社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
国民年金法 問8

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 国民年金法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

令和3年度の給付額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 20歳から30歳までの10年間第1号被保険者としての保険料全額免除期間及び30歳から60歳までの30年間第1号被保険者としての保険料納付済期間を有し、60歳から65歳までの5年間任意加入被保険者としての保険料納付済期間を有する者(昭和31年4月2日生まれ)が65歳から受給できる老齢基礎年金の額は、満額(780,900円)となる。
  • 障害等級1級の障害基礎年金の額(子の加算はないものとする。)は、障害等級2級の障害基礎年金の額を1.25倍した976,125円に端数処理を行った、976,100円となる。
  • 遺族基礎年金の受給権者が4人の子のみである場合、遺族基礎年金の受給権者の子それぞれが受給する遺族基礎年金の額は、780,900円に子の加算として224,700円、224,700円、74,900円を合計した金額を子の数で除した金額となる。
  • 国民年金の給付は、名目手取り賃金変動率(−0.1%)によって改定されるため、3年間第1号被保険者としての保険料納付済期間を有する者が死亡し、一定範囲の遺族に死亡一時金が支給される場合は、12万円に(1 − 0.001)を乗じて得た額が支給される。なお、当該期間のほかに保険料納付済期間及び保険料免除期間は有していないものとする。
  • 第1号被保険者として令和3年6月まで50か月保険料を納付した外国籍の者が、令和3年8月に脱退一時金を請求した場合、受給できる脱退一時金の額は、16,610円に2分の1を乗じて得た額に48を乗じて得た額となる。なお、当該期間のほかに保険料納付済期間及び保険料免除期間は有していないものとする。

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この過去問の解説 (3件)

01

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 20歳から30歳までの10年間第1号被保険者としての保険料全額免除期間及び30歳から60歳までの30年間第1号被保険者としての保険料納付済期間を有し、60歳から65歳までの5年間任意加入被保険者としての保険料納付済期間を有する者(昭和31年4月2日生まれ)が65歳から受給できる老齢基礎年金の額は、満額(780,900円)となる。

【正誤】誤った記述です。

【ポイント・考え方】

 設問文の場合には、最初の10年間の保険料全額免除期間が納付済みの場合の3分の1としてカウントされるため、満額(40年)とはなりません。

【学習・実務でのワンポイント】

 保険料免除については、細分化されているので、資格期間のカウント方法に慣れておくとよいでしょう。

 全額免除期間については、老齢基礎年金の受給額の算出にあたり、平成21年3月までの期間については3分の1、平成21年4月以降の期間については2分の1の月数でカウントされます。

選択肢2. 障害等級1級の障害基礎年金の額(子の加算はないものとする。)は、障害等級2級の障害基礎年金の額を1.25倍した976,125円に端数処理を行った、976,100円となる。

【正誤】誤った記述です。

【ポイント・考え方】

 障害等級1級の障害基礎年金は、端数調整されません。

 設問文の場合は、976,125円が支給されます。

【学習・実務でのワンポイント】

 年金は、年6回偶数月に支払われます。

 この場合に、端数が出る場合は、2月以外の月にて切り捨て、端数を2月で調整され支給されます。

選択肢3. 遺族基礎年金の受給権者が4人の子のみである場合、遺族基礎年金の受給権者の子それぞれが受給する遺族基礎年金の額は、780,900円に子の加算として224,700円、224,700円、74,900円を合計した金額を子の数で除した金額となる。

【正誤】誤った記述です。

【ポイント・考え方】

 子の加算額は、配偶者の有無にかかわらず、3番目に加算される子より加算額が少なくなり74,900円となります。

 設問文の場合は、1番目の子:780,900円、2番目の子:224,700円、3番目の子:74,900円、4番目の子:74,900円となります。

 子の加算額にかかる適用内容(3番目の子から額が少なくなる)は覚えてしまいましょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 子の加算額にかかる金額そのものについては、毎年改定率が加味される点は理解しておくとよいでしょう。

選択肢4. 国民年金の給付は、名目手取り賃金変動率(−0.1%)によって改定されるため、3年間第1号被保険者としての保険料納付済期間を有する者が死亡し、一定範囲の遺族に死亡一時金が支給される場合は、12万円に(1 − 0.001)を乗じて得た額が支給される。なお、当該期間のほかに保険料納付済期間及び保険料免除期間は有していないものとする。

【正誤】誤った記述です。

【ポイント・考え方】

 設問文は、「名目手取り賃金変動率」によって改定される、となっている点が誤りです。

 年金額は「物価の変動」に応じて改定されます。

 死亡一時金は、短期・一時金の支給のため物価スライドの対象外だと理解しておくとよいでしょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 実際には、平成17年4月から、財政均衡期間にわたり年金財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合に、給付水準を自動的に調整する仕組みであるマクロ経済スライドが導入されました。

 これにより、年金額の調整を行っている期間は、年金額の伸びを物価の伸びよりも抑えることとされています。

 受給者の視点でいうと、物価の伸びほど年金額は増加しない、ということになります。

選択肢5. 第1号被保険者として令和3年6月まで50か月保険料を納付した外国籍の者が、令和3年8月に脱退一時金を請求した場合、受給できる脱退一時金の額は、16,610円に2分の1を乗じて得た額に48を乗じて得た額となる。なお、当該期間のほかに保険料納付済期間及び保険料免除期間は有していないものとする。

【正誤】正しい記述です。

【ポイント・考え方】

 以下の2点の値を暗記していないと正答を導けないので、学習していない人にとっては難しい問題であったと思います。

 ・脱退一時金の算出基礎となる額が、最後に保険料を納付した際の月額であること

  →令和3年は、16,610円であること

 ・算出にあたり乗算される月数が、納付月数に応じて決められていること

  →50か月保険料を納付した人が乗算にて適用される月数は、48(か月)であること

【学習・実務でのワンポイント】

 暗記のみでしか正答を導けない設問は、試験時には後回しにしてもよいと筆者は考えています。

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02

1.間違いです。

480か月を超えた時の年金額の計算問題です。

全額免除期間があるので、任意加入しています。

30歳から65歳までは、納付済です。420ヶ月あります。

残り、60ヶ月は全額免除期間なので

×3分の1です。

60×3分の1=20ヶ月

420ヶ月+20ヶ月=440ヶ月

780,900円×440ヶ月÷480ヶ月

(満額支給されません)

2.間違いです。

1級の障害基礎年金の年金額の端数処理の問題です。

障害基礎年金の2級に1.25倍しますが

端数処理は行いません。

780,900円×1.25倍=976,125円

問題文は、「976,100円」端数処理を行っているので

間違いです。

3.間違いです。

遺族基礎年金の受給権者に子供しかいないときの問題です。

1人目、780,900円

2人目、224,700円

3人目以降、74,900円

妻と子供が居る場合と

子供しかいない場合では、金額が違いますので注意しましょう

4.間違いです。

年金の改定率の問題です。

死亡一時金には改定率はありませんので間違いです。

改定率は、年金に関してです。死亡一時金は年金ではありません。

あくまでも一時金です。

5.正解です。

脱退一時金の問題です。

1号として保険料を納付した

月数により、乗じる数字が違います。

6ヶ月なら6です。

6の倍数になります。

48ヶ月以上48です。

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03

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 20歳から30歳までの10年間第1号被保険者としての保険料全額免除期間及び30歳から60歳までの30年間第1号被保険者としての保険料納付済期間を有し、60歳から65歳までの5年間任意加入被保険者としての保険料納付済期間を有する者(昭和31年4月2日生まれ)が65歳から受給できる老齢基礎年金の額は、満額(780,900円)となる。

被保険者期間が480カ月を超えた場合の年金額の計算に関する問です。

本肢の者の被保険者期間は540カ月(保険料納付済期間360カ月、任意加入期間60カ月、保険料全額免除期間120カ月)です。国庫負担は480カ月までつき、評価が高いものから優先につきます。保険料納付済の420カ月(360+60)が優先的に480カ月内にカウントされます。残る60カ月(480ー420)は国庫負担が付きます。本肢の者は昭和51年~61年の10年間が保険料全額免除期間です。国庫負担は平成21年3月以前は3分の1です。従って、残る60カ月の評価は20カ月(60カ月*1/3)、480カ月からはみ出る60カ月の評価はゼロとなります。従って、この者は440(420+20)カ月を480カ月で除して得た数を780,900円*改定率に乗じた額が老齢基礎年金額となります。

(年金額)

第二十七条 老齢基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率(次条第一項の規定により設定し、同条(第一項を除く。)から第二十七条の五までの規定により改定した率をいう。以下同じ。)を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。ただし、保険料納付済期間の月数が四百八十に満たない者に支給する場合は、当該額に、次の各号に掲げる月数を合算した月数(四百八十を限度とする。)を四百八十で除して得た数を乗じて得た額とする。

(中略)

八 保険料全額免除期間(第九十条の三第一項の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く。)の月数(四百八十から保険料納付済期間の月数、保険料四分の一免除期間の月数、保険料半額免除期間の月数及び保険料四分の三免除期間の月数を合算した月数を控除して得た月数を限度とする。)の二分の一に相当する月数

20歳から30歳までの10年間第1号被保険者としての保険料全額免除期間及び30歳から60歳までの30年間第1号被保険者としての保険料納付済期間を有し、60歳から65歳までの5年間任意加入被保険者としての保険料納付済期間を有する者(昭和31年4月2日生まれ)が65歳から受給できる老齢基礎年金の額は、満額(780,900円)となる。

選択肢2. 障害等級1級の障害基礎年金の額(子の加算はないものとする。)は、障害等級2級の障害基礎年金の額を1.25倍した976,125円に端数処理を行った、976,100円となる。

障害基礎年金額の端数処理に関する問です。障害基礎年金1級の額は障害基礎年金2級の100分の125です。

障害基礎年金2級の額は780,900*改定率に50円未満が生ずる場合は切り捨て、50円以上の場合は切り上げます。従って、下2桁は常に00となり、障害基礎年金1級の100分の125を乗じた結果に端数処理は発生せず、端数処理は行いません。

(年金額)

第三十三条 障害基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。

2 障害の程度が障害等級の一級に該当する者に支給する障害基礎年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額の百分の百二十五に相当する額とする。

障害等級1級の障害基礎年金の額(子の加算はないものとする。)は、障害等級2級の障害基礎年金の額を1.25倍した976,125円に端数処理を行った、976,100円となる。

選択肢3. 遺族基礎年金の受給権者が4人の子のみである場合、遺族基礎年金の受給権者の子それぞれが受給する遺族基礎年金の額は、780,900円に子の加算として224,700円、224,700円、74,900円を合計した金額を子の数で除した金額となる。

遺族基礎年金、子の場合の額に関する問です。本肢については基本額の780,900円に224,700円と74,900円、74,900円を合計した額を子の数で除した金額となります。

第三十九条の二

子に支給する遺族基礎年金の額は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について遺族基礎年金の受給権を取得した子が二人以上あるときは、第三十八条の規定にかかわらず、同条に定める額(780,900円)にその子のうち一人を除いた子につきそれぞれ七万四千九百円に改定率(第二十七条の三及び第二十七条の五の規定の適用がないものとして改定した改定率とする。以下この項において同じ。)を乗じて得た額(そのうち一人については、二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額とし、それらの額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算した額を、その子の数で除して得た額とする。

遺族基礎年金の受給権者が4人の子のみである場合、遺族基礎年金の受給権者の子それぞれが受給する遺族基礎年金の額は、780,900円に子の加算として224,700円、224,700円、74,900円を合計した金額を子の数で除した金額となる。

選択肢4. 国民年金の給付は、名目手取り賃金変動率(−0.1%)によって改定されるため、3年間第1号被保険者としての保険料納付済期間を有する者が死亡し、一定範囲の遺族に死亡一時金が支給される場合は、12万円に(1 − 0.001)を乗じて得た額が支給される。なお、当該期間のほかに保険料納付済期間及び保険料免除期間は有していないものとする。

死亡一時金の支給額に関する問です。死亡一時金は保険料納付済期間の月数に応じて、12万円~32万円に決まっており、改定の扱いはありません。

(金額)第五十二条の四 死亡一時金の額は、死亡日の属する月の前月までの第一号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間の月数、保険料四分の一免除期間の月数の四分の三に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の二分の一に相当する月数及び保険料四分の三免除期間の月数の四分の一に相当する月数を合算した月数に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。

国民年金の給付は、名目手取り賃金変動率(−0.1%)によって改定されるため、3年間第1号被保険者としての保険料納付済期間を有する者が死亡し、一定範囲の遺族に死亡一時金が支給される場合は、12万円に(1 − 0.001)を乗じて得た額が支給される。なお、当該期間のほかに保険料納付済期間及び保険料免除期間は有していないものとする。

選択肢5. 第1号被保険者として令和3年6月まで50か月保険料を納付した外国籍の者が、令和3年8月に脱退一時金を請求した場合、受給できる脱退一時金の額は、16,610円に2分の1を乗じて得た額に48を乗じて得た額となる。なお、当該期間のほかに保険料納付済期間及び保険料免除期間は有していないものとする。

脱退一時金の額に関する問です。政令で定める数は6~60の10段階です。

(日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給)第九条の三の二

(中略)

3 脱退一時金の額は、基準月(請求の日の属する月の前月までの第一号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間、保険料四分の一免除期間、保険料半額免除期間又は保険料四分の三免除期間のうち請求の日の前日までに当該期間の各月の保険料として納付された保険料に係る月のうち直近の月をいう。)の属する年度における保険料の額に二分の一を乗じて得た額に保険料納付済期間等の月数に応じて政令で定める数を乗じて得た額とする。

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