社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
雇用保険法 問5
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 雇用保険法 問5 (訂正依頼・報告はこちら)
高年齢雇用継続給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 60歳に達した被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)であって、57歳から59歳まで連続して20か月間基本手当等を受けずに被保険者でなかったものが、当該期間を含まない過去の被保険者期間が通算して5年以上であるときは、他の要件を満たす限り、60歳に達した日の属する月から高年齢雇用継続基本給付金が支給される。
- 支給対象期間の暦月の初日から末日までの間に引き続いて介護休業給付の支給対象となる休業を取得した場合、他の要件を満たす限り当該月に係る高年齢雇用継続基本給付金を受けることができる。
- 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が同一の就職につき再就職手当の支給を受けることができる場合、その者の意思にかかわらず高年齢再就職給付金が支給され、再就職手当が支給停止となる。
- 高年齢雇用継続基本給付金の受給資格者が、被保険者資格喪失後、基本手当の支給を受けずに8か月で雇用され被保険者資格を再取得したときは、新たに取得した被保険者資格に係る高年齢雇用継続基本給付金を受けることができない。
- 高年齢再就職給付金の受給資格者が、被保険者資格喪失後、基本手当の支給を受け、その支給残日数が80日であった場合、その後被保険者資格の再取得があったとしても高年齢再就職給付金は支給されない。
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この過去問の解説 (3件)
01
高年齢(ここでは簡単に60歳以上と表現します)にかかる各種給付については、高齢化社会のさらなる進行に伴い、条件が細かくなっています。基本的な考え方を押さえておくと、各設問文の正誤判断の見当がつけやすくなり、また年齢を重ねるほど身近なテーマになるので、ぜひ学習しておきましょう。それでは問題を見ていきましょう。
本設問文の場合、60歳の時点では高年齢雇用継続基本給付金は支給されません。
高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けるためには、 算定基礎期間に相当する期間が通算して5年以上であることが必要です。
本設問文の者は、57歳から59歳まで連続して20ヵ月間(=1年超)被保険者でなかったことから、これ以前の被保険者であった期間を算定基礎期間に相当する期間に通算することができず、60歳に達した日において、算定基礎期間が5年に満たない状態となっています。
暦月の初日から末日までの間に引き続いて介護休業給付の支給対象となる休業を取得した月は、支給対象月とならないため、本設問文の場合は当該給付金を受けることができません。
介護休業給付と高年齢雇用継続基本給付金が併給されることはないと簡単に理解しておくとよいでしょう。
同一月に異なる事由で複数の給付がなされると、過剰な保障になるため、と理解しておくとよいでしょう。
本設問文の場合には、その者の選択により、高年齢再就職給付金又は再就職手当のいずれか一方が支給されます。
「その者の意思にかかわらず」高年齢再就職給付金が支給されるわけではありません。
同じ事由について複数の給付選択肢がある場合には、請求者の選択が可能となっている点を理解しておくとよいでしょう。
本設問文の場合、所定の要件を満たす限り、新たに取得した被保険者資格に係る高年齢雇用継続基本給付金を受けることができます。
本設問文の場合は、簡単に言うと、被保険者資格喪失後の(被保険者でなかった)期間が1年未満であるため、受給資格が持ち越される、と理解しておくとよいでしょう。
設問文のとおりです。
基本手当の支給残日数が100日以上でなければ、高年齢再就職給付金は支給されません。
上記ポイントの「100日以上」の基準を覚えておくとよいでしょう。
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02
高年齢雇用継続給付からの出題です。行政手引からの出題がありますが、60歳から65歳の間の給付であり、基本手当と考え方が同じであると推測できます。正解肢は基本的事項の数字の暗記となり、他の選択肢の正誤が曖昧でも正解できると思います。
誤:高年齢雇用継続基本給付金の算定基礎期間の支給要件に関する問いです。行政手引からの出題ですが、基本手当の算定基礎期間と同様であると推測できます。・・・20か月間基本手当等を受けずに被保険者でなかったものが、・・・の記述により、20か月間、つまり1年以上空くことで算定基礎期間はリセットされます。
59011(1)基本給付金の受給資格
イ 60 歳以上 65 歳未満の被保険者(短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者を除く。以下同じ。)であって、被保険者であった期間が通算して5年以上である者について、基本給付金の受給資格者となる(法第 61 条第 1 項)。
ロ この場合の被保険者であった期間は、基本手当における被保険者であった期間の取扱いと同様に、当該被保険者であった期間に係る被保険者資格を取得した日の直前の被保険者資格を喪失した日が当該被保険者資格の取得日前 1 年の期間内にある場合であって、この期間内に基本手当(基本手当の支給を受けたものと見なされる傷病手当、就業手当及び再就職手当(早期就業支援金及び早期再就職支援金(平成 15 年 2 月 27 日付け厚生労働省発職第 0227001 号「早期再就職者支援基金事業の実施について」の別紙「早期再就職者支援基金事業実施要領」第 5 の 1(2)イ及びロに規定する「早期就業支援金」及び「早期再就職支援金」をいう。以下同じ。)を含む。以下同じ。)又は特例一時金の支給を受けていない場合に通算される。
行政手引59011
https://www.mhlw.go.jp/content/000995409.pdf
誤:高年齢雇用継続基本給付金の支給対象月に関する問です。その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であり、かつ、介護休業給付金又は育児休業給付金の支給を受けることができる休業をしなかった月に限るとされています。
(高年齢雇用継続基本給付金)
第六十一条
2 この条において「支給対象月」とは、被保険者が六十歳に達した日の属する月から六十五歳に達する日の属する月までの期間内にある月(その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者であり、かつ、介護休業給付金又は育児休業給付金若しくは出生時育児休業給付金の支給を受けることができる休業をしなかつた月に限る。)をいう。
支給対象期間の暦月の初日から末日までの間に引き続いて介護休業給付の支給対象となる休業を取得した場合、他の要件を満たす限り当該月に係る高年齢雇用継続基本給付金を受けることができる。
誤:高年齢再就職給付金の支給調整に関する問です。同一の就職につき、再就職手当の支給を受けることができる場合において、その者が再就職手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず、とあり、再就職手当の支給を受けるか、高年齢再就職給付金の支給を受けるかは本院が選択します。
「・・・その者の意思にかかわらず高年齢再就職給付金が支給され、・・・」
(高年齢再就職給付金)
第六十一条の二
4 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき就業促進手当(第五十六条の三第一項第一号ロに該当する者に係るものに限る。以下この項において同じ。)の支給を受けることができる場合において、その者が就業促進手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは就業促進手当を支給しない。
誤:資格喪失後再度資格を取得した場合の取り扱いに関する行政手引からの出題です。高年齢雇用継続基本給付金の受給資格者が被保険者資格喪失後、基本手当の支給を受けずに1年以内に雇用され被保険者資格を取得したときは(算定基礎期間に相当する期間が5年以上という要件に該当している状態を維持できる)、新たに取得した被保険者資格についても引続き高年齢雇用継続基本給付金の受給資格者となりえます。
59311(1)基本給付金の受給資格者が被保険者資格を喪失した場合
イ 基本給付金の受給資格者が、被保険者資格喪失後、基本手当の支給を受けずに、1 年以内に雇用され被保険者資格を再取得したときは、新たに取得した被保険者資格についても引き続き基本給付金の受給資格者となり得る。この場合、基本給付金の受給資格
新たに取得した被保険者資格に係る高年齢雇用継続基本給付金を受けることができない。
正:高年齢再就職給付金の支給要件に関する問です。支給されない場合として就職日の前日における当該基本手当の支給残日数が100日未満であるときとされています。
(高年齢再就職給付金)
第六十一条の二 高年齢再就職給付金は、受給資格者(その受給資格に係る離職の日における第二十二条第三項の規定による算定基礎期間が五年以上あり、かつ、当該受給資格に基づく基本手当の支給を受けたことがある者に限る。)が六十歳に達した日以後安定した職業に就くことにより被保険者となつた場合において、当該被保険者に対し再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が、当該基本手当の日額の算定の基礎となつた賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額を下るに至つたときに、当該再就職後の支給対象月について支給する。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 当該職業に就いた日(次項において「就職日」という。)の前日における支給残日数が、百日未満であるとき。
二 当該再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が、支給限度額以上であるとき。
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03
この問題は、高年齢雇用継続給付に関する記述の正誤を問うものです。
具体的には、60歳以上の被保険者がどのような条件で高年齢雇用継続基本給付金や高年齢再就職給付金を受けられるかについての記述が正しいかを判断する問題です。
誤り
解説:60歳に達した被保険者が、57歳から59歳まで連続して20か月間基本手当等を受けずに被保険者でなかった場合、その期間は算定基礎期間に含まれません。
誤り
解説:支給対象期間の暦月の初日から末日までの間に介護休業給付の支給対象となる休業を取得した場合、その月は高年齢雇用継続基本給付金の支給対象月とはなりません。
誤り
解説:高年齢再就職給付金と再就職手当の支給は、被保険者が選択することができます。
自動的に高年齢再就職給付金が支給されるわけではないため、選択肢は誤っています。
誤り
解説:被保険者資格喪失後、基本手当を受けずに8か月で雇用され被保険者資格を再取得した場合、新たに取得した被保険者資格に係る高年齢雇用継続基本給付金を受けることができます。
正しい
解説:高年齢再就職給付金は、基本手当の支給残日数が100日以上ある場合にのみ支給されます。
80日の場合、高年齢再就職給付金は支給されません。
高年齢雇用継続給付に関する問題を解く際は、給付の条件、支給対象月、再就職給付金と再就職手当の関係など、具体的な規定を正確に理解することが重要です。
特に、基本手当の支給残日数や介護休業給付との関連性、被保険者資格の喪失と再取得に関するルールに注意を払いながら問題文を読み解くことが求められます。
高年齢者に関する給付制度は、その内容を正確に把握することで、正しい選択が可能になります。
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