社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
社会保険に関する一般常識 問1

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問題

社労士試験 第54回(令和4年度) 択一式 社会保険に関する一般常識 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

確定給付企業年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 確定給付企業年金法第16条の規定によると、企業年金基金(以下本問において「基金」という。)は、規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、その変更について厚生労働大臣の同意を得なければならないとされている。
  • 事業主(基金を設立して実施する確定給付企業年金を実施する場合にあっては、基金。以下本問において「事業主等」という。)は、障害給付金の給付を行わなければならない。
  • 掛金の額は、給付に要する費用の額の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令で定めるところにより、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならない。この基準にしたがって、事業主等は、少なくとも6年ごとに掛金の額を再計算しなければならない。
  • 企業年金連合会(以下本問において「連合会」という。)を設立するには、その会員となろうとする10以上の事業主等が発起人とならなければならない。
  • 連合会は、毎事業年度終了後6か月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、その業務についての報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

確定給付企業年⾦には、⼤きく「規約型確定給付企業年⾦」と「基⾦型確定給付企業年⾦」の2つがあります。

⾼齢期に将来受け取れるものの1つとして、関⼼が⾼いと思います。

内容・条件等をぜひ学習しておきましょう。それでは問題を⾒ていきましょう。

選択肢1. 確定給付企業年金法第16条の規定によると、企業年金基金(以下本問において「基金」という。)は、規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、その変更について厚生労働大臣の同意を得なければならないとされている。

本設問⽂について、「同意」ではなく「認可」が必要です。

企業年⾦基⾦は、該当する労働者に多⼤な(⾦銭的な)影響を与えるものであり、

その規約の変更については慎重を期すべきものであるため、

「同意」ではなく「認可」が必要(認可がない変更は無効です)と規定されていると理解しておくとよいでしょう。

選択肢2. 事業主(基金を設立して実施する確定給付企業年金を実施する場合にあっては、基金。以下本問において「事業主等」という。)は、障害給付金の給付を行わなければならない。

本設問⽂について、「⾏わなければならない」のではなく、「⾏うことができる」です。

⽼齢を事由とする給付が必須(⽬的)であるのと⽐較して、障害を事由とする給付は任意である点を理解しておくとよいでしょう。

選択肢3. 掛金の額は、給付に要する費用の額の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令で定めるところにより、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならない。この基準にしたがって、事業主等は、少なくとも6年ごとに掛金の額を再計算しなければならない。

本設問⽂のうち、「6年ごと」は「5年ごと」です。

財政再計算の周期は区切りよく5年であると理解しておくとよいでしょう。

選択肢4. 企業年金連合会(以下本問において「連合会」という。)を設立するには、その会員となろうとする10以上の事業主等が発起人とならなければならない。

本設問⽂のうち、「10以上」は「20以上」です。

本設問⽂の内容にかかる学習は、優先度を下げてもよいと筆者は考えています。

選択肢5. 連合会は、毎事業年度終了後6か月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、その業務についての報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

本設問⽂のとおりです。

企業年⾦連合会は、国に代わって年⾦業務を取り扱っている部分があり、この正当性・安全性を担保するため、本設問⽂のような規定があると理解しておくとよいでしょう。

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02

確定給付企業年金法からの出題です。条文からの出題で暗記をしていれば正誤判断が付きますが、正解肢「企業年金連合会」の設立要件,「毎事業年度終了後の報告期限」は少し細かな数字を問う問題で消去法で対応できればと思います。

選択肢1. 確定給付企業年金法第16条の規定によると、企業年金基金(以下本問において「基金」という。)は、規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、その変更について厚生労働大臣の同意を得なければならないとされている。

誤:確定給付企業年金法第十六条の条文からの出題です。同意ではなく認可です。

(基金の規約の変更等)

第十六条 基金は、規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、その変更について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

選択肢2. 事業主(基金を設立して実施する確定給付企業年金を実施する場合にあっては、基金。以下本問において「事業主等」という。)は、障害給付金の給付を行わなければならない。

誤:確定給付企業年金法第二十九条の条文からの出題です。老齢と脱退一時金が必須給付、行わなければならない。障害と遺族は行うことができる、任意給付です。

(給付の種類)

第二十九条 事業主(基金を設立して実施する確定給付企業年金(以下「基金型企業年金」という。)を実施する場合にあっては、基金。以下「事業主等」という。)は、次に掲げる給付を行うものとする。

一 老齢給付金

二 脱退一時金

2 事業主等は、規約で定めるところにより、前項各号に掲げる給付に加え、次に掲げる給付を行うことができる。

一 障害給付金

二 遺族給付金

選択肢3. 掛金の額は、給付に要する費用の額の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令で定めるところにより、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならない。この基準にしたがって、事業主等は、少なくとも6年ごとに掛金の額を再計算しなければならない。

誤:確定給付企業年金法第五十八条からの出題です。年金の財政再計算と言えば5年です。「・・・少なくとも6年ごとに掛金の額を再計算・・・」

(財政再計算)

第五十八条 事業主等は、少なくとも五年ごとに前条の基準に従って掛金の額を再計算しなければならない。

2 事業主等は、前項の規定にかかわらず、加入者の数が著しく変動した場合その他の厚生労働省令で定める場合は、前条の基準に従って、速やかに、掛金の額を再計算しなければならない。

選択肢4. 企業年金連合会(以下本問において「連合会」という。)を設立するには、その会員となろうとする10以上の事業主等が発起人とならなければならない。

誤:確定給付企業年金法第九十一条の5からの出題です。10以上の事業主等ではなく20以上です。

(発起人)

第九十一条の五 連合会を設立するには、その会員となろうとする二十以上の事業主等が発起人とならなければならない。

選択肢5. 連合会は、毎事業年度終了後6か月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、その業務についての報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

正:確定給付企業年金法第百条の2からの出題です。第百条に事業主等の報告書の提出の規定があり、事業主等については毎事業年度終了後四月以内です。

第百条の二 連合会は、毎事業年度終了後六月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、その業務についての報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

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03

この問題は、確定給付企業年金法に関する知識を問うもので、企業年金基金の規約変更、障害給付金の給付、掛金の額の再計算、企業年金連合会の設立要件、および連合会の報告書提出義務についての規定が含まれています。

それぞれの選択肢が確定給付企業年金法の特定の条文に関連しており、法律の正確な理解が問われています。

選択肢1. 確定給付企業年金法第16条の規定によると、企業年金基金(以下本問において「基金」という。)は、規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、その変更について厚生労働大臣の同意を得なければならないとされている。

誤り

解説:企業年金基金が規約を変更しようとする場合、厚生労働大臣の「同意」ではなく「認可」が必要です。

この点は、企業年金制度における厚生労働省の監督の厳格さを示しています。

選択肢2. 事業主(基金を設立して実施する確定給付企業年金を実施する場合にあっては、基金。以下本問において「事業主等」という。)は、障害給付金の給付を行わなければならない。

誤り

解説:事業主等による障害給付金の給付は「行うことができる」ものであり、必ずしも「行わなければならない」わけではありません。

確定給付企業年金法では、老齢給付金や脱退一時金と比較して、障害給付金は任意の給付とされています。

選択肢3. 掛金の額は、給付に要する費用の額の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令で定めるところにより、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならない。この基準にしたがって、事業主等は、少なくとも6年ごとに掛金の額を再計算しなければならない。

誤り

解説:掛金の再計算は「6年ごと」ではなく「5年ごと」に行われます。

これは、企業年金制度の財政の持続可能性を確保するための重要な規定です。

選択肢4. 企業年金連合会(以下本問において「連合会」という。)を設立するには、その会員となろうとする10以上の事業主等が発起人とならなければならない。

誤り

解説:企業年金連合会の設立には「10以上」ではなく「20以上」の事業主等が発起人となる必要があります。

これは、連合会の組織的な安定性と代表性を確保するための要件です。

選択肢5. 連合会は、毎事業年度終了後6か月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、その業務についての報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

正しい

解説:連合会は、毎事業年度終了後6か月以内に、その業務に関する報告書を作成し、厚生労働大臣に提出する義務があります。

これは、企業年金制度の透明性と責任性を高めるための規定です。

まとめ

確定給付企業年金法に関する問題を解く際は、企業年金制度の運用と管理に関する法的枠組みの理解が必要です。

この問題では、企業年金基金の規約変更、給付金の取り扱い、掛金計算の基準と周期、連合会の設立要件、報告義務など、企業年金制度の異なる側面が問われています。

各選択肢の条文の内容を精密に理解し、法律の意図や背景を踏まえた解釈が求められます。

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