社労士の過去問 第54回(令和4年度) 健康保険法 問7
この過去問の解説 (2件)
健康保険法については、まず身近にイメージしやすい個人にかかる規定を学習・理解し、徐々に組織(健康保険組合など)にかかる規定についても学習の幅を広げていく、という順番で足場固めをしていくとよいでしょう。それでは問題文を見ていきましょう。
本設問文の場合、届け出は不要です。
年齢による条件で該当していたものが該当しなくなる場合には、正当性・確実性に問題はない(誤りや不正が起こりうる余地がない(少ない))ことから、利便性も鑑み、届け出は不要であると理解しておくとよいでしょう。
本設問文のとおりです。
本設問文のように、年4回以上支給されるもので、客観的に規定等で定められているものは、報酬に該当する点を、理解しておきましょう。
本設問文の場合、処分取消しの訴えは、審査請求に対する決定を受けた後でなければ、提起することができません。
審査請求の決定の後に、処分の取消しの訴えを提起する順序性を、理解しておきましょう。
(行政不服審査法に関する知識を持っている人にとっては、若干迷うことがある設問だったかもしれません)
本設問文の場合、固定的賃金の変動として取り扱うこととなっています。
賃金の変動については、本設問文のような「ガソリン」単価といった条件に惑わされずに、支払時点の金額同士の比較で、変動があるか否かで判断される点を理解しておきましょう。
本設問文の場合、保険給付の対象となります。
本設問文のように、傷病の発生が精神疾患に起因するものと認められる場合は、故意に傷病を発生させたことにならないと判断され、保険給付の対象となる点を、理解しておきましょう。
選択肢のいずれも基本事項からの出題、暗記で対応ができる内容です。多くの受験生が正解肢を特定できたと思います。
正:介護保険法の届出に関する問です。介護保険第二号被保険者が65歳、年齢到達の理由により被保険者に該当しなくなった場合には制度側で把握ができるため、届出は不要です。
(介護保険第二号被保険者に該当しなくなった場合の届出)
第四十条 被保険者は、被保険者又はその被扶養者が介護保険第二号被保険者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第九条第二号に該当する被保険者をいう。以下同じ。)に該当しなくなったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届書を事業主を経由して厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出なければならない。ただし、被保険者又はその被扶養者が六十五歳に達したときは、この限りでない。
正:健康保険法の報酬の定義に関する問です。本肢では「年間を通じ4回以上支給される場合において、当該報酬の支給が給与規定、賃金協約等によって客観的に定められており、また、当該報酬の支給が1年間以上」とあり、定義通りと理解できます。
(定義)第三条
5 この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
誤:審査請求の取り消しに関する条文からの出題です。取消の訴えは決定を経た後ではないとできません。「・・・当該処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定前でも提起することができる。」
(審査請求と訴訟との関係)
第百九十二条 第百八十九条第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。
正:ガソリン代の単価が月単位で変わる場合に固定的賃金の変動に該当するかどうかという問ですが、令和3年4月1日事務連絡にQAがあります。結論は該当します。
「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について
回答:単価の変動が月ごとに生じる場合でも、固定的賃金の変動として取扱うこととなる。
正:精神疾患による自殺未遂による傷病は保険給付の対象になるか否かを問うものです。給付の対象となります。過去に何度も問われている論点です。
保保発0521第1号、保国発0521第2号、保高発0521第1号、平成22年5月21日/自殺未遂による傷病に係る保険給付等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006re7-img/2r98520000006rfp.pdf
故意に給付事由を生じさせた場合は、その給付事由についての保険給付等は行わないことと規定していますが、自殺未遂による傷病について、その傷病の発生が精神疾患等に起因するものと認められる場合は、「故意」に給付事由を生じさせたことに当たらず、保険給付等の対象としております。
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