社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
労働者災害補償保険法 問9

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問題

社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 労働者災害補償保険法 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

労災保険のいわゆるメリット制に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 継続事業の一括(一括されている継続事業の一括を含む。)を行った場合には、労働保険徴収法第12条第3項に規定する労災保険のいわゆるメリット制に関して、労災保険に係る保険関係の成立期間は、一括の認可の時期に関係なく、当該指定事業の労災保険に係る保険関係成立の日から起算し、当該指定事業以外の事業に係る一括前の保険料及び一括前の災害に係る給付は当該指定事業のいわゆるメリット収支率の算定基礎に算入しない。
  • 有期事業の一括の適用を受けている建築物の解体の事業であって、その事業の当該保険年度の確定保険料の額が40万円未満のとき、その事業の請負金額(消費税等相当額を除く。)が1億1,000万円以上であれば、労災保険のいわゆるメリット制の適用対象となる場合がある。
  • 有期事業の一括の適用を受けていない立木の伐採の有期事業であって、その事業の素材の見込生産量が1,000立方メートル以上のとき、労災保険のいわゆるメリット制の適用対象となるものとされている。
  • 労働保険徴収法第20条に規定する確定保険料の特例の適用により、確定保険料の額が引き下げられた場合、その引き下げられた額と当該確定保険料の額との差額について事業主から所定の期限内に還付の請求があった場合においても、当該事業主から徴収すべき未納の労働保険料その他の徴収金(石綿による健康被害の救済に関する法律第35条第1項の規定により徴収する一般拠出金を含む。)があるときには、所轄都道府県労働局歳入徴収官は当該差額をこの未納の労働保険料等に充当するものとされている。
  • 労働保険徴収法第20条第1項に規定する確定保険料の特例は、第一種特別加入保険料に係る確定保険料の額及び第二種特別加入保険料に係る確定保険料の額について準用するものとされている。

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この過去問の解説 (3件)

01

メリット制に関する問です。「見込生産量」が読んでいて全く違和感がなく、「指定された事業以外の事業(被一括事業)」の記述が確実に正しいと確信が持てず難しい問題です。

選択肢1. 継続事業の一括(一括されている継続事業の一括を含む。)を行った場合には、労働保険徴収法第12条第3項に規定する労災保険のいわゆるメリット制に関して、労災保険に係る保険関係の成立期間は、一括の認可の時期に関係なく、当該指定事業の労災保険に係る保険関係成立の日から起算し、当該指定事業以外の事業に係る一括前の保険料及び一括前の災害に係る給付は当該指定事業のいわゆるメリット収支率の算定基礎に算入しない。

正:継続事業の一括においては、指定事業が3年以上継続しているかを見ます。継続事業の一括が行われた場合は労災保険に係る保険関係の成立期間は、指定上の労災保険に係る保険関係成立の日から起算します。指定された事業以外の事業(被一括事業)に係る一括前の保険料及び一括前の災害に係る給付は指定事業のメリット収支率の算定基礎に参入しません。法12条3

選択肢2. 有期事業の一括の適用を受けている建築物の解体の事業であって、その事業の当該保険年度の確定保険料の額が40万円未満のとき、その事業の請負金額(消費税等相当額を除く。)が1億1,000万円以上であれば、労災保険のいわゆるメリット制の適用対象となる場合がある。

誤:継続事業に係るメリット制の適用条件に関する問です。連続する3保険年度中の各保険年度において、一括有期事業である建設の事業又は立木の伐採の事業については、当該保険年度の確定保険料の額が40万円以上のものとされています。則17条

有期事業の一括の適用を受けている建築物の解体の事業であって、その事業の当該保険年度の確定保険料の額が40万円未満のとき・・・

選択肢3. 有期事業の一括の適用を受けていない立木の伐採の有期事業であって、その事業の素材の見込生産量が1,000立方メートル以上のとき、労災保険のいわゆるメリット制の適用対象となるものとされている。

誤:有期事業のメリット制の適用要件に関する問です。素材の生産量が1,000立方メートル以上とされています。素材の見込み生産量は有期事業の一括で出てきますが、一括はこれからの話のため見込みとなります。一方、メリット制は事後の話のため、見込みを用いることがありません。

有期事業の一括の適用を受けていない立木の伐採の有期事業であって、その事業の素材の見込生産量が1,000立方メートル以上の

選択肢4. 労働保険徴収法第20条に規定する確定保険料の特例の適用により、確定保険料の額が引き下げられた場合、その引き下げられた額と当該確定保険料の額との差額について事業主から所定の期限内に還付の請求があった場合においても、当該事業主から徴収すべき未納の労働保険料その他の徴収金(石綿による健康被害の救済に関する法律第35条第1項の規定により徴収する一般拠出金を含む。)があるときには、所轄都道府県労働局歳入徴収官は当該差額をこの未納の労働保険料等に充当するものとされている。

誤:労働保険料の還付に関する問です。還付請求があった場合には還付が行われ、還付請求があった場合でも充当する本肢は誤りです。

(労働保険料の還付)

第三十六条 事業主が、法第十九条第一項及び第二項の申告書(第三十八条において「確定保険料申告書」という。)を提出する際に、又は法第十九条第四項の規定による通知を受けた日の翌日から起算して十日以内に、それぞれ、既に納付した概算保険料の額のうち、確定保険料の額を超える額(以下「超過額」という。)の還付を請求したときは、官署支出官又は事業場の所在地を管轄する都道府県労働局労働保険特別会計資金前渡官吏(以下「所轄都道府県労働局資金前渡官吏」という。)は、その超過額を還付するものとする。

・・・その引き下げられた額と当該確定保険料の額との差額について事業主から所定の期限内に還付の請求があった場合においても、・・・

選択肢5. 労働保険徴収法第20条第1項に規定する確定保険料の特例は、第一種特別加入保険料に係る確定保険料の額及び第二種特別加入保険料に係る確定保険料の額について準用するものとされている。

誤:確定保険料の特例、有期事業のメリット制の要件に関する問です。第一種特別加入保険料率は中小事業主にかかわる事業についてで、その事業と同じ労災保険率を用いるため準用があります。第二種に関しては実際の事業は存在せず、団体に所属して加入するもので第二種に関してはメリット制の適用はない。法20条

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02

労働保険料(のメリット制)については、普段当該業務に携わっている人以外については、なじみの薄い分野かと思われます。過去問などから徐々に慣れていくとよいでしょう。それでは問題文を見ていきましょう。

選択肢1. 継続事業の一括(一括されている継続事業の一括を含む。)を行った場合には、労働保険徴収法第12条第3項に規定する労災保険のいわゆるメリット制に関して、労災保険に係る保険関係の成立期間は、一括の認可の時期に関係なく、当該指定事業の労災保険に係る保険関係成立の日から起算し、当該指定事業以外の事業に係る一括前の保険料及び一括前の災害に係る給付は当該指定事業のいわゆるメリット収支率の算定基礎に算入しない。

本設問文のとおりです。

本設問文のとおり理解しておきましょう。

選択肢2. 有期事業の一括の適用を受けている建築物の解体の事業であって、その事業の当該保険年度の確定保険料の額が40万円未満のとき、その事業の請負金額(消費税等相当額を除く。)が1億1,000万円以上であれば、労災保険のいわゆるメリット制の適用対象となる場合がある。

本設問文の場合にメリット制の適用対象となることはありません。

当該保険年度の確定保険料の額が 40 万円未満のときは、メリット制の適用対象とはなりません。

一括有期事業がメリット制の対象となるためには、連続する3保険年度中の各保険年度において、確定保険料の額が40万円以上である必要があります。

この40万円という数値はいったん覚えておきましょう。

選択肢3. 有期事業の一括の適用を受けていない立木の伐採の有期事業であって、その事業の素材の見込生産量が1,000立方メートル以上のとき、労災保険のいわゆるメリット制の適用対象となるものとされている。

設問の立木の伐採の事業がメリット制の適用対象となるのは、素材の「生産量」が1,000立方メートル以上のときであり、「見込生産量」が基準ではありません。

「見込」生産量は変動しうるため、そのような条件を基準として判断するのは適切ではないと判断できるとよいでしょう。

選択肢4. 労働保険徴収法第20条に規定する確定保険料の特例の適用により、確定保険料の額が引き下げられた場合、その引き下げられた額と当該確定保険料の額との差額について事業主から所定の期限内に還付の請求があった場合においても、当該事業主から徴収すべき未納の労働保険料その他の徴収金(石綿による健康被害の救済に関する法律第35条第1項の規定により徴収する一般拠出金を含む。)があるときには、所轄都道府県労働局歳入徴収官は当該差額をこの未納の労働保険料等に充当するものとされている。

「還付の請求があった場合」は、未納の労働保険料等があるときであっても、設問の差額をこれに充当することはできません。

本設問文の差額を未納の労働保険料等に充当するものとされているのは、「還付の請求がない場合」になります。

簡単に言うと、明に意思表示(この場合は還付の請求があった場合)にはその効力が(良くも悪くも)優先されると理解しておくとよいでしょう。

選択肢5. 労働保険徴収法第20条第1項に規定する確定保険料の特例は、第一種特別加入保険料に係る確定保険料の額及び第二種特別加入保険料に係る確定保険料の額について準用するものとされている。

第二種特別加入保険料に係る確定保険料の額については、準用するものとされていません。

第一種特別加入:中小企業の事業主、第二種特別加入:いわゆる一人親方、であり、中小企業の事業主(第一種特別加入者)については、雇用している労働者と同じ保険料率が適用されるため、一人親方(第二種特別加入者)とは適用/準用にあたり差がある、と理解しておくとよいでしょう。

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03

この問題は、労災保険のいわゆるメリット制に関連する内容についての理解を問うものです。

メリット制とは、過去の災害発生の状況に応じて保険料率を変動させる制度で、事業主の安全衛生管理への意識向上を促すことを目的としています。

この問題では、メリット制の適用対象となる条件や、その計算方法に関する各選択肢の正誤を判断することが求められています。

選択肢1. 継続事業の一括(一括されている継続事業の一括を含む。)を行った場合には、労働保険徴収法第12条第3項に規定する労災保険のいわゆるメリット制に関して、労災保険に係る保険関係の成立期間は、一括の認可の時期に関係なく、当該指定事業の労災保険に係る保険関係成立の日から起算し、当該指定事業以外の事業に係る一括前の保険料及び一括前の災害に係る給付は当該指定事業のいわゆるメリット収支率の算定基礎に算入しない。

正しい

解説:継続事業の一括が行われた場合、メリット制における保険関係の成立期間は指定事業の保険関係成立日から起算されます。

また、指定事業以外の事業に関する一括前の保険料や災害に関する給付は、メリット収支率の算定基礎に含まれません。

これにより、事業主が複数の事業を運営している場合でも、メリット制の適用が公平に行われるようになっています。

選択肢2. 有期事業の一括の適用を受けている建築物の解体の事業であって、その事業の当該保険年度の確定保険料の額が40万円未満のとき、その事業の請負金額(消費税等相当額を除く。)が1億1,000万円以上であれば、労災保険のいわゆるメリット制の適用対象となる場合がある。

誤り

解説:確定保険料が40万円未満である場合、請負金額が1億1,000万円以上であっても、メリット制の適用対象とはなりません。

選択肢3. 有期事業の一括の適用を受けていない立木の伐採の有期事業であって、その事業の素材の見込生産量が1,000立方メートル以上のとき、労災保険のいわゆるメリット制の適用対象となるものとされている。

誤り

解説:有期事業の一括の適用を受けていない立木の伐採事業において、メリット制の適用は素材の実際の生産量に基づいて決定されます。

見込み生産量ではなく、実際に生産された量が基準となるため、この選択肢は誤りです。

選択肢4. 労働保険徴収法第20条に規定する確定保険料の特例の適用により、確定保険料の額が引き下げられた場合、その引き下げられた額と当該確定保険料の額との差額について事業主から所定の期限内に還付の請求があった場合においても、当該事業主から徴収すべき未納の労働保険料その他の徴収金(石綿による健康被害の救済に関する法律第35条第1項の規定により徴収する一般拠出金を含む。)があるときには、所轄都道府県労働局歳入徴収官は当該差額をこの未納の労働保険料等に充当するものとされている。

誤り

解説:確定保険料の特例適用により、保険料が引き下げられた場合、事業主からの還付請求があれば、未納の保険料に充当することはできません。

還付請求がある場合、事業主は適切に還付を受ける権利があります。

選択肢5. 労働保険徴収法第20条第1項に規定する確定保険料の特例は、第一種特別加入保険料に係る確定保険料の額及び第二種特別加入保険料に係る確定保険料の額について準用するものとされている。

誤り

解説:労働保険徴収法第20条第1項に規定される確定保険料の特例は、第一種特別加入保険料に係る確定保険料に対しては適用されますが、第二種特別加入保険料には適用されません。

これは、第二種特別加入保険料が個別の事業主の特定のリスクを基に算出されるためです。

まとめ

メリット制に関する問題解決には、メリット制の基本的な概念と適用条件に対する正確な理解が必要です。

メリット制は事業主の安全衛生管理への取り組みを促進するための制度であり、事業の種類や事故発生の状況に基づいて保険料率が調整されます。

選択肢を検討する際には、メリット制の適用基準や計算方法、特定の事業に対する適用条件など、労災保険に関する詳細な規定を理解し、それに基づいて正誤を判断することが重要です。

また、法令の改正や行政指針の変更にも留意し、最新の情報に基づいて判断することが求められます。

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