったときは、その時点から継続して1年以上使用されることが見込まれることとして取り扱うこととする。
ウ.誤
短時間労働者の定時決定では報酬支払基礎日数が11日未満の月は計算の基礎から除外されます。本肢は4月が11日あるため、4月~6月の報酬月額の平均額で定時決定がされます。
(定時決定)
第四十一条 保険者等は、被保険者が毎年七月一日現に使用される事業所において同日前三月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日(厚生労働省令で定める者にあっては、十一日。第四十三条第一項、第四十三条の二第一項及び第四十三条の三第一項において同じ。)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
特定適用事業所に使用される短時間労働者の被保険者の報酬支払の基礎となった日数が4月は11日、5月は15日、6月は16日であった場合、報酬支払の基礎となった日数が15日以上の月である5月及び6月の報酬月額の平均額をもとにその年の標準報酬月額の定時決定を行う。
エ.正
派遣労働者に対する社会保険適用の取扱いについて」の一部改正について〔厚生年金保険法〕(平成27年9月30日)(/保保発0930第9号/年管管発0930第11号/)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1415&dataType=1&pageNo=1
2.被保険者資格の喪失手続等
(1)上記1の登録型派遣労働者について、1月以内に次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実となった日又は当該1月を経過した日のいずれか早い日をもって使用関係が終了したものとし、その使用関係終了日から5日以内に事業主は資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させるものではないこと。
オ.正
被扶養者の収入の確認における留意点について(事務連絡令和2年4月10日)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200427S0180.pdf
2 確認に当たり、被扶養者の収入については、被扶養者の過去の収入、現時点の収 入又は将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むものとすること。 この際には、勤務先から発行された給与明細書、市区町村から発行された課税証明 書等の公的証明書等を用いること。
誤っているものの組合せはアとウです。
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