社労士の過去問 第54回(令和4年度) 労働者災害補償保険法 問10
この過去問の解説 (3件)
労働保険徴収法における賃金総額の算出条件について、若干細かい部分もあるので、本試験の過去問題などから、徐々に慣れていくことでよいと筆者は考えています。それでは問題文を見ていきましょう。
本設問文のとおりです。
本設問文のように、実態が労働者と同様と認められる取締役については、労災保険が適用されうる点を理解しておくとよいでしょう。
造林の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の使用期間の総日数を乗じて得た額の合算額を賃金総額とすることとなっています。
造林の事業、木炭又は薪を生産する事業その他の林業の事業(立木の伐採の事業を除く。)及び水産動植物の採捕又は養殖の事業において、上記ポイント・考え方に基づき賃金総額を算出することとなっています。
なお、学習の優先度は下げてもよいと筆者は考えています。
本設問文のとおりです。
現在では、賃金総額の算定にあたり、消費税等相当額を含まない請負金額を用いることで、消費税率改定の都度暫定措置をとる手間を省くこととしている点を、理解しておくとよいでしょう。
本設問文のとおりです。
賃金総額に含まれるものと含まれないものとの区分けにあたり、「労働の対償」として支給されているか否かがポイントとなる点を理解しておくとよいでしょう。
本設問文のとおりです。
賃金総額に含まれるものと含まれないものとの区分けにあたり、「労働の対償」として支給されているか否かがポイントとなる点を理解しておくとよいでしょう。
労働保険料等の算定の基礎となる賃金に関する問です。「賃金総額の特例」は立木の伐採と造林が引っ掛かりやすく、難しい問いです。選択肢中の2つは「労働保険料等の算定基礎となる賃金の具体例」に関してで正しそうに見えますが、「賃金総額の特例」の誤りに気がつかないと正解が難しいです。
正:労災保険料率を計算する場合の賃金の定義に関する問です。・・・取締役であっても、法令、定款等の規定に基づいて業務執行権を有しない・・・、・・・役員等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を受けている場合・・・とあり、一般の労働者と同じ扱いであると推測できます。従って、算定の基礎となる賃金総額に含めると推測されます。
誤:賃金総額の特例に関する問です。本肢で記載する・・・所轄都道府県労働局長が定める素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額に、生産するすべての素材の材積を乗じて得た額を賃金総額・・・は立木の伐採の事業で用いる算定方法です。「造林の事業」については、厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の使用期間の総日数を乗じて得た額の合算額とされています。
(賃金総額の特例)
第十五条 第十二条第三号及び第四号の事業については、その事業の労働者につき労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十二条第八項の規定に基づき厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の使用期間の総日数を乗じて得た額の合算額を賃金総額とする。
正:「請負代金の額」や「支給された物の価額相当額」「機会器具等の損料相当額」「機械装置の価額」についてはいずれも消費税を除く金額とさています。(以前は消費税を含んでいたようです)
第十三条 前条第一号の事業については、その事業の種類に従い、請負金額に別表第二に掲げる率を乗じて得た額を賃金総額とする。(中略)
一 事業主が注文者その他の者からその事業に使用する物の支給を受け、又は機械器具等の貸与を受けた場合には、支給された物の価額に相当する額(消費税等相当額を除く。)又は機械器具等の損料に相当する額(消費税等相当額を除く。)を請負代金の額(消費税等相当額を除く。)に加算する。
正:労働保険料等の算定基礎となる賃金の具体例に関するものです。・・・傷病手当金について、標準報酬の6割に相当する傷病手当金が支給された場合において、その傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額・・・傷病手当金は報酬ではありません。その上乗せである金額も報酬にはなりません。本肢では「恩恵的給付と認められる場合」とあり報酬に含めませんが、労働協約などで権利が保障されている場合には賃金に含めます。昭24.6.14基災収3850
正:上の選択肢と同様に労働保険料等の算定基礎となる賃金の具体例に関するものです。・・・業務外の疾病又は負傷により勤務に服することができないため、事業主から支払われる手当金・・・このような手当金(私傷病手当金)は報酬ではありません。・・・労働協約、就業規則等で労働者の権利として保障されている場合は、一般保険料の額の算定の基礎となる賃金総額に含める。昭24.6.14基災収3850 似たような論点で結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等個人の吉凶禍福に関するものは就業規則に定めがあろうがなかろうが賃金には含めません。
この問題は、労働保険料の徴収に関する複数の事例を提示し、その中で誤った記述を選ぶものです。
労働保険料の計算基準や特定の状況下での保険料算出方法に関する知識が問われます。
正しい
解説:法人の取締役で、業務執行権を有しない場合、その取締役は労災保険の対象となります。
彼らに支払われる賃金は、労災保険料の算定基礎となる賃金総額に含まれます。
誤り
解説:造林の事業における賃金総額の算定は、所轄都道府県労働局長が定める基準に従いますが、この記述は誤りです。
実際には、厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に労働者の使用期間の総日数を乗じた額を賃金総額とします。
正しい
解説:請負による建設事業で賃金総額が算定困難な場合、請負金額に労務費率を乗じた額が賃金総額となります。
この際、消費税等相当額を除外した請負金額が用いられます。
正しい
解説:健康保険法に基づく傷病手当金に付加して事業主から支給される給付額は、恩恵的給付と認められる場合、賃金総額に含めません。
正しい
解説:業務外の疾病や負傷により勤務不能な場合に事業主から支払われる手当は、労働協約や就業規則で権利として保障されている場合に限り、賃金総額に含まれます。
労働保険料の算定に関わるさまざまな事例を理解することが重要です。
各設問では、法人の取締役の扱い、特定事業における賃金総額の算定方法、請負事業の賃金総額計算、健康保険法に基づく傷病手当金の取り扱いなど、労働保険料の算定に関連する様々な要素が含まれています。
これらの要素を個別に理解し、具体的な事例に適用できるかどうかが、問題を解く上での鍵となります。
重要なのは、実際の業務状況や事業の特性に応じた賃金総額の算定基準を適切に適用する能力です。
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