社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
雇用保険法 問6
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 雇用保険法 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
育児休業給付に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
なお、本問において「対象育児休業」とは、育児休業給付金の支給対象となる育児休業をいう。
ア 保育所等における保育が行われない等の理由により育児休業に係る子が1歳6か月に達した日後の期間について、休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合、延長後の対象育児休業の期間はその子が1歳9か月に達する日の前日までとする。
イ 育児休業期間中に育児休業給付金の受給資格者が一時的に当該事業主の下で就労する場合、当該育児休業の終了予定日が到来しておらず、事業主がその休業の取得を引き続き認めていても、その後の育児休業は対象育児休業とならない。
ウ 産後6週間を経過した被保険者の請求により産後8週間を経過する前に産後休業を終了した場合、その後引き続き育児休業を取得したときには、当該産後休業終了の翌日から対象育児休業となる。
エ 育児休業の申出に係る子が1歳に達した日後の期間について、児童福祉法第39条に規定する保育所等において保育を利用することができないが、いわゆる無認可保育施設を利用することができる場合、他の要件を満たす限り育児休業給付金を受給することができる。
オ 育児休業を開始した日前2年間のうち1年間事業所の休業により引き続き賃金の支払を受けることができなかった場合、育児休業開始日前3年間に通算して12か月以上のみなし被保険者期間があれば、他の要件を満たす限り育児休業給付金が支給される。
なお、本問において「対象育児休業」とは、育児休業給付金の支給対象となる育児休業をいう。
ア 保育所等における保育が行われない等の理由により育児休業に係る子が1歳6か月に達した日後の期間について、休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合、延長後の対象育児休業の期間はその子が1歳9か月に達する日の前日までとする。
イ 育児休業期間中に育児休業給付金の受給資格者が一時的に当該事業主の下で就労する場合、当該育児休業の終了予定日が到来しておらず、事業主がその休業の取得を引き続き認めていても、その後の育児休業は対象育児休業とならない。
ウ 産後6週間を経過した被保険者の請求により産後8週間を経過する前に産後休業を終了した場合、その後引き続き育児休業を取得したときには、当該産後休業終了の翌日から対象育児休業となる。
エ 育児休業の申出に係る子が1歳に達した日後の期間について、児童福祉法第39条に規定する保育所等において保育を利用することができないが、いわゆる無認可保育施設を利用することができる場合、他の要件を満たす限り育児休業給付金を受給することができる。
オ 育児休業を開始した日前2年間のうち1年間事業所の休業により引き続き賃金の支払を受けることができなかった場合、育児休業開始日前3年間に通算して12か月以上のみなし被保険者期間があれば、他の要件を満たす限り育児休業給付金が支給される。
- (アとイ)
- (アとウ)
- (イとエ)
- (ウとオ)
- (エとオ)
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この過去問の解説 (3件)
01
育児休業及びそれにかかる給付金については、身近なテーマであり、設問文以外でも学習しておくとよいテーマだと考えます。一度学習すると見につきやすいかと思いますので、多くの設問にふれていくとよいでしょう。それでは問題文を見ていきましょう。
・延長後の対象育児休業の期間は、「1歳9か月」ではなく、「2歳」が正しいです。
年齢にかかる基準については、区切りのよいものが使われることがほとんどであることから、設問文の「1歳9か月」は中途半端でおかしい、という感覚が持てていればよいと筆者は考えます。
・事業主が育児休業の取得を引き続き認めていれば、その後の休業についても対象育児休業となります。
ごく一例ですが、育児休業を取得していても、業務繁忙等により、一時的に就労することになり、その後引き続き事業主が育児休業の取得を認めるような場合が該当します。
このような場合に、該当の労働者/被保険者を守るべく、対象育児休業となりうる点を理解しておくとよいでしょう。
・延長後の対象育児休業の期間は、「1歳9か月」ではなく、「2歳」が正しいです。
年齢にかかる基準については、区切りのよいものが使われることがほとんどであることから、設問文の「1歳9か月」は中途半端でおかしい、という感覚が持てていればよいと筆者は考えます。
・産後8週間を経過するまでは、「産後」休業とみなされます。
(対象「育児」休業には含まれません)
本人の請求により早めに産後休業を終了したとしても、母体保護等の観点から、法定の産後8週間までは「産後」休業として扱われる点を理解しておくとよいでしょう。
・事業主が育児休業の取得を引き続き認めていれば、その後の休業についても対象育児休業となります。
ごく一例ですが、育児休業を取得していても、業務繁忙等により、一時的に就労することになり、その後引き続き事業主が育児休業の取得を認めるような場合が該当します。
このような場合に、該当の労働者/被保険者を守るべく、対象育児休業となりうる点を理解しておくとよいでしょう。
・子が1歳に達した日後の期間について、保育所等による保育の利用が実施されないときは、対象育児休業の期間が延長されます。
ただし、この場合の「保育所等」には、無認可保育施設は含まれないため、無認可保育施設を利用することができる場合であっても、他の要件を満たす限り、育児休業基本給付金を受給することはできます。
認可保育園を利用するか、無認可保育園を利用するかにより、給付金の受給可否が変わってくる点は、ぜひ実生活においても理解しておくと役に立つ場面があるでしょう。
・産後8週間を経過するまでは、「産後」休業とみなされます。
(対象「育児」休業には含まれません)
本人の請求により早めに産後休業を終了したとしても、母体保護等の観点から、法定の産後8週間までは「産後」休業として扱われる点を理解しておくとよいでしょう。
・被保険者の責でない理由(事業所の休業など)により賃金の支払を受けることができなかった場合には、設問文のような期間にかかる要件の考慮がなされる(被保険者が守られる方向で判断される)点を理解しておくとよいでしょう。
・子が1歳に達した日後の期間について、保育所等による保育の利用が実施されないときは、対象育児休業の期間が延長されます。
ただし、この場合の「保育所等」には、無認可保育施設は含まれないため、無認可保育施設を利用することができる場合であっても、他の要件を満たす限り、育児休業基本給付金を受給することはできます。
認可保育園を利用するか、無認可保育園を利用するかにより、給付金の受給可否が変わってくる点は、ぜひ実生活においても理解しておくと役に立つ場面があるでしょう。
・被保険者の責でない理由(事業所の休業など)により賃金の支払を受けることができなかった場合には、設問文のような期間にかかる要件の考慮がなされる(被保険者が守られる方向で判断される)点を理解しておくとよいでしょう。
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02
育児休業給付に関する行政手引からの出題ですが、「育児休業給付の延長後の対象期間」は基本事項でそれを除く選択肢に絞り込み、3択になります。「受給資格の受給要件緩和」も基本事項で正しいと認識できれば、残りの選択肢に絞った正誤の判断となり、「法律の趣旨に沿って考えると認可がOKで無認可がNG」が未知の出題で分からない場合でも他方が誤りであると判断できれば正解できます。
ア:誤
育児休業給付の延長後の対象期間に関する問です。2歳に達する日の前日が正しいです。
(育児休業給付金)
第六十一条の七
(その子が一歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあつては、一歳六か月に満たない子(その子が一歳六か月に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあつては、二歳に満たない子))を養育するための休業(以下この章において「育児休業」という。)
・・・延長後の対象育児休業の期間はその子が1歳9か月に達する日の前日までとする。
イ:誤
育児休業給付金の支給対象となる育児休業に関する問です。行政手引からの出題です。育児休業給付金は報酬を得ている場合の想定があり、報酬により減額されることがあり、もし本肢のように働いて報酬を得ると対象育児休業にならなければ矛盾があると推測できます。
行政手引59503
(ロ) 対象育児休業を行ったことのある労働者が当該対象育児休業終了後、再度同一の子について取得する育児休業(中略)
なお、育児休業期間中に受給資格者が一時的に当該事業主の下で就労する場合は、当該育児休業の終了予定日が到来しておらず、事業主がその休業の取得を引き続き認めていれば、その後の育児休業についても対象育児休業となる。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/data/dl/toriatsukai_youryou_q.pdf
・・・事業主がその休業の取得を引き続き認めていても、その後の育児休業は対象育児休業とならない。
ウ:誤
産前産後休業の期間に関する問です。産後8週間を経過するまでは産後休暇とみなされます。
(イ) 産後休業(出産日の翌日から8週間。労働基準法第 65 条第2項。船員(業務取扱要領 20101
イ参照。以下同じ)の場合は、船員法第 87 条第2項。)
なお、産後6週間を経過した場合であって、当該被保険者の請求により、8週間を経過す
る前に産後休業を終了した場合であっても、その後引き続き育児休業を取得した場合は、産
後8週間を経過するまでは、産後休業とみなされるので留意すること。
その後引き続き育児休業を取得したときには、当該産後休業終了の翌日から対象育児休業となる。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/data/dl/toriatsukai_youryou_q.pdf
・・・その後引き続き育児休業を取得したときには、当該産後休業終了の翌日から対象育児休業となる。
エ:正
延長事由及び期間の確認に関する行政手引からの出題です。既定の最初には含まれないと記載がありますが、よく読むと・・・市町村により発行された証明書等の記載により・・・とあり認められることがわかります。一方この法律の趣旨に沿って考えると認可がOKで無認可がNGというのはちょっとひどすぎるかという推測もできます。
イ 保育所による保育が実施されないこと
保育所とは児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)第 39 条に規定する保育所をいうものであり、いわゆる無認可保育施設は含まれないものである。したがって、この要件に該当するためには、市町村に対して保育の申込みを行っており、市町村から子が1歳に達する日(一定の要件(59631 参照)を満たすことにより、・・・
行政手引59603
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/data/dl/toriatsukai_youryou_q.pdf
オ:正
育児休業給付の受給資格の受給要件緩和に関する問です。行政手引からの出題です。求職者給付の受給要件の緩和と同じ扱いです。
ロ 受給要件の緩和
イの受給資格の確認に当たって、当該2年の間に、疾病、負傷等やむを得ない理由により引
き続き 30 日以上賃金の支払を受けることができなかった期間(業務取扱要領 50153 ロただし書
きを含む。)がある場合には、当該理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間
を2年に加算することができる。また、この加算できる期間は最長2年間であり、合計で最長
4年間まで受給要件を緩和することができる。この場合のやむを得ない理由として認められるのは、一般被保険者に対する求職者給付の受給要件の緩和の事由と同様であり、具体的には以下のとおりである(詳細は業務取扱要領 50152参照。)。
(イ) 疾病又は負傷
(ロ) 事業所の休業
(ハ) 出産
(ニ) 事業主の命による外国における勤務
(ホ) 雇用継続交流採用
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/data/dl/toriatsukai_youryou_q.pdf
よって正解は「エとオ」です。
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03
この問題では、育児休業給付に関する各記述の正誤を判断し、正しい記述の組み合わせを選択することが求められています。
問題文で指摘されている「対象育児休業」とは、育児休業給付金の支給対象となる育児休業のことを指します。
ア 誤り
解説:この記述は、育児休業給付の延長期間に関するものですが、正しい期間は子が2歳に達する日の前日までです。
イ 誤り
解説:育児休業給付金の受給資格者が一時的に働いた場合でも、その後の育児休業は引き続き対象育児休業となります。
ウ 誤り
解説:産後8週間を経過するまでは、産後休業とみなされるため、この記述は誤りです。
エ 正しい
解説:子が1歳に達した後の期間で、保育所等における保育を利用できない場合、無認可保育施設の利用があっても育児休業給付金を受給できます。
オ 正しい
解説:育児休業開始日前2年間で賃金の支払いを受けられなかった場合、3年間に通算して12か月以上のみなし被保険者期間があれば育児休業給付金が支給されます。
ついては、正しい選択肢の組み合わせは「エとオ」となります。
育児休業給付に関する問題を解く際は、育児休業給付金の支給対象期間、受給資格の要件、育児休業の延長条件など、育児休業給付に関する具体的な規定に注意を払いながら解答することが重要です。
特に、育児休業の延長に関する正確な条件や、産後休業と育児休業の関係についての理解が必要です。
正しい情報をもとに各選択肢の正誤を判断し、適切な組み合わせを選ぶことが求められます。
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